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『ガリバー旅行記』から読み解く、 科学は神か反キリストか ピーター・ティールの終末論「世界の終わりへ」
Z世代はAIに熱狂していると思っているだろうか。じつはそうでもないようだ。 米国に住むZ世代の半数以上が生成AIを定期的に利用しているが、このテクノロジーに対する感情は悪化しつつある──。 4月9日に発表された「ギャラップ」「ウォルトン・ファミリー財団」および「GSVベンチャーズ」(教育テクノロジー分野のベンチャーキャピタル)による新しい調査結果で明らかになった。 AIに対して希望を感じていると答えた14〜29歳の回答者の割合は、2025年から急激に低下し、27%から18%にまで落ち込んだ。若者のAIに対する熱も冷めており、回答者の約3分の1が、このテクノロジーに対して怒りを感じると回答している。 1500人以上を対象としたこの調査は2月と3月に実施された。今回の調査は、米国社会に渦巻くAIへの反感が、職場で足場を固めるべく奮闘している若い世代にまで浸透している現状を浮き彫りにしている。
スマホを捨てる必要はない 2024年、英オックスフォード大学出版局が「その年を象徴する言葉」として発表したのが「脳腐れ(Brain rot)」だった。ショート動画などのコンテンツを延々と消費し、記憶力や集中力が低下してしまった状態を指す言葉だ。 続く2025年に選出されたのは「レイジ・ベイト」。直訳すると「怒りを誘うエサ」という意味で、人々の怒りを引き起こすように意図して作られたオンライン上のコンテンツを指す。 英紙「ガーディアン」は、「怒りにつられた人々がオンラインに入り浸るように操作され、さらに私たちを疲弊させる悪循環を生む」と警告している。 SNSがもたらす悪弊についてはすでに多くの報道があり、私たちもそれをよく自覚している。それでも、際限のないスクロールをやめられない。 米紙「ワシントン・ポスト」が取り上げる最新の研究結果は、「スマホから少しのあいだでも離れてみよう」と決意するきっ
2023年のハリウッドのヒット作といえば『バービー』だった。しかし、2026年に話題をさらったのは、『嵐が丘』や『高慢と偏見』といった何世紀にもわたって読み継がれている文学作品のリメイクだ。トランプ的な反知性主義が世界を覆うなか、皮肉にもポップカルチャーでは、かつてないほど「複雑さ」と「知性」が求められている。その理由を、英紙「ガーディアン」が分析した。 物事の深淵に触れたい ネグローニを置いてプラダのハンドバッグをしまい、ペーパーバックを手に取ろう。誰かに写真を撮られそうになったら、リップスティックではなく読書用の眼鏡を掴めばいい。いまや「知的であること」こそが、新たな「セクシー」なのだ。 ポップスターたちはブッククラブを立ち上げている。代表的なのは、歌手のデュア・リパによる「サービス95」だ。スーパーモデルのカイア・ガーバーは、ファッションウィークのバックステージで、ジョーン・ディディ
近年、米国ではカトリック教徒になる若い男性が急増しているという。いったい教会の何が、彼らをそれほどまでに魅了するのか。カトリック教徒になったばかりの若者たちの姿に、米「ワシントン・ポスト」紙が迫る。 ビジネスカジュアルに身を包んだ約100人の若者たちが、ピザ屋ですし詰め状態になっていた。 「一緒に教会へ行こう!」と彼らは声を揃えて叫ぶ。 「このニューヨークシティで!」と、アンソニー・グロス(22)が付け加える。彼は白い歯を見せて満面の笑みを浮かべ、両手を挙げて場を盛り上げる。 彼は、グリニッチ・ヴィレッジにある「ピザ・ボックス」でのこの集会を手伝っていた。まもなく彼は、カトリックに興味を持つ若者たちを、数ブロック先にあるセント・ジョセフ教会のミサへと案内する。 ピザ屋に集まったカトリックに興味のある若者たち 2025年の夏にニューヨークに引っ越してきてから、グロスは「ニューヨークで最高のカ
決済サービスのペイパルを創業し、フェイスブックへの大口投資でシリコンバレーの伝説的な投資家となったピーター・ティール。現在はトランプ大統領の支持者であるとともに、米軍に欠かせないデータ解析企業パランティアの創設者として、世界情勢を動かす「影の大統領」とも呼ばれるほど影響力を持っている。 そのティールが米国で大きな影響力をもつ宗教系の月刊誌「ファースト・シングス」に論文を寄稿した。ティールは「反キリスト」が帰ってきたとし、それが米国政治に長い影を落としてきたという。 反キリスト(Antichrist)とは、新約聖書「ヨハネの手紙」などに登場する、キリストの再臨を妨げ、神に敵対する者の総称だ。キリストのフリをして人々を惑わし、最後には敗北する悪の象徴とされる。 核戦争や気候変動、AIの暴走といった、「ハルマゲンドン(世界の破滅)」への恐怖を語ることで人々の支持を得た悪の指導者「反キリスト」が、
