サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
emi13-farout.hatenablog.com
バンコクのアソーク駅周辺にはGreen House(グリーン・ハウス)やRoyal Queen Seeds(ロイヤル・クイーン・シーズ)、Cloud Nine(クラウド・ナイン)にFour Twenty(フォートゥエンティー)など、高級志向のディスペンサリーが点在。 そうしたなか、このエリアにしては安価なディスペンサリーとして評判を呼んでいるのが、今回取り上げるDr Green(ドクター・グリーン)です。 この値段で大丈夫? 場所はBTSアソーク駅の3番出口(MRT側の出口)を降り、ラチャダーピセーク通りを100mほど直進したあたり。道路を挿んで斜め向かいにはソイカウボーイが見えます。 繁華街の一等地、しかも駅徒歩3分という家賃バリ高のロケーションなはずなのに、メニュー表を見て驚きました。 チェンライ原産のTiger’s Tailをはじめ、露地栽培のタイ固有種は1gで30THB。もはやコン
今回取り上げるのは、アソークのSuda Restaurant(スダー・レストラン/สุดาโภชนา)。日本人観光客や駐在員に大人気で、多くのブロガーさんが記事にし、ツレもわりと贔屓にしている有名店です。 口コミを読んで目立つのが、リーズナブルやローカル価格の文字。でも、めちゃくちゃ久しぶりに行った私は「え? 高くない?」と感じてしまいました。 いや、何もSudaに喧嘩を売っているわけじゃないんです。そう感じたのは、ひとえに私が実質ニートみたいな生活を送っているせい。自分の金銭感覚がだいぶ変わったことに驚かされました。 とにもかくにも、相変わらずSudaは大混雑。夕飯時に行ったものだから、有無を言わさず相席になりました。創業50年強を経てもなお、この盛況ぶりは凄いです。 Sudaが愛される理由 店の場所はBTSアソーク駅の4番出口を降りてナナ駅方面へ少し歩き、スクンビットSoi14を左折し
今回は過去10年でグングン事業規模を拡大したタイのジュエリー・ブランド、Oh La La!(オー・ララ!)について。私もよく利用しています。 快進撃が止まらない アルゼンチン生まれのAlejandro Longobardiがバンコクで立ち上げたOh La La!。創業2012年と記載しているサイトもあれば、2013年と記載しているサイトもあり、公式HPを見ても正解はわからなかったものの、とりあえず設立時期はそのあたりっぽいです。 私がOh La La!を意識するようになったのは2014~2015年頃でした。ランブトリ通り沿いで見つけ、以降、行くたびにプラアーティット船着場やKhaosan Art Hotel(カオサン・アート・ホテル)の横など、カオサン地区に続々と新店がオープン。 「何なんだ?」と思っていた矢先、今度はChatuchak Weekend Market(チャトゥチャック・ウィ
まだまだ暑い日が続くとはいえ、9月に入り、着実に秋が近付いてきた今日この頃。投稿するタイミングを思いっきりミスっているのは自覚しつつ、今夏に履き倒したMUZINA(ムジナ)のビーチサンダルを紹介させてください。 自分に合った靴選び MUZINAとはバンコクのアソークに旗艦店を構えるシューズ・ブランド。過去にこちらのページでも取り上げています。ここのビーサンの履き心地がめちゃくちゃ良くて1足買い増ししました。 お店の場所は、BTSアソーク駅の1番出口を降り、Terminal 21とRobinson's(ロビンソン百貨店)の間にあるスクンビットSoi19を200メートル弱進んだあたりに建っているMetha Wattana Building(メタ・ワッタナー・ビル)の3階。 オーナーは日本人で、日本語も通じます。再訪した際はあまり時間がなかったこともあり、欲しい商品をピンポイントで告げると、スタ
