2023年の出生数は約73万人で、20年前に比べ40万人も減った。社会学者の橋本健二さんは「少子化の背景には経済格差がある。女性の収入が低い問題が解決されず、さらに家計を支えてきた男性の非正規化も進み、未婚の男女が増えている。そんな現状で最低賃金を上げれば、子供を産み育てる余裕も生まれ、少子化対策になるはずだ」という――。 「女性の貧困」は急速な少子化をもたらした要因のひとつ 前回の記事では、労働者階級の夫をもつ専業主婦とパート主婦は夫との離死別によって、貧困層の典型のひとつである「アンダークラス」に陥るリスクが極めて高いとお伝えしました。 私はこれを日本の存続の危機に直結する問題だと考えています。女性の貧困は、男女格差や女性差別をなくして困っている女性を救おうといった文脈で語られることが多いのですが、それだけではなく日本社会を救うために解決すべきなのです。 日本の状況はそれほどまでに切迫