「イラン文明を消滅させてやる」とまで息巻いたトランプが、土壇場で2週間の停戦に合意した。ニクソンと同じ「マッドマン戦術」で敵をねじ伏せようとしているが、ベトナム戦争以上の失敗に終わると、米英メディアは分析している。 「狂ったふりをして相手を屈服させろ」 ベトナム戦争が泥沼化していた1960年代末、リチャード・ニクソンは側近のハリー・ハルデマンにこう打ち明けたという。 「北ベトナム側に、俺はもう何でもやりかねないと思わせたい」 いわゆる「マッドマン・セオリー(狂人理論)」と呼ばれる外交戦術だ。これに基づき、ニクソンの国家安全保障担当補佐官ヘンリー・キッシンジャーは、北ベトナムへ秘密裏にメッセージを送った。 「もう大統領を止められない。核兵器を使うかもしれない」 マッドマン理論の理屈は単純だ。指導者が「何をしでかすかわからない気が触れた人間」に見えれば、相手は恐れをなして交渉のテーブルに着くは
就活市場において、学生たちを不安にさせる「学歴フィルター」。かつては大学名で選考の門戸が閉ざされる「見えない壁」の存在も、長引く売り手市場とテクノロジーの進化により、その実態は大きく変容している。大学名というレッテルが効力を失いつつある現代、合否を分ける真の境界線はどこにあるのか。20年以上にわたり就活現場を歩き続けるライターの石渡嶺司に、AI時代に求められる「本質的な就活」について聞いた。 「学歴フィルター」はまだ存在しているのか? ──就活生がよく気にされる「学歴フィルター」の有無についてお伺いします。現在、実態はどうなっているのでしょうか。 石渡 学歴フィルターは20年前もいまも、学生がかなり気にするポイントです。 この学歴フィルターは、高卒、専門学校卒、短大卒、大学卒、大学院卒といった最終学歴によって「雇用条件や昇進条件が変わる」というのが本来の意味です。しかし就活市場においては、
AIをどう活用するのかは世界中の教育現場でも悩ましい課題だろう。米国の一部の大学では、教員たちが独自に設計したAIが導入されはじめている。具体的な取り組みを、米紙「ワシントン・ポスト」が取材した。 2022年の秋、コロンビアビジネススクールのダン・ワン教授の教室で、ある変化が起きた。学生たちの多くが、ビジネス上の意思決定について説得力のある議論を準備してくる代わりに、ChatGPTにケーススタディの要約をさせていたのだ。 宿題をより効率的に終わらせたいという学生の心理は理解できるとワンは言う。だが、そのせいで教室での議論は以前よりも難しいものになった。 現在も、学生たちは授業の準備のためにスマートフォンを取り出す。だが、学生たちが対話するのは、ワンが設計したAIアプリだ。教授やクラスメートから厳しい質問を投げかけられる前に、学生たちは自宅で「ケイシー」と議論を戦わせる。ケイシーとは、ワンが
「ビットコイン」の生みの親であり、「サトシ・ナカモト」という偽名の背後に隠れた謎の人物。その正体に迫る精緻な調査の結果、ある有力な候補が浮上した。米紙「ニューヨーク・タイムズ」の記者たちがまとめた、その根拠となる4つの重要な点とは──。 インターネットの片隅に9ページのホワイトペーパーがひっそりと公開され、世界初の暗号資産が世に送り出されてから17年が経つ。いまやビットコインは、金融界の主流として定着するまでに成長した。 だが、その発明者の正体はいまだ謎に包まれており、「サトシ・ナカモト」という有名な偽名の背後に隠されたままだ。 筆者は1年以上をかけてサトシの正体を調査し、数十年前の膨大な投稿を精査した。データ解析を駆使した同僚ディラン・フリードマンの協力を得て、英国人の暗号学者アダム・バック(55)がサトシであることを示す数々の証拠を積み上げたのである。
