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SSDストレージがほぼ同時に3本故障した――。東京・大田区が2024年4月17日、昨秋発生したシステム障害の検証結果を明らかにした。複数のシステムが利用できない状態に陥ったことで行政サービスの停止に追い込まれたトラブルは、ハードウエアを冗長化していた同区の想定を上回る事態によって生じたものだった。 トラブルのあらましはこうだ。2023年10月9日から10日未明にかけて大田区の情報システム基盤に障害が発生。住民記録システム、国保年金システム、税務システム、介護保険システム、生活保護システムが使用不可となった。結果、証明書類の発行など各種行政手続きは停止を余儀なくされた。 同月12日に3つのシステム、15日には全てのシステムが利用可能な状態に復旧。保留していた処理を完了し、完全復旧にこぎ着けたのは18日のことだ。障害発生から9日が経過していた。 「大田区において、ここまで大規模なシステム障害は
ERP(統合基幹業務システム)の導入に失敗した挙げ句、ビジネスが止まる――。ERPにまつわるシステム障害が相次ぎ発生している。江崎グリコは独SAPのERP「S/4HANA」を使って構築した基幹系システムの障害で、プッチンプリンなどチルド品の出荷停止に追い込まれた。ユニ・チャームもS/4HANAと物流システムの連係を巡る障害で、製品の出荷に遅延が生じた。 なぜERPの導入はうまくいかないのだろうか。イチからシステムを構築するわけではなく、形のあるパッケージソフトを導入するにもかかわらず、だ。 江崎グリコは2024年4月3日に実施した基幹系システムの切り替えでトラブルが発生し、「プッチンプリン」をはじめとする同社製品と、同社が物流・販売を請け負っていた他社チルド食品の出荷ができなくなった SAPや米Oracle(オラクル)など大企業向けのERPパッケージを中心に、導入に失敗することは今に始まっ
東京海上ホールディングスと東京海上日動火災保険が2028年度の竣工を目指している東京・丸の内の「新・本店ビル」は、国内最大規模の高層木造になる予定だ。建物は地下3階・地上20階建てで、高さは約100m。延べ面積は約13万m2。 柱や床に国産木材を使うことが話題になっている。構造は鉄骨造、木造、鉄骨鉄筋コンクリート造のハイブリッド構造とする。
Microsoft Teamsの「検索」ボックスはキーワード検索のほかに、コマンドの実行も可能だ。クリックなどの操作をせずにコマンドを実行できるので便利だ。新しくなったTeamsでは「メッセージを入力」ボックスでもコマンドを実行できる。今回は、コマンドの実行方法や実行例を紹介しよう。 なお、本連載ではMicrosoft 365 Business Standardのプランで、デスクトップ版の新しいTeamsで動作を確認している。OSやOffice、アプリ、Edgeのバージョンによっては、ここで説明する機能が使えなかったり、画面が異なったりする場合がある。 新しいTeamsのデスクトップ版とWeb版で動作を確認 Teamsの画面上部にある「検索」ボックスでは、コマンドを実行可能だ。コマンドの開始を意味する半角の「/」(スラッシュ)に続けて、コマンドを入力すればよい。 新しいTeamsでは「検索
中国政府が目指す「半導体製造装置の国産化」は前途多難だ。同政府は、他国に頼らず、国内で半導体製造を完結できるように国内装置大手への財政支援を加速している。ただ、世界の業界大手と比べるとまだ規模が小さく、技術的な差も大きい。「(半導体製造企業や装置メーカーなどの)現場はお手上げ状態だが、それを言いづらい状況だ」。中国の情勢に詳しい日本総研 調査部 主席研究員の三浦有史氏はこう語る。 中国における半導体製造装置の業界地図(出所:経済産業省や中国・中商産業研究院、米国半導体工業会(SIA)、米Boston Consulting Groupのデータを基に日経クロステックが作成)
