読む鉄道、観る鉄道(36) 『萌の朱雀』 - 鉄道が来なかった山村の哀愁を描く、尾野真千子デビュー作

鉄道を背景や舞台に登場させる映画は多い。その意味で『萌の朱雀』は異色だ。なんと、物語の背景に登場する鉄道は未成線。建設が中断され、開通しなかった鉄道である。映像には鉄道車両もレールも出てこない。ただ、ぽっかりと空いたトンネルがいくつか出てくる。そこに山村の暮らしの哀愁が重なる。舞台は奈良県の西吉野村(現・五條市)。未成線は実際に計画、着工された五新線である。 『萌の朱雀』は1997年に制作、公開された映画。説明要素のない難解な作品ではあるけれど、映像美に魅せられた根強いファンも多く、ロケ地訪問のブログも多い。当時、国内では大きく喧伝されなかったようだ。しかし海外では高く評価された。第26回ロッテルダム国際映画祭で国際批評家連盟賞を受け、監督の河瀬直美氏は第50回カンヌ国際映画祭で新人監督賞(カメラ・ドール)を史上最年少で受賞している。 主演の尾野真千子も、同作品でシンガポール国際映画祭の主

[ueshin]

尾野真千子のデビュー作。西吉野では戦前、五条から新宮までの鉄道計画が生まれたのだが、頓挫したとか。いくら吉野杉を運ぶといっても、あんな山の中。

[John_Kawanishi]

http://cdn-ak.b.st-hatena.com/entryimage/154175654-1373756877_l.jpg五新鉄道の顛末というか沿線が映画の舞台にまでなってたんだ