母国語を英語としない作家の台頭 ──AIが瞬時に言葉を置き換える時代に、あえて「人間が時間をかけて翻訳し、出版する」ことの価値が、いま、英米で再定義されています。鴻巣さんの著書『なぜ日本文学は英米で人気があるのか』でも触れられていますが、現在の翻訳文学ブームを牽引しているのは、かつてのような巨大資本ではないそうです。 鴻巣 現在、ノーベル文学賞をはじめ、ブッカー賞などの大きな賞を受賞する作家を送り出している出版社は、ことごとくインディーズ(独立系)の小さな出版社です。あるいは、大手出版社のなかに設けられた小さな翻訳部門などがその役割を担っています。 ──なぜ、巨大な資本力を持つ大手ではなく、インディーズがこれほどまでのプレゼンスを発揮できているのでしょうか。 鴻巣 ある小さな出版社の社長は、非常に興味深いことを語っています。「こうした尖った出版活動ができるのは、イギリスだからこそだ」と。た
2010年代の米国では、インターネットを舞台にした新しいフェミニズムが急速に広がった。ブログやSNS、オンラインメディアを中心に形成されたこの潮流は、しばしば「ミレニアル・フェミニズム」と呼ばれる。 女性の経験やアイデンティティを語ること自体を政治的行為と結びつけ、体形を肯定するボディ・ポジティビティや「女性の告発を信じよ(Believe Women)」といったスローガンを広めたのも、この時代だった。 「ミレニアル・フェミニズム」とは何だったのか このムーブメントの最大の特徴は、フェミニズムを「インターネット大衆文化」と結びつけた点にある。かつてフェミニズムの担い手の中心は、大学の研究室にいる学者や、専門誌に寄稿するラディカルな活動家だった。 しかし2000年代後半、ブログやオンラインメディアの急増とともに、ポップカルチャーを素材にフェミニズムを語る新しい言論スタイルが広がった。ファッショ
「アニマル・ハウス」と呼ばれる職場で イーロン・マスク率いるテスラやスペースXは、テクノロジー業界の最前線を走る一方で、常に過酷な労働環境や法的なトラブルが報じられている。 米メディア「アクシオス」は、スペースXの元従業員8名が、社内の性差別やハラスメントを告発した後に不当解雇されたとして、マスクを提訴した事実を報じている。 訴状が浮き彫りにしたのは、最先端企業とはほど遠い、「アニマル・ハウス(乱痴気騒ぎの学生寮)」と形容される無秩序で有害な職場文化だ。 アクシオスが引用した訴状の内容によれば、マスクは女性をブラジャーのサイズで評価するような性的対象として扱い、職場に卑猥な性的談笑を蔓延させていたという。さらにマスクが複数の部下と性的関係を持ち、関係が破綻した女性に対しては、退職時にメール等で非難を浴びせ、口外禁止の合意書に署名させていた。 こうした環境に異議を唱えた者に対し、マスクは「気
韓国の首都ソウル有数の高級エリア江南(カンナム)区にあるスラム・九龍(クリョン)村は、その立地から国内の深刻な格差を象徴する存在として知られている。再開発のため市当局から立ち退きを迫られる住民に米紙「ニューヨーク・タイムズ」が取材。経済成長の陰で、「存在していない人」として尊厳を奪われ続けた怒りと悲しみを吐露している。 イ・チャンウォル(85)は40年もの間、誰もがうらやむ一等地の片隅で暮らしてきた。 彼女が住んでいるのは、K-POPのヒット曲で世界的に有名になった韓国の首都ソウルの高級エリア江南(カンナム)区だ。 だが、その生活には華やかさは微塵もない。家はひと部屋だけの狭いあばら屋で、トイレすらない。 イは、きらびやかな高層ビル群の陰にひっそりと存在するスラム街・九龍(クリョン)村で生活している。近隣に建つ3LDKのマンションは、約260万ドル(約4億円)相当の値がつく。ソウル市当局は
エジプト系の両親のもと、厳格な価値観のなかで育ったオーストラリア在住の筆者。自身のセクシュアリティに対する「恥」と20年近く葛藤しつづけてきた彼が、パートナーとの初旅行先に選んだのは日本だった。保守的な文化を持つとされるこの国で、彼はかつてない自由を感じる。 「正しい人間」にならないといけない 私が初めてテレビでゲイの人たちを見たのは、「ABCニュース」がシドニーの「ゲイ・アンド・レズビアン・マルディ・グラ」(毎年2〜3月におこなわれるオーストラリアのLGBT+プライドイベント)を特集していたときのことだ。強烈なその光景が私たちの目に飛び込んできたとき、エジプト人の両親は袋に入ったカボチャの種をむしゃむしゃと食べていた。 バックレス・チャップスを穿いたマッチョな男たち。きつめの競泳水着を着た、上半身裸のライフセーバー。そして乳首を剥き出しにした大柄なバズカットの女性たちが、ハーレーダビッド