パナソニック ホールディングス(HD)は、グループ国内従業員7万人が使う新人事システムの運用を開始した。人事情報の発信や問い合わせ窓口を一本化。従業員が情報を探したり、人事社員が問い合わせ対応に割いたりする手間を削減した。生成AI(人工知能)による質問回答機能の追加開発も進めている。 「人事サービスごとに問い合わせ先が乱立していた」。パナソニック オペレーショナルエクセレンスの田中和也エンプロイーサクセスセンター企画室室長は、新システム稼働前の課題をこう語る。健康保険や給与など人事サービス領域ごとに問い合わせ窓口やシステムが異なっており、従業員が自力で問い合わせ先にたどり着けないことが頻繁にあったという。従業員に向けて人事関連の情報を発信する手段も、ポータルサイトやメールなど複数存在していた。 問い合わせにはこれまで、各事業会社の事業部など、さまざまな部門に配属されている人事社員の「事業場
複雑化・ブラックボックス化したシステムが企業のDX(デジタル変革)を阻害すると、2025年以降、最大で年12兆円の経済損失が生じる可能性があるとした経済産業省の報告書、いわゆる「2025年の崖」問題。老朽化した既存システムの温存が続くと、高度なデータ活用といったDXが進展せず、企業は事業機会を失うという。 複雑化・ブラックボックス化したシステムの代表格がメインフレームである。多くのメインフレーム上で稼働するCOBOLプログラムを保守・運用できる技術者は高齢化し、人材不足が深刻だ。しかも国内に多くのユーザーを抱える富士通は2030年度末までにメインフレームの製造・販売を終了すると発表した。老朽化したシステムを保持する企業にとってモダナイゼーション(モダナイ)に残された時間は少なく、「レガシーシステムのモダナイは難しい」と諦めている企業もあるのではないか。 しかし諦めるにはまだ早い。ITベンダ
一説によると位置情報ゲーム「Pokémon GO(ポケモンGO)」をいまだに続けているのはおじさんばかりであるという。そもそもの「ポケットモンスター」が昆虫採集をモチーフにしたものであり、「集める」「そろえる」といったおじさんのコレクション心をくすぐるのかもしれない。 かくいう筆者もまだ続けている。当初は小学生の子どもにせがまれてやっていたのだが、もはや当人は高校生となって全然興味を示さない。毎日「どんなポケモンがいた?」と聞いてきた頃が懐かしい。お父さんも別に必死にコレクションしているわけではないが、歩いた距離が出るので万歩計代わりに使うのがすっかり習慣になってしまった。 スマホをなくすという初体験 先日、某所にてスマートフォンをなくした。今までは見当たらなくても自宅や職場に置き忘れていたとか、実はかばんの奥底に眠っていたとかで、本気でなくしたのはこれが初めてで大いに焦った。記者会見の直
「自治体ネットワークの三層の対策はやめる」――。河野太郎デジタル相は2024年5月31日のデジタル庁主催の会見において、このように発言した。メディアの多くは同時に言及のあった「iPhoneへのマイナンバーカード機能搭載」に注目したが、自治体ネットワークの関係者にとって「三層の対策(三層分離)廃止」は同等以上に注目すべきトピックだっただろう。 河野大臣は会見の中で三層分離を「業務の効率性」「セキュリティー」の2つの面への悪影響からやめるべきだとした。大臣がやめようとする三層分離とは何か。誕生の経緯や改定の流れを解説する。 きっかけは日本年金機構の個人情報125万件流出 誕生の経緯について、話は2015年に遡る。日本年金機構が標的型攻撃の被害に遭い、基礎年金番号や氏名などを含む125万件の個人情報が流出した。事態を重く見た総務省が、セキュリティーの強化策として打ち出したのが三層分離である。 三
東海道新幹線の軌道とJR品川駅ビルの直下で、リニア中央新幹線の新駅の建設が進む。建物を延長約460mにわたって仮受けし、巨大な地下構造物を造る。施工では、新幹線の運行などへの影響を避ける様々な工夫を凝らす。 リニア中央新幹線の品川新駅の建設現場では時折、話し声が聞こえなくなるほどのごう音が鳴り響く。約13m真上を走る東海道新幹線の走行音だ。新幹線の軌道を仮受けする仮設の「工事桁」の隙間から、車両が動く姿を目にすることができる。
