前回からの続き。 開戦と内部分裂 オランダの「独立」の実情 劣勢から巻き返して休戦へ 貿易大国としての隆盛 戦争の再開と終戦 開戦と内部分裂 1568年にオラニエ公ウィレムが戦闘を開始したことを持って独立戦争(八十年戦争)が始まるとされる。ただし、オラニエ公だけでなくスペイン本国も金銭不足で(四方で戦争してる)、開始から数年間は膠着状態であった。 戦況が動くようになったのは1572年から。 アルバ公の弾圧から逃れて海上でゲリラ活動をしていた集団の総称を「海乞食」というが、オラニエ公は彼らを私掠船として公認した。私掠船とは《国王や地方長官が、特定の個人または団体に特許を与えて、外国の艦船を拿捕・略奪することを認めたもの》 *1。 72年4月の〈海乞食Zeegeuzen〉(乞食団)によるブリーレ占領を口火にホラント,ゼーラント両州諸都市の大半がスペインの軛(くびき)を脱してオラニエ公を州総督と