前回投稿したDutch Passion(ダッチ・パッション)の帰りに小腹が空いた私。ツレに「超無難なカオマンガイ屋台だったら近くにあるよ」と提案され、案内してもらいました。 屋台が点在するサラデーン通り 場所はサラデーン通りを入ってすぐ。シーロム通りの屋台に対しては10年ほど前に立ち退き命令が出たものの、そのシーロム通りから南へ伸びるサラデーン通りとコンベント通りにはまだまだ屋台ゾーンが残っています。 秩序と衛生面を保つために屋台を撤去したい政府や自治体の思惑も理解できなくはないですが、年々バンコクの屋台が減っていくのは淋しい限り。サラデーン通りとコンベント通りはこのままそっとしておいてほしいです。 目当ての屋台の名前はPanya Chicken Noodles Saladaeng(ปัญญาก๋วยเตี๋ยวไก่มะระศาลาแดง/パンヤ・チキンヌードル・サラディーン。きわどいコ
今回取り上げるのは2023年9月にバンコク進出したDutch Passion(ダッチ・パッション)。直近2回で投稿したGreen House(グリーン・ハウス)と同じくアムステルダム発の大麻ブランドです。 Dutch Passionとは? 創業は1987年。業界最大手のシード・バンクであるGreen Houseよりも歴史は長いです。オーナーのHenk Van Dalenは国内最高位にランク付けされるオランダ大学で生物学を学び、1970年代に大麻の繁殖を開始。 当時のアムステルダムには、アフリカ、北中南米、アジアと、世界各国のマリファナが出回っていたんですって。 その玉石混交な輸入バッズに紛れ込んだ種をHenkは根気強く交配し、優良株へとアップデート。1997年には雌化種子の開発にも成功しています(※公式HPによれば世界初の快挙。ただし、ライバル企業もすぐにその技術を習得)。 そして、Hen
世界のマリファナ産業をリードする名門ブランド、Green Houseのタイ1号店と2号店にお邪魔してきました。訪店に先駆け、前回の記事ではGreen Houseの歴史やヴィジョンをまとめています。お時間があれば併せてぜひ。 旗艦店のロケーション 2024年夏時点でバンコクには4つのGreen House直営ディスペンサリーがあります。1号店(※写真上)はヌアンチャン通り、2号店はアソーク、3号店はトンロー、4号店はヤワラー。 何はともあれフラッグシップ・ショップに位置付けられる1号店を見ておこうと、まずはヌアンチャンをめざしました。 公共の交通機関を利用する場合はけっこう時間がかかります。いつもディスペンサリーを案内してくれるバンコク在住の知人とは現地で待ち合わせ。バスで向かう旨を伝えると軽く止められました。 行き方はBTSラチャヨーティン駅で降り、3番出口すぐのバス停から178番のバスに
2022年6月にタイでマリファナが解禁されて以来、同年10月にはアムステルダム発祥のRoyal Queen Seeds(ロイヤル・クイーン・シーズ)が、翌年1月にはサンフランシスコ発祥のCookies(クッキーズ)がバンコクに進出。 街中がグリーン・ラッシュに沸くなか、業界No.1の種ブランド=Green House(グリーン・ハウス)が満を持してタイに1号店を出したのは2023年5月でした。 その後、続々と2号店、3号店、4号店をオープン(※しかも、今年2月に出した4店舗目はよそ者が入り込み難いと言われるヤワラーですよ)。Green Houseの快進撃が止まりません。 私も遅ればせながらタイ本店とスクンビット店にお邪魔したのですが、訪問に先駆けて知人より「Green Houseの凄さをざっくり把握しておいたほうがより楽しめるよ」との助言をもらい、直前に大慌てで情報収集。 今回はまず付け焼