村田製作所が、ナノ多孔材料を用いて二酸化炭素(CO2)を吸着する材料の開発を進めている。室温ではCO2を取り込み、セ氏60度以上になると放出する。同社は同開発品を、自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA」(2024年5月22~24日、パシフィコ横浜)で披露した。 開発品は、表面積が大きいハニカム構造のセラミック部品に、ナノ多孔材料であるMOF(金属有機構造体)を塗布したもの。この材料は、室温ではMOFの金属イオン内にCO2分子を取り込み、セ氏60度以上になると放出する。このため、温度差を利用してCO2濃度制御などに利用できる。 同社は用途として、電気自動車(EV)の空調やビニールハウス内部のCO2濃度制御を想定している。例えばEVは空調の使用による航続距離の低下が課題とされている。ガソリン車のように廃熱を利用できないためだ。 空調の使用時には、運転負荷が低
KADOKAWAグループのシステム障害が長期化している。2024年6月11日午後3時時点で、子会社のドワンゴが運営する動画配信サービス「ニコニコ動画」などを利用できない状態が続いている。ドワンゴは6月10日夜、Webサイトで「サイバー攻撃の影響を受けずにニコニコのシステム全体の再構築をするための対応を進めている」とのコメントを出した。 KADOKAWAの発表によると6月8日未明、グループ企業が運営する複数のWebサイトにアクセスできない障害が発生した。同社はデータを保全するため関連するサーバーを停止させたという。6月11日時点で、KADOKAWAは「現在も調査を続けている。6月9日に発表したリリース以外の情報は回答できない」(同社広報)とする。 システム障害の詳細は明らかになっていない。障害の発生当初は「大規模なサイバー攻撃を受けた」としていることから、サービスの負荷を高めてダウンさせるD
【答え1】サーバー仮想化とは、専用のソフトウエアを使ってCPUやメモリー、ディスクなどのハードウエアリソースを物理的な構成にとらわれずに論理的に統合・分割する技術である。 仮想化技術が登場する以前は、Webサーバーやアプリケーションサーバー、メールサーバーなど役割の異なるサーバーを、それぞれ別の物理サーバー上で運用するのが一般的だった。仮想化技術によって1台の物理サーバーを複数の仮想マシンに論理分割することで、1台の物理サーバー上に様々な役割のサーバーを集約できるようになった。 サーバー仮想化を活用することで、サーバーのリソースを有効活用できるほか、新しいサーバーをすぐに用意できるようになるといった運用効率の改善が見込める。日本においては、2000年代後半からサーバー仮想化技術の導入が本格化した。 仮想マシンはOSよりも下位のレイヤーで稼働するハイパーバイザーがつくり出す。ハイパーバイザー
■高速化されたSoC、メインメモリー、GPU まずはラズパイの中核をなす部品であるSoC(System on a Chip)からです。Pi 5が搭載する「Broadcom BCM2712」は、前モデルのPi 4Bが搭載する「Broadcom BCM2711」と比べて性能が大幅に向上しました。SoCとは、プログラムを実行するCPUやメインメモリー、メモリーの管理を担うメモリーコントローラー、ディスプレイへの画像表示および3D描画の処理を行うGPU(Graphics Processing Unit)など、複数の機能を一つのチップに集約した半導体部品の総称です。 Broadcom BCM2712には、クロック周波数2.4GHzで動作するクアッドコアCPU「Cortex-A76」が搭載されており、Pi 4Bが搭載する同1.8GHzの「Cortex-A72」と比べて約1.3倍高い周波数で動作可能です
