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セキュリティ
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経営再建を進めている東芝が、今後の中核事業の1つと位置付けるデータセンター向けHDD(ハード・ディスク・ドライブ)で、“逆襲”の狼煙(のろし)を上げた。 同社傘下の東芝デバイス&ストレージは2024年5月14日、「熱アシスト磁気記録(HAMR:Heat-Assisted Magnetic Recording)」によって、3.5インチのHDDで32TB(テラバイト)という大容量の実証に成功したと発表した(図1)。瓦磁気記録(SMR:Shingled Magnetic Recording)†方式を使ったディスク10枚構成のドライブで、2025年にサンプル出荷を開始する予定だ。 †瓦磁気記録=磁気ヘッドを少しずつずらしながら、データを記録するトラックを重ね書きすることで、実効的なトラック幅を減らして記録密度を高める手法。通常記録方式より記録容量を高められる一方、頻繁なデータ書き換えの性能が低下す
「トヨタ自動車は正攻法で対応すべきではないか」──。国土交通省が違和感を覚えている。トヨタ自動車が認証不正の会見内容と、この会見後に一部で展開されている認証制度に対する批判についてだ。 同社は6つの不正を行っていたが、そのうちの3つは法規認証試験(以下、認証試験)が定める基準よりも厳しい基準を満たすように開発を行い、その試験データを認証申請に使った。これに対し、トヨタ自動車のカスタマーファースト推進部本部長の宮本眞志氏は「不正の意識がないと言えば言い過ぎだが、お客様に本当に良いクルマを届けたいという気持ちがまずある」「より厳しい条件でクルマの開発をしているという自負もある」などと説明した。 加えて、同社の豊田章男会長は認証制度の課題について問われて、「今、私が言うべきではないが」と断った上で、こう回答した。「やっぱり、日本の自動車メーカー、特にトヨタ自動車は世界中で販売しているため、日本で
東京電力ホールディングス傘下のe-Mobility Power(イーモビリティパワー、東京・港)と電力関連設備を手がける東光高岳が、電気自動車(EV)向けの新型急速充電器を共同開発する。日本で販売されるほとんどのEVが対応する「CHAdeMO(チャデモ)」規格を採用し、最高出力は350kWである。同規格の急速充電器としてはこれまでで最も出力が高い。2025年秋にも設置を始める。 イーモビリティパワーと東光高岳が2024年5月に発表した。急速充電器の最大電圧は1000Vで、電圧800Vの電池を搭載するような高性能EVでも高い充電効率を生かせるようになる。日本でも800Vシステムを採用したEVは販売されているが、既存の国内の急速充電器では車両側の昇圧回路で昇圧して充電している。このため、高電圧化による充電効率向上の恩恵を受けられていなかったという。 今回の急速充電器の場合、高電圧での急速充電に
時価総額が2.6兆ドル(約410兆円)を超え、2.9兆ドルで世界2位の米Apple(アップル)の背中が見えてきた米NVIDIA(エヌビディア)。エヌビディアの専売特許であるGPU(画像処理半導体)の今後を占う連載の第2回は、2つめの死角「コモディティー化」の可能性を検討する。 GPUにとって2つめの死角は低価格化だ。コモディティー化ともいえる。市場参入時には高付加価値を持っていた製品が、市場の活性化や競合の出現などによって他の製品との機能・サービスの差がなくなり、価格競争を余儀なくされる状態を指す。 例えば2010年代に日系電機メーカーが苦しんだ薄型テレビはその典型だろう。当時、売れ筋だった40インチの薄型テレビの店頭実売価格は2009年には14万円程度だったが、3年後の2012年には6万円台と半額以下になった。「3年で半額」という法則はDVDやブルーレイディスクのレコーダーにも当てはまっ
米Google(グーグル)が運営するGoogle Cloudが、ユーザーの業務システムが稼働するITインフラを誤って削除するという衝撃の事件が2024年5月に発生した。ユーザーはこのような事態に備えられるのか。有識者の見方などを紹介しよう。 オーストラリア最大の私的年金基金で1240億オーストラリアドル(金額は2023年6月30日時点、現在のレートで12兆9600億円)を運用するUniSuper(ユニスーパー)の業務システムがダウンし、61万5000人の加入者がオンラインサービスにアクセスできなくなったのは、2024年5月2日(オーストラリア時間、以下同じ)のことだった。 業務システムが待機系ごと消滅 原因は、ユニスーパーの業務システムが稼働していたGoogle Cloudにあった。同システムは、Google CloudにおけるVMware環境のサービスである「Google Cloud V
グローバルに比べて伸びも抑えられ、世界72カ国中26位に沈む日本のITエンジニアの給与。どうすればその給与はアップするのだろうか。日本のITエンジニアの給与はなぜ低いのか。様々な立場の識者4人に聞いていく。 「価値を出せるITエンジニアの給与は確実に上昇している」とウルシステムズの会長で創業者の漆原茂氏は日本のITエンジニアの処遇についてこう強調する。同社は独立したITベンダーであり、ユーザー企業の情報システム部門を支援するコンサルティングサービスなどを手掛ける。ITベンダーから見たITエンジニアの給与の現状と給与をアップするための方策を聞いた。 日本のITエンジニアの平均給与は3万6061ドル(1ドル=150円換算で約540万円)で、世界26位という結果があります。この状況をどう見ますか。 少し安いなという印象を受けました。企業向け情報システム構築に携わるITエンジニアの給与はもう少し高