この夏にチャトゥチャック市場(Chatuchak Weekend Market)で購入した商品を公開します。近々バンコクへ行かれる方は、ぜひ価格などを参考にしてみてください。一応、過去のリンクも付けておきます。 『チャトゥチャックでお買い物 ~2023年春夏編その2~』 『チャトゥチャックで古着探し+α ~2023年春夏編その1~』 『チャトゥチャックで古着探し ~2020年編~』 『チャトゥチャックでお買い物 ~2019/2020年秋冬編その2~』 『チャトゥチャックで古着探し ~2019/2020年秋冬編~』 なお、今回は古着をスルーしました。タイでもヴィンテージTシャツが大流行。チャトゥチャック以外にも古着屋が増え、ここで買う意味がなくなってきました。 まだまだ掘り出し物が眠っているとは思いつつ、チャトゥチャックは相場より微妙に高く、品質もイマイチ(≒良品に出会うのが大変)、さらには
トリップアドバイザーが日本を含む世界6か国の旅行者への意識調査及びサイトの利用状況データから算出した今夏人気の海外旅行先で、バンコクが堂々の3位にランクイン。 1年を通じて日本人の旅行重要がもっとも高くなるお盆期間の8月10~18日に絞ると、見事1位でした(つまり日本人がたくさん行くってこと!)。 現地の物価も日本よりはまだまだ安いので(けっこう上昇していますけどね)、こんなご時世だからこそ旅行先としてバンコクの注目度が上がるのも納得です。 そこで、今回はお盆休みを利用してバンコクへ行かれる方にもオススメなボディーケア・ブランドのSabai Arom(サバイ・アロム)をご紹介。 伝統療法に基づいた製品作り ハーブをふんだんに使ったタイの伝統的知識の素晴らしさをもっと多くの人に広めたいと、2004年に2人の女性が立ち上げたSabai Arom。 Sabaiはタイ語で心地良いや快適、Aromは
Sikkha Asia Foundation(シーカー・アジア財団)とSlum Weed(スラム・ウィード)へ行きしな、腹ごしらえにふらっと入ったクイッティアオ屋が美味しかったので、今回はそのJay Tu Khlong Toei(เจ๊ทู่ คลองเตย/ジェイトゥ・クロントゥーイ)について。 「緑の丼」認定店 「ふらっと入った」と書きましたが、正確には近隣の食堂を2~3軒見たうえで、「ここなら外さないだろう」と目星をつけて入店。決め手は看板に掲げられた緑の丼マーク(正式名称はシェル・チュアンチム/เชลล์ชอนชิม)でした。 1960年代初頭、タイで家庭用ガスの普及を目指していたシェル石油と、食通として有名な王族のタナッシー・サワディワット氏が、ミシュランガイドを手本に立ち上げたシェル・チュアンチムは、地元の優れたタイ料理店を認定していく制度。 ローカルの方はもちろん、外国人観光
前回に引き続き舞台はクロントゥーイ。ここに地元で評判のディスペンサリー(大麻販売店)があると聞き、バンコクに住む知人の案内でお邪魔しました。 最初にお断りしておくと、私は非喫煙者です。もともとレゲエやダブが好きでマリファナ文化に興味があり、社会科見学ノリでディスペンサリー巡りをしています(※流石にタダ見は申し訳ないので、訪問する時はいつも金払いの良いスモーカーと一緒ですよ)。 アクセス方法 店の名前はSlum Weed(スラム・ウィード)。スラム街の入口に位置し、すぐ隣にはチャルーム・マハナコン高速道路が走っています。 最寄りはMRTのシリキット女王国際会議場駅かクロントゥーイ駅。どちらも歩いて30分かかります。また、アソークから136番のバスに乗って8個目、終点のクロントゥーイ車庫で下車しても徒歩10分。 公共交通機関でのアクセスはよろしくなく、そのせいか、大麻ツーリズム目的のガチな外国