情報処理推進機構(IPA)は、電気自動車(EV)用電池の再資源化などを目的にドイツ発の自動車業界向け国際コンソーシアム「Catena-X(カテナエックス)」と企業間データ連携基盤の相互運用に向けて協議を始めた。データ社会推進協議会(DSA)も欧州などとの相互運用を目指している。国内企業は、日本国内にある複数のデータ連携基盤も相互運用できるよう、協力する必要がある。 Catena-Xとは自動車業界のサプライチェーン(供給網)を網羅し、脱炭素やサーキュラーエコノミー(循環型経済)を支えるデータ連携基盤だ。推進する業界団体の名称でもある。ドイツ発ということもあり独BMWや独メルセデス・ベンツグループ、独SAPなど多くのドイツ企業がメンバーに名を連ねる。日本企業でもNTTコミュニケーションズ、富士通などがメンバーとなっている。 Catena-X理事でSAPグローバル副社長(自動車産業統括)のハーゲ
今回レビューするスマートフォンは、米Google(グーグル)の「Google Pixel 8a」。2024年10月に発売された「Google Pixel 8」の廉価版という位置付けだ。しかし、CPUには上位モデルと同じ「Google Tensor G3」を採用し、RAMとROMも同じ8GB+128GBという構成だ(Pixel 8は256GBモデルがあるが、Pixel 8aの256GBモデルは日本では発売されない)。
「Raspberry Pi(ラズパイ)」は、英Raspberry Pi社が開発・販売する小型シングルボードコンピュータだ。その特徴や使い方などを解説する。 「Raspberry Pi」(読みはラズベリーパイで、通称は「ラズパイ」。以下、本特集では後継・派生モデルも含めて「ラズパイ」と表記します)は、英国のRaspberry Pi社が開発した小型のシングルボードコンピュータです。名刺程度(85.6×56.5mm)で手のひらに乗るほど小さなサイズのボードでありながら、ディスプレイやキーボード、マウスなどを接続することで一般的なPCと同じように使えるほど高性能です。 Raspberry Pi社が提供するラズパイ用の公式OS「Raspberry Pi OS」を導入することで、WindowsやmacOSと同等のデスクトップ環境で各種アプリを利用できます。WebブラウザーでWebサイトにアクセスしたり
「政府は、全国約1800の地方自治体が使うITシステムを共通化する方針を固めた」というニュースを読んだ。各自治体に共通する業務のシステムを統一して行政事務の効率化を目指し、6月に策定する「国・地方デジタル共通基盤に関する基本方針」に明記するという。 これまで政府は自治体のシステム開発は各自治体でという方針であったが、自治体が直面している現実を見れば自治体の独立性に「丸投げ」している場合ではない、非常に厳しい状況ということだろう。このニュースに対する反応をみると様々なものがあった。 「役所の業務効率化の観点から絶対にやるべきだ」「自治体職員の意識改革が最大の問題」「各自治体は地域特性や文化の違いがあるので、共通化は難しいのと思う」「やれるベンダーはあるのか。結局、超大手数社がもうかるだけでは」といった声だ。 全体的な傾向としては「共通化はすべきだが、実現は難しいのでは」といった感じである。筆
国土交通省道路局は、道路の詳細な平面図などが見られる道路基盤地図情報と道路台帳付図のデータを一元的に管理する「全国道路基盤地図等データベース」を構築し2024年5月31日から一般公開を開始した。従来、道路台帳付図の閲覧は国道事務所の出張所へ赴く必要があったが、同データベースの公開によりWebサイト上で利用できるようになった。
GIGAスクール構想によって児童生徒の1人1台端末と学習系の通信ネットワークの整備が進む中、教員の業務で用いる校務系ネットワークはそれらと分離している学校が多い。一部の先進自治体は校務系ネットワークと学習系ネットワークを統合し、ゼロトラスト型のネットワークでセキュリティーを確保しつつ、校務の効率化を進める動きが出ている。 GIGAスクール構想以前は、インターネットへのアクセスにも制約があった学校だが、GIGAスクール構想の浸透とともに一気にクラウド活用へと向かっている。学習系と校務系を統合して整備された学校ネットワークは、評価印で言えば「たいへんよくできました」といった段階になるだろう。 文部科学省は2024年1月、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改訂した。「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」での提言を踏まえたセキュリティーの考え方、
