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猛暑に注意を
oguri.info
さて、どうしたものか シェア ポスト 送る 追加 2025/06/12 家の近くの細い農道に桑の木が覆いかぶさっていて、この時期になるとその実が道に落ちて車にひかれ、ジャムのようにねばりつく。「ポーランド人はこのジャムが大好きなの」と教えてくれたのはロシア・ポーランド文学者の工藤幸雄さんの奥さん、久代さんだった。久代さんは生涯、化粧品の類を使わず、洗顔は米ぬかで通していていた。根っからの自然派である。お住いだった祖師ヶ谷あたりではなかなか桑の実は手に入らなかったと思うが、ご馳走になったことがある。日向臭いような、独特な野性味がある。お二人とももう亡くなられている。 甘いものが少なかった子供のころ、この濃い赤紫の、ちょっと細長くなった木の実につい手が伸びた。ただ赤痢が流行っていた時期だったからなのか、親からは食べてはいけないと言われていた。しかし子供は怖いもの知らずである。家に帰ると食ったか
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