世界トップクラスの貿易量伸び率を誇るチャオプラヤー川の河川港、クロントゥーイ港(PAT)。その周辺にはタイ最大のスラム街が広がっています。 もともとは港湾作業に携わる出稼ぎ労働者のコミュニティーとして人口が増えはじめ、現在の住民数は推定10万人。不法移民も多く、正確な数字はタイ政府も把握できていません。 以前に比べてだいぶ治安は良くなったと言われているものの、例えば同地区ではいまも火事が多く、出火原因のほとんどが麻薬中毒者によるコカインやヘロインのあぶりというから、まだまだ課題は山積。 相変わらず差別は根深く、スラム出身を理由に教育の機会も職業の選択肢もかなり限定されてしまっているのが実状です。 今回は、そんなクロントゥーイの人々をサポートするライフスタイル・ブランド、FEEMUE(フィームー)を紹介します。 高いデザイン力 タイ語で技術や腕前を意味するFEEMUEは、スラムの女性たちが経
『今後しばらくタイ行きはエアアジアじゃなくZIPAIRにしようと決めた理由』の記事で書いた通り、コロナ明けの直近数回はZIPAIRで渡タイしていた私とツレ。 引き続き次のバンコク便もZIPAIRにしようと数か月前にサイトをチェックしたところ、値段が爆上がりしていました。フルサービスキャリアのタイ航空と大差ありません(※いま現在、ZIPAIRの価格は一時より落ち着いた模様です)。 そこで、ANAグループのAirJapanを初利用。同ページではAirJapanのメリットとデメリットや、最少価格で指定できるオススメの座席などを紹介していきます。 運航スケジュール 今年2月の初便欠航を皮切りに、しばらくは遅延が頻発していたAirJapan。予備機を持たないと、やっぱりきついですよね。 しかし、4月に2号機を導入してスケジュールはだいぶ安定。幸い私たちが搭乗した便も往路/復路共に出発は定刻通り、到着
読書ブログは一旦お休み。しばらくの間、本筋の旅ブログに戻します。手始めに今回はBooking.comで返金不可プランを予約キャンセルする際に、運が良ければお金を取り戻せる方法です。 くれぐれも悪用しないでいただきたいのを大前提に、どうしても致し方ない場合は諦める前にぜひ試してみてください。以下の方法はAgodaでも使えます。なお、すでにキャンセル手続きを済ませてしまった時には適用されません。 ステップ①カスタマー・センターへの連絡 ほとんどのホテル予約サイトでは、期間内に限りキャンセル無料のプランと、返金不可のプランが用意されています。無論、お得なのは返金不可プラン。返金不可でも、Booking.comだと1回限り日程変更できる施設が数多く掲載されています。 このたびキャンセルに至ったのは、ツレが事故に遭って複雑骨折の手術を受け、旅行自体を取りやめるか、少なくとも旅程の大幅短縮を余儀なくさ
今回ご紹介する『モロッコで断食』(幻冬舎文庫)は、前回取り上げた『サハラ砂漠の王子さま』の続きにあたる作品です。 もともと2002年に同じタイトルの上下巻セットで登場し、2004年の文庫化に合わせて再編(※上巻のみ改題)。 上巻と下巻では毛色が異なり、仮に『サハラ砂漠の王子さま』を飛ばして読んでも全然OKな感じに仕上がっています。 突然始まったラマダーン サハラ砂漠を後に、ワルザザートからマラケシュ行きのバスに乗った著者のたかのてるこさん。何気なくペットボトルの水を飲もうとした瞬間、周りから冷たい視線が……。すかさず隣に座った男性にラマダーンが始まった旨を知らされます。 イスラム暦第9月を意味するラマダーンは、イスラム教徒にとってもっとも神聖な期間。ラマダーン中は日の出から日没まで断食(※水も含む)する義務が課せられ、ついでに喫煙や性行為も禁止されています。 異教徒は断食する必要がないとは
今回ピックアップしたはたかのてるこさんの『サハラ砂漠の王子さま』(幻冬舎文庫)。サハラ砂漠を舞台にした前回の『世にも奇妙なマラソン大会』を読み返し、積読していたこちらのタイトルに目が留まりました。 学生時代最後の旅 『サハラ砂漠の王子さま』は、2002年刊行の『モロッコで断食(上・下)』の上巻を再構成し、改題して文庫化した作品。上巻と下巻で違う魅力を感じたため、下巻については仕切り直して次回にアップします。 当時、たかのさんは大学4年生。就職先も決まり、「これが長旅できる最後のチャンスかもしれない」と、さっそく旅の準備を始めます。 目的地にモロッコを選んだのは、処女作『ガンジス河でバタフライ』にて描かれたインド旅行(※すみません、『ガンジス河で~』は未読です)でヒンドゥー文化に触れ、次はイスラム圏へ行ってみたいと思っていたから。 なおかつ、サハラ砂漠で撮影された映画『シェルタリング・スカイ