複数のコンピューターから大量のパケットを送り、標的のWebサービスを利用できない状態に追い込むDDoS(Distributed Denial of Service、分散型サービス妨害)攻撃が増加している。直近では、スマートフォンのタッチ決済大手が狙われて障害が発生した。DDoS攻撃の脅威が改めて浮き彫りになった。 モバイルSuicaでチャージできない障害 2024年5月10日夕方、JR東日本が運用するタッチ決済サービス「モバイルSuica」がアクセスしにくくなり、電子マネーをチャージできない障害が発生した。ほかに新幹線チケットを購入できる「えきねっと」をはじめ「JRE POINT」「VIEW's NET」「ビジネスえきねっと」「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」のサービスにも影響が出た。 モバイルSuicaの障害が発生した時間帯に別のタッチ決済サービス「モバイルPASMO」でも障害
JR東日本によれば、鉄道利用の9割はSuicaなどIC乗車券で、磁気乗車券を購入する利用者は5~10%程度にとどまる。QR乗車券に移行すれば、券詰まりを取り除くなど駅員によるメンテナンスの手間を削減し、乗客向けサービスの向上に人手を割けるようになるという。 JR東日本の場合、QR乗車券に置き換える対象は近距離切符である。長距離切符や新幹線乗車券は2027年度以降も当面は磁気乗車券を残し、改札機もそのまま維持するという。定められたエリア内で乗り放題できるフリーきっぷなどの企画乗車券についても、QR乗車券の導入予定は今のところないという。それでも駅員によるメンテナンス時間の削減や、磁気乗車券の枚数を減らすことによる環境負荷軽減の効果は大きいと見ている。
「残念石」がにわかに脚光を浴びている。大阪・関西万博では大きな注目を集めることになるだろう。 石の説明は後ほど詳しくするとして、まずは下の写真を見てほしい。万博会場ができる大阪・夢洲(ゆめしま)に2024年5月に運び込まれ、基礎の上に置かれた巨石だ。全部で5つある。 高さは2.5〜3mと、大きなものは人の身長の2倍近くある。重さは7〜13トン。花こう岩の塊である巨石は、会場内で圧倒的な存在感を放っている。会場でたまたま巨石を見かけたパビリオンなどの関係者の中には、「巨石文明の建造物のようだ」「イギリスのストーンヘンジに似ている」といった感想を漏らす人がいたという。本物の石が醸し出す力強さを感じるのかもしれない。 夢洲に巨石を運び込んだのは、3人の若手設計者チームである。小林広美氏(Studio mikke)と大野宏氏(Studio on_site)、竹村優里佳氏(Yurica Design
ベテラン技術者にとってそれが大きな社会貢献になることに、どうして気付かないのか。何のことかというと、私が長年言い続けてきた「若者をコボラーにするな」に絡む話だ。「システムは開発より保守運用のほうが重要だ」などと嘘八百のへ理屈で洗脳し、挙げ句の果てに若者をCOBOL技術者などに仕立て上げることが、どれほど罪深いか。この「極言暴論」ではずっとそんな主張をしてきた。なので、ベテラン技術者にはぜひ、若手技術者を守る防波堤になってもらいたい。そう思っていたのだが……。 日本の企業や公共機関には老朽化したシステムがゴロゴロと転がっている。金融機関を中心に現存する、いにしえのCOBOLで書かれた基幹システムなどは、まさにその象徴だ。前回の極言暴論で解説した通り、経営者らがシステム刷新のリスクにビビってしまい、刷新を先送りし続けていることなどが原因なのだが、基幹システムであってもERP(統合基幹業務システ