アラブ首長国連邦に配備されている韓国製の防空システム「天弓」が、イランから発射されるミサイルをものすごい精度で迎撃している。その性能の高さと、韓国防衛産業の飛ぶ鳥を落とす勢いについて、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じる。 撃墜できなかったのは1発だけ 韓国製の防空システム「天弓(チョングン)II」は、米国とイスラエルがイランとの戦争を始めるまで、一度も実戦で試されたことがなかった。だが今回、イランから弾道ミサイル攻撃を受けたアラブ首長国連邦(UAE)で運用され、その迎撃率の高さを見せつけている。 韓国のメディアや政府当局者によると、同システムは標的とした30発のミサイルとドローンのうち29発を撃墜したという。 これは開戦から1ヵ月間に迎撃されたミサイルやドローンの総数からすれば、ほんの一部にすぎないが、その成果はドバイからソウルにいたるまで、政治家や軍事アナリストらの称賛を集めている。
「会議」と「対話」の違い ——越川さんの新刊『一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本』をもとに、チームを自走させるために必要な対話、信頼関係の築き方について伺っていきます。日本企業では対話はうまくいっていないように思いますが、どうでしょうか? 越川 あまりうまくいっていないですね。まず、対話というのは会議ではなく1対1の対話だと定義させてください。たとえば先輩と後輩とか、上司と部下という形です。 実はこの対話の頻度が下がっているという懸念点があります。なぜかというと、他国に比べても日本は会議が多いからです。17万3000人を調べたところ、働く時間の39%が社内会議でした。そして会議のための会議が60%、会議全体の内職率が41%、ということがAI解析でわかりました。 では、逆にできるリーダーはどうしているかと言うと、会議を「ダイエット」させて、生み出された時間を
「ポスト村上」から「ポスト村田」へ ──現在の英米における日本文学の立ち位置は、かつての状況と比較してどのように変化しているのでしょうか。 鴻巣 1990年代から活躍されている吉本ばななさんや村上春樹さんは、2000年代にはすでに大きな人気を博していましたが、ほかの作家では、例えば2000年か2001年頃に、アメリカの大型書店チェーンである「バーンズ&ノーブル」の新人発掘枠のリストに、柳美里さんが選ばれたのを覚えています。 当時は日本語作家が海外の大きな賞のリストに入ること自体がまれで、柳さんは「天才的クリエイティビティを持つ」と評されていました。しかし、今の状況は、当時とは比較にならないほどの「地殻変動」が起きています。 ──「地殻変動」と。具体的には、どのあたりの時期から潮目が変わったのでしょうか。 鴻巣 私の観測では、2000年代の終わり頃からです。2008年、または2009年に「ニ
「一部のサディスト」の仕業じゃない 「これは決して起きてはならないことだった」 これがナチスによるユダヤ人の大量虐殺のニュースをはじめて聞いたときのハンナ・アレントの感想だった。大量の人間が身にまとうもの一切を剝ぎ取られて殺される。まるで死体製造工場のように、生きるに値するかどうかで人間が選別されてガス室に送られ、つくりだされた死体は焼却され解体されて処分される。一切の人間的な痕跡がそこでは抹消されている。 そもそもこのようなことを人間はしてはならないはずだった。どうしてそのようなことが起こってしまったのか。あのようなことが起きてしまった後で、われわれは人間としてどのように生きて行けばよいのだろうか。 アレントにとってユダヤ人の大量虐殺は、一握りの者の犯した残虐行為ではない。筋金入りのサディスト、極悪非道の人間の犯罪であれば、しかるべく法に照らして処罰すれば事は済むだろう。 だが、ナチスの
2026年に復帰したBLACKPINK Photo: Matthew Chattle/Future Publishing via Getty Images 過去10年間で東アジアではアイドル文化が花開き、世界中の観客が日本や、とくに韓国のアイドルグループに殺到した。ところが、その隣国中国は同等の名声を持つグループをほとんど生み出してこなかった。 とはいえ2021年まで、韓国のアイドル育成番組の中国版は、膨大な視聴者を獲得していたと、英「ガーディアン」紙は指摘する。だが、こうした番組やファン文化は、中国政府の怒りを買った。政府は「有害な」ファンダムを厳しく取り締まり、その取り組みにはアイドル育成番組の禁止も含まれていた。 アイドルニュースレター「Active Faults」を運営するエミリー・リウは、「それはインターネットを規制するための口実だった」と説明する。政府はまた、地政学的な緊張を理