前回の『未来国家ブータン』に引き続き、高野秀行さんの作品です。今回は『世にも奇妙なマラソン大会』(2011年/本の雑誌社 ※下掲の表紙は2014年に文庫化され集英社版です)をチョイスしました。 間違う力? 私には「間違う力」があると言われる。本当にそれは「力」なのか、それとも馬鹿にされているだけなのかはよくわからない。 こんな文章で始まる本著は、サハラ砂漠を舞台にした表題作、高野さんの貞操に危機が迫る『ブルガリアの岩と薔薇』、インド再入国をめざして悪戦苦闘した『名前変更物語』、そしてアジア・アフリカで体験した7つの奇譚から成る短編エッセイ集です。 本著の前年には『間違う力 オンリーワンの10か条』(※後に『間違う力』へ改題)で人生訓をまとめている高野さん。 “第1条 他人のやらないことは無意味でもやる”とか、“第4条 他人の非常識な言い分を聞く”とか、“第6条 怪しい人にはついていく”とか
6月は環境省が提唱する環境月間。私も1冊くらいそこに絡めた作品を紹介しようと、高野秀行さんの『未来国家ブータン』(2012年/集英社)を選んでみました。 雪男を追って 高野さんがブータンへ行くきっかけとなったのは、生物資源探索企業の代表(飲み仲間)から直々に受けた突然の依頼。 新たに提携したブータン農業省の国立生物支援センターとのプロジェクトが本格始動する前に、政府もよく把握していない少数民族の村に行って伝統知識や現地の状況を調べてほしいとのことでした。 辺境慣れしている高野さんも、バイオ分野は専門外。一度は誘いを断りますが、「ブータンには雪男(イエティー)がいるんですよ」の一言に心が揺らぎます。 早稲田大学在学中に執筆した『幻獣ムベンベを追え』でノンフィクション作家デビューし、以降もベトナムの猿人フイハイやインドの怪魚ウモッカをはじめ、未確認動物探しに勤しんできた高野さん。雪男情報に反応
コロナウィルスの流行で外出自粛が推奨された2020~2021年、私はここぞとばかりに積読していた本を読みました。 その流れで『パリの国連で夢を食う』を手に取り、川内有緒さんの文章に惹かれ、デビュー作の『パリでメシを食う』や、開高健ノンフィクション賞を受賞している『空をゆく巨人』も後追いで拝読。今回取り上げるのは、彼女の作品中でもとびきり心を動かされた一冊です。 なお、私は2013年リリースの単行本『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』を読みましたが、いま本屋さんに流通しているのは改題/改編して文庫化された『バウルの歌を探しに バングラデシュの喧騒に紛れ込んだ彷徨の記録』(幻冬舎文庫)のみ。 よって、上掲の表紙画像は文庫版にしたものの、一部抜粋している箇所はオリジナルの単行本に準じています。ご了承ください。 旅の発端 パリの国連機関で働いていた頃、出張でバングラデシュを初訪問した川内
前回の『私のマトカ』に続き、今回も読書を通じたフィンランド旅へ。選んだ作品は『ほんとはかわいくないフィンランド』(2020年/幻冬舎)です。 IT業界の会社員兼ライターとして東京でバリバリ働いていた著者の芹澤桂さんが、フィンランド人との結婚を機にヘルシンキへ移住し、現地で感じたギャップやリアルな暮らしぶりを綴った本著。 同作のヒットを受け、2021年に『やっぱりかわいくないフィンランド』、2022年に『意地でも旅するフィンランド』、2023年に『それでもしあわせフィンランド』とコンスタントに続編もお目見えしています。 生活を楽しむ知恵 独身時代にもヨーロッパ5か国を周遊する旅でヘルシンキを訪れていた芹澤さん。お土産に北欧雑貨を買おうと張り切って街を散策するも、「かわいいものがどうも見つからない。そもそも雑貨屋さんというものがあまりない」と、最初のイメージはイマイチだったみたいです。 そんな