NTTドコモの前田義晃副社長が2024年6月14日付で社長に昇格する。NTTグループの生え抜きでないなど、異例尽くしの社長交代となる。その狙いは、出遅れ感が目立つ経済圏ビジネス強化にある。一方で通信品質の低下に懸念の声が上がり、成長が見込めない5G(第5世代移動通信システム)ネットワークへの投資が重くのしかかる。新体制で難局を乗り越えられるだろうか。 NTT生え抜きではない副社長が新社長に 2024年5月前半、携帯各社の決算発表が相次いだ。KDDIは、ミャンマーが軍事政権下となって以降、同国の携帯電話事業において債権の回収に遅れている。ソフトバンクは、LINEヤフーの個人情報漏洩問題を巡り、韓国NAVER(ネイバー)との関係に揺れている。そんな中、NTTドコモは大手3社の中で唯一、通期での増収増益を達成し、好調な業績を示していた。 そのNTTドコモは2024年5月10日、親会社であるNTT
CTCの2024年3月期の連結決算は、売上高に当たる売上収益が前の期比13%増の6475億円、営業利益が23%増の573億円と増収増益だった。国内の旺盛なシステム刷新需要などを取り込み、全事業グループで増収だった。 新中期経営計画では注力領域として「先進技術」「オリジナリティー」「クオリティー」「知的資本」の4つを挙げた。また、説明会では注力するポルトガルOutSystems(アウトシステムズ)のローコード開発ツール「OutSystems」の導入支援事業についても説明。同事業の売上高を今後2~3年で倍増する計画とした。
日本のITエンジニアの給与が低いのはどこに問題があるのか。本特集ではこれまで、国際事情に詳しい専門家や、ITベンダーの経営者、CIO(最高情報責任者)経験者など、様々な立場の意見を追ってきた。 最終回となる今回は、マクロ経済学を研究する法政大学の山田久教授に、産業構造の観点から、今の日本のIT産業の問題点とITエンジニアの給与をアップするための方策を聞いた。山田教授は、「IT産業は既に弱体化しており、今までの延長線上では、ITエンジニアの処遇が上がることはないだろう」と指摘する。 グローバルで見た場合、日本のITエンジニアの処遇が相対的に下がっています。日本のIT産業の現状をどう見ていますか。 デジタル分野の国際収支を見てください。赤字幅が急速に広がっています。デジタル分野は著作権等使用料、コンピューターサービス、専門・経営コンサルティングサービスを足し合わせた値です。
リチウム硫黄(Li-S)電池は、正極活物質に硫黄(S)、または硫黄化合物を用いたリチウムイオン2次電池(LIB)である。負極には金属リチウムか、その合金を用いることが多い。硫黄(S)は原子1個でリチウム(Li)原子2個を引き付けられる、もしくは電子2個を出すことができるため、理論上は既存のLIBの約10倍の重量エネルギー密度を達成できる。現実的には、2倍程度の重量エネルギーの実現を目標とした開発が進められている。 硫黄は地球上に豊富にある元素の1つ。地殻中における元素の含有率を示すクラーク数では炭素の次で、窒素よりも多い。そして、中国や米国、ロシアなどを中心に、化石燃料の精製や金属の精錬過程で分離された副産物として大量に生産されている。このため、非常に安価に入手でき、安定的な供給が確保できる。Li-S電池では、既存のLIBの正極で使われているコバルトやニッケルといった高価な金属材料が不要に
筆者は以前、Appleシリコン「M3」を搭載した13.6型ディスプレーモデル(以下、13インチモデル)の「MacBook Air」をレビューした。 今回は、M3を搭載した15.3型ディスプレーモデル(以下、15インチモデル)のMacBook Airを取り上げ、13インチモデルと性能を比較した。 「大きさが違うだけで性能は同じではないのか」と思う人は多いだろう。だが以前、M2搭載モデルの13インチモデルと15インチモデルを比較した際には違いが見られた。高い負荷が継続してかかる動画変換などの「重たい処理」については、15インチモデルのほうが高い性能を示した。 M3搭載モデルでも同様なのだろうか。実際に試してみた。 また今回、レビューのためにApple Japanから借りたのは、本体カラーがミッドナイトの15インチモデルである。このミッドナイトには、指紋の付着を減らす処理が施されているという。本
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