英語ネイティブの背後にそびえる「孤立感」 ──鴻巣さんの著書『なぜ日本文学は英米で人気があるのか』のなかで扱われている、「英語の覇権」がだんだんと衰退し、縮小気味ではないかということについてお聞かせください。 鴻巣 縮小というと、表現として語弊があるかもしれません。相変わらず英語のプレゼンスは非常に強く、世界の翻訳文学ブームを支えているのも英語です。しかし、たとえば英語のネイティブスピーカーがどれほど存在するのかと言えば、意外にも少ない。全人口の6%程度しかいないのです。そこに第2言語、第3言語として英語を使用している人々を合わせても、全体の約25%に過ぎません。ということは、残りの75%は英語を話さないのです。 ですので、むしろ「多様化している」といえるのではないでしょうか。英語は各地で話されているグローバルランゲージですから、インド英語もあればナイジェリア英語もある。かつては「本場の」
日本国民に語りかけたマクロン 古くから日本では「欧米」という言葉が広く使われてきた。「西洋」という地理的概念と大方重なると思われる。 しかし、ドナルド・トランプが再び米国の大統領に就任して以降、欧州諸国と米国の間で亀裂が何本も走っている様相をみると、もはや「欧米」とワンセットで呼ぶのは見直したほうがいいのかもしれない。「欧」に失礼というものだ。 米国とイスラエルによるイラン攻撃が続くなか、その「欧」における主軸国の一つ、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が来日した。スペインを筆頭に、イタリアや英国などの首脳が「イラン攻撃は自分たちの戦争ではない」として米軍への協力に背を向けているなか、マクロンもやはり米・イスラエルに対する批判のトーンを強めている。 4月1日、都内で開催された「日仏経済フォーラム」における講演では、現下の情勢を踏まえてこう述べた。 “la prévisibilité a
世界は日本の小説に「癒されている」 ──英米において、日本文学が特定のジャンルとして非常に強い存在感を示していると伺いました。具体的にどのような状況なのでしょうか。 鴻巣 ジャンルで言えば、ミステリーと犯罪、いわゆるクライムノベルが強い勢力を持っています。昨年、英国推理作家協会賞が主催する最高峰の賞「ダガー賞」の翻訳部門を受賞した王谷晶さんの『ババヤガの夜』も、クライムノベルとして認められています。 柚木麻子さんの『BUTTER』も同様です。私たちからすると、犯罪の要素もありつつ、モデル小説のような側面、あるいは女性同士の絆を描いた作品という認識ですが、柚月さんもダガー賞の最終候補に名を連ねており、ミステリーやクライムノベルの枠組みで捉えられています。 ──その「クライム」の潮流と並び、現在、世界的に注目されているきわめてユニークなジャンルがあるそうですね。 鴻巣 はい。「ヒーリング・フィ
翻訳で再発見された日本文学の新たな文脈 ──村田沙耶香氏の『コンビニ人間』が世界的なヒットを記録していますが、現地の書評を読むと、日本での一般的な解釈とはかなりの乖離があるようですね。 鴻巣 現地のレビューを検証すると、着眼点の違いに驚かされます。『コンビニ人間』が英米で出版された際、形容詞として「ゴシックロマンス」という言葉が使われていたのです。 ゴシックロマンスと言えば、私が新訳を手がけたエミリー・ブロンテの『嵐が丘』などがその代表格です。『コンビニ人間』と『嵐が丘』が同じジャンルとして語られるというのは、日本の感覚では結びつきにくいかもしれません。しかし、現地のレビュアーに言わせれば、これは「コンビニエンスストアという場所に恋をする女性の物語」であり、一種のゴシックなロマンスとして成立しているというのです。日本でこの作品をゴシックと評する声は、少なくとも私は聞いたことがありません。