今回はフィンランドを舞台にした片桐はいりさんの処女作『私のマトカ』(2006年/幻冬舎)をチョイスしました。読書を通じて旅するメリットは、自分が行けない場所へも気軽に飛べる点。 寒さに弱く、まだ一度も北欧へ足を踏み入れたことのない私は、はいりさんの文章を通してフィンランドを疑似体験してみたいと思います。 予備知識なしでフィンランドへ 2005年8~9月、映画『かもめ食堂』の撮影でフィンランドに赴いた片桐はいりさん。普段は旅行前にみっちり下調べするという彼女が、この時は予備知識ゼロで現地へ乗り込みます。 ヘルシンキ行きのフィンエアーで提供されたプッラ(シナモンロール)にのっけから感動。それを見たCAさんが、今度はサルミアッキを持ってきます。 他国から世界1まずい飴と不名誉な称号が与えられているこのフィンランド名物と初対面にしたはいりさんは、「想像を絶していた。(中略)あまりのことに、口に入れ
今回選んだのは小野一光さんの『震災風俗嬢』(2016年/太田出版 ※2019年に集英社より文庫化)です。「旅に出られない間は旅に関する本の感想文をアップする」と宣言しているくせに、いわゆる旅の本ではありません。 しかし、ダークツーリズム/ブラックツーリズムの観点から無理矢理ブログのコンセプトに寄せて紹介したいと思います。災害による悲しい記憶を辿り、そこで得た教訓を未来に活かしていくのは大事。 なお、合法の性風俗産業そのものに対して、私はダークともブラックとも思っていません。立派なサービス業だと捉えています。くれぐれも誤解なきよう。 被災した風俗嬢たち 2011年3月11日、出張先の福岡で東日本大震災の発生を知った著者は、その足ですぐさま現地入り。以降、来る日も来る日も被災地を回るなか、4月上旬に岩手県北上市のバーで営業を再開したデリヘルの噂を耳にします。 「戦場から風俗まで」をコンセプトに
今回取り上げる書籍は高杉裕二さんの『中国で会社をつくったら、ひどい目に遭いました』(2014年/彩図社)。前回の『中国なんて二度と行くかボケ! ...でもまた行きたいかも。』に続いて剣呑なタイトルです。 家庭の事情で旅行できない現在は、旅に関する本の感想文をアップし、ブログを続行している私。表題通り本著は中国で会社を興した話がまとめられたもので、旅の本ではありません。よって、コンセプトからはズレますが、どうか大目に見てやってください。 軟禁、暴行、拘置所送り 高杉さんは大学で中国語を学び、卒業後は大手製菓会社に入社。150名いた同期のうち中国語を話せる唯一の人材として、すぐさま中国貿易部へ配属されます。 勤め人時代は客先の社長や専務を現地でアテンド。商談はほどほどに、酒の席で女の子を用意するなど、なかなかしんどいお仕事を任されていたようです。 で、いろいろありつつも、中国にどっしり腰を据え
母のリハビリ生活が長引く最中に、ご両親の介護について綴ったさくら剛さんのnoteを一気読みし、著者に対する印象がガラリと変わりました(※詳しくはこちらから)。自然と涙が溢れてきました。 ただし、それを紹介するのは自分的に違和感。あくまでも当ブログのテーマは旅です。旅に出られない期間であっても、そのコンセプトは残しておきたい。 そこで、今回はnoteの代わりにさくらさんの『中国なんて二度と行くかボケ! ...でもまた行きたいかも。』(幻冬舎文庫)をピックアップしました。 日本発、アフリカ経由、中国行き タイトル通り本著の舞台は中国です。けれども、旅の始まりは南アフリカのケープタウン。「来週から北京に留学します。お元気で」とのメールで恋人に振られた引きこもりのさくらさんは、愛する彼女に会いに北京を目指します。 ただ彼女を追いかけるといっても、こんなしょーもない自分に魅力などひとつもないというこ
陰暦6月の満月はヴィサカブーチャ(仏誕節)。今年は5月22日で、タイではお酒が飲めません。タイの禁酒日は年に5回あり、スーパーやコンビニ、飲食店でアルコールの販売が自粛。 この禁酒日が近付くと、普段はまったく読まれない『【検証】タイの禁酒日やアルコールの販売許可時間外ってガチで飲めないの?』の閲覧数が若干アップします。 すでに昨日くらいから微増しはじめました。旅行の下調べをされているのでしょうか。世の中にはけしからん同志が一定数いるものです。 そこで思い出したのが、高野秀行さんの『イスラム飲酒紀行』(2011年/扶桑社 ※上掲の表紙は2014年に文庫化された講談社版です)。 私とツレのアルコールに対する執着心なんぞ、著者の足元にも及びません。ましてや、禁酒日にタイで酒を探すのと、そもそも酒自体を法律で禁止しているイスラム圏で酒を探すのとでは次元が違いすぎて、並べて語るのもおこがましいですが
3回連続で宮田珠己さんのエッセイに関する感想文の投稿です。何かすみません。しかも、近作ならまだしも、すべて20年以上前に書かれた作品ですが、どうか引き続きお付き合いください。 サラリーマン時代の雄姿 今回は、2000年に刊行され、そこから7年の時を経て文庫化に至った4作目『わたしの旅に何をする。』(幻冬舎文庫)をピックアップ。 ベースとなるのは、前回の『ときどき意味もなくずんずん歩く』と同じく、雑誌『旅行人』での連載です。本編の始まりは以下の通り。 私はついこの間までサラリーマンであった。結局退職したのだが、ええぃ会社なんか今すぐ辞めてやる、そうだ、今すぐにだ、という強い信念を十年近く持ち続けた意志の堅さが自慢である。 構成は『有給の旅人』『旅立ちと陰謀』『旅人人生大器晩成化計画』の3部仕立て。第1章では有給を使って可能な限り大型連休を引き延ばし、全力でヴァカンスに興じる、まったく空気の読
こちらのページで書いた通り母の手術をきっかけに生活が一変。隣でリハビリの応援をしたり(※応援するだけで、実際は何の役にも立っていない)、他愛のない会話をして退屈しのぎの相手になったりする毎日を送っています。 母と過ごす時間は穏やかそのもの。不満もストレスもさほどありません。ただし、そうは言っても「旅に出たいな~」とか、「母にかまけて働かないのはよろしくないぞ」とか、あれこれ思わなくもないです。 ましてや、日常生活もままならないくらいの大怪我を負ってしまった母の身になってこの先の未来を想像すると、流石に胸が苦しくなります。 そうした状況下でうっかりネガティヴ・モードに突入しないよう、最近は宮田珠己さんの作品をよく読み返していました。ゲラゲラ笑って気分転換。何度読んでもフレッシュな気持ちで向き合え、毎回腹がよじれます。 これって何の本だっけ? 前置きが長くなりました。前回の『ジェットコースター
大型連休っぽいアクティヴィティーを何ひとつしないまま、GWが後半戦に突入してしまいました。残りの3日間も特にアガる予定は控えていません。 そこで少しはレジャー気分を味わおうと、今回は『ジェットコースターにもほどがある』(集英社文庫)を選んだ次第です。 絶叫ライドを乗り倒せ! 2002年リリースの単行本をベースに、2011年に加筆・修正して文庫化された本著は、石ころやベトナム盆栽、迷路、海の変な生き物など、さまざまな方面に関心を寄せる旅行作家の宮田珠己さんがジェットコースターをテーマに編んだエッセイ。 端的に説明すると、著者が北米・台湾・日本のジェットコースターを乗り倒し、その感想をひたすら綴っていく作品です。それ以上でもそれ以下でもありません。 もともとジェットコースターが大好きな宮田さんは、世界一ジェットコースターの多い国=アメリカで遊園地巡りをしたいと夢見るも、同行者が見つからずに実現
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く