米国の巨大テック企業を率いる億万長者たちは、しばしば「内省を軽視する人々」だと批判されている。自分の動機や価値観を問い直すよりも、行動し、世界を変えることを優先する──そうした文化がシリコンバレーには根付いているという。 その象徴的な出来事として、米誌「アトランティック」は、Amazonおよびブルーオリジンの創業者ジェフ・ベゾスのある行動を挙げている。 2021年、ブルーオリジンのロケット宇宙旅行から戻ってきた俳優ウィリアム・シャトナーは、宇宙の虚無と地球の美しさ、そして「人類の小ささ」を、ベゾスに語ろうとした。だがベゾスは話の途中で背を向け、シャンパンを持ってくるよう叫ぶと、そのまま祝賀のシャンパンシャワーを始めた。この映像は拡散され、「テック富豪は内省しない」という印象を象徴する場面として語られるようになった。 また、ベンチャー投資家マーク・アンドリーセンは2026年3月に出演したポッ
瀬戸内海に浮かぶ笠佐島(かささじま)の一部を中国人投資家が購入し、波紋が広がっている。日中間の緊張が高まるなかで「中国に乗っ取られる」との声も上がる問題の島を、英紙「ガーディアン」が現地取材した。 安全保障上、きわめて重要な場所にある島 島は霧に包まれている。だが岸に近づく船を出迎える八木秀也(80)の姿は、ユニオンジャックの毛糸帽をかぶっているおかげですぐに見つけることができた。 八木は下船する乗客たちを見て表情をほころばせる。というのも、ここ笠佐島に住民票がある島民は彼を含めてわずか7人だからだ。 瀬戸内海に浮かぶ笠佐島(山口県)は、その温暖な気候と美しい海岸で知られる。八木と妻のミホコのほか、もう一組の夫妻と高齢の女性一人がこの島で静かに暮らす。残る2人の住民は、ほとんど島にいない。 「波止場に立って、魚を釣り上げるだけでいいのです。釣ったものはすぐに食べられます」──かつて建設会社
米国がイランへの攻撃を始めてから1ヵ月余り。なぜイランの友好国・中国は傍観しているのかという疑問が渦巻くなか、欧米のメディアでは、この戦争の「真の勝者は中国になる」との論調が見られるようになってきた。 ナポレオンの格言 トランプ政権がイスラエルに何を吹き込まれたかはわからないが、イランへの先制攻撃に踏み切ったとき、体制を転覆して核開発を放棄させることができると考えていたのだろう。さらには圧倒的軍事力を示すことで、中国を威圧できるとも期待していたかもしれない。 だが開戦から1ヵ月以上が経ったいま、このどれも実現していない。少なくとも中国から見れば、米国のそうした目論みは「見当違いで傲慢だった」と、英誌「エコノミスト」は報じている。 同誌は中国の外交官や専門家、そして現職および元政府高官らに取材したうえで、「彼らのほぼ全員がこの戦争を米国の重大な失策と見ている」と伝え、だからこそ中国は傍観を決
日本の教育現場では、端末の「1人1台」が当たり前となりつつある。一方、いち早くデジタル化を推し進めてきた米国ではいま、デジタル機器からの脱却が本格化しているという。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。 生徒からノートパソコンを回収 カンザス州マクファーソン郡にあるマクファーソン中学校の校長、インゲ・エスピング(43)は長年、子供たちの集中を妨げるデジタル機器との戦いに明け暮れてきた。 彼女の学校では、4年前に授業中の携帯電話の使用を禁止した。しかし、デジタル機器による生徒たちの集中力低下は止まらなかった。多くの生徒が、学校から支給されたノートパソコン「クロームブック」でYouTubeの動画を視聴したり、ゲームに興じたりしていたからだ。なかには、学校のGoogleメールのアカウントを使って同級生をいじめる者もいた。 2025年12月、同校は全校生徒480人に対し、授業や自宅で自由に使わせ
ダロン・アセモグル あなたが提議する議論は、なかなか過激です。 欧米で採用されているような累進課税は、能力主義(メリトクラシー)を変えることはできないとあなたは主張しています。たとえITビリオネアに50%もの高額な所得税をかけても、「成功者である自分たちは優れている」という彼らの有害な思い上がりを払拭できないと。 マイケル・サンデル 彼らの思い上がりこそが、格差や分断を生む怒りの火種になっています。所得と富が公平に分配されたとしても、大学に行っていなかったり、エリートコースから外れたりした人たちは見下されていると感じるでしょう。 アセモグル もうひとつの問題は「分類」です。学歴や人種、ジェンダーといった特性で分けられた集団間で能力主義による優劣がつけられ、エリートとそうでない人たちの対立を煽っています。 成功には、見落とされている事実があります。別の時代には、体力のある人が知力の優れた人を
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