「突然、天から降ってきた」。2023年10月末、財務省や総務省、国税庁、厚生労働省の官僚6人ほどが官邸近くにある内閣官房の入る庁舎の一室に呼び集められた。複合機も置いていない部屋で配られた資料は物価高への経済対策だ。互いに面識もなく急に集められた官僚にとって寝耳に水だった。 「定額減税及び低所得者支援等」と書かれた経済対策は、岸田文雄首相と限られた官邸メンバーらが政治主導で決めたものだ。2024年6月から1人当たり4万円の定額減税と、所得が少なくて非課税などの世帯に現金を給付するというイメージが、霞が関特有のポンチ絵で描かれていた。「総理が絵を描けるんだと思った」と官僚の1人は振り返る。 「6月から減税」の大枠を変えられず なぜ減税を始める時期を6月にしたのか。その理由について政府は「春季労使交渉(春闘)による賃上げや賞与の時期で、減税を合わせることで所得の伸びが物価の上昇を上回る環境を確
ビジネスパーソンの働き方の実態を調査で探る特集の最終回は、複数の観点からテレワークの在り方を探る。出社によって得られること、在宅勤務がもたらす価値、在宅勤務と出社の最適な組み合わせについて考えてみる。 日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「ワークスタイルに関する動向・意識調査」を2020年春から定期的に実施しており、2024年4月に最新となる9回目の調査をした。調査で所属部署における机と座席の配置形態を尋ねたところ、フリーアドレスを利用できる人の割合が50.6%に達した。 「フリーアドレスを導入している(固定席はない)」「フリーアドレスを利用でき、それとは別に固定席もある」を選んだ人を合計した。同割合は2023年10月の前回調査より3.3ポイント増え、初めて5割を上回った。テレワークと出社の併用を前提としたオフィス形態が一段と定着した格好だ。 オフィスの「いす取りゲーム」が過熱
プログラミングの知識がなくてもアプリがつくれる――。コード自動生成技術の歴史は、そんな未来を予感させ続けてきた。UML(統一モデリング言語)モデルの発展、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)ツールによるモデリングとコードの自動生成、ノーコード・ローコード開発ツールなど、生成AI(人工知能)以前にも様々なコード自動生成のアプローチがあった。 特に2020年前後から話題になっているノーコード・ローコード開発ツールは、ソフトウエア開発のハードルを下げている。 「プログラミングの知識がなくても、ビジュアルなGUIの操作だけでアプリケーションがつくれる」。そんな触れ込みで多くのツールが登場、あるいはリブランディングされた。「STUDIO」や「Wix」などのWebサイトビルダー、「BASE」や「Shopify」などのEC(電子商取引)サイト構築サービス、「Bubble」や「Adalo」といったモバイ
富士通と東洋大学は2024年6月3日、顧客による迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の体験ツールを開発したと発表した。従業員の心理的負担の軽減や応対スキルの向上に役立つという。 カスハラに共通する会話パターンを再現したAI(人工知能)トレーナーと会話する「カスタマーハラスメント疑似体験機能」や、アバターが従業員に応対をアドバイスする「ナラティブフィードバック機能」を有する。前者のカスタマーハラスメント疑似体験機能は、富士通が2023年に開発した特殊詐欺の手口を再現するAIトレーナー技術をベースとする。犯罪心理学を基に、カスハラに共通する会話のパターンを学習したAIトレーナーと会話をすることで、従業員はカスハラを体験できる。 後者のナラティブフィードバック機能では、疑似体験機能で蓄積した、従業員のバイタルデータや応対データなどを分析し、「不安になりやすい」など従業員の心理特性を推定
衣料品や靴などのEC(電子商取引)事業を手掛ける夢展望は2024年6月3日、同社の連結子会社でジュエリー販売を営むトレセンテの公式Webサイトが閲覧できない状態にあると発表した。同社が使うドメイン管理サービスが不正アクセスを受け、公式Webサイトで使うドメイン「trecenti.com」が海外のドメイン管理会社へ移管されたという。 同社によれば、利用していたドメイン管理サービスはGMOインターネットグループが運営する「お名前.com」である。「攻撃者が、ドメイン管理サービスの管理画面にログインするためのIDとパスワードを不正に入手した可能性が高い」(夢展望総務担当)。ドメインは海外の管理会社を転々としており、取り返すのが難しい状況だという。 別のドメイン名を使ったトレセンテのECサイトは被害に遭っていない。公式Webサイトは、新しいドメイン名を取得し復旧させる予定だ。不正アクセスに伴う同社
戸建て住宅を中心とした木造建物を手掛けるAQ Group(旧アキュラホーム)の新本社ビルがさいたま市で完成した。地上8階建ての純木造ビルで、全フロアをAQ Groupが使用する。2024年4月22日に現地で見学会が開かれた。 「普及型純木造ビル」のプロトタイプになることを目指し、住宅用の一般流通木材やプレカット加工技術を最大限使って建設した。AQ Groupによれば、住宅用プレカット木材を使った純木造8階建ての耐震ビルは国内初だという。木材使用量は1695m3で、そのうち36.6%が国産材だ。 埼玉県を通る国道17号新大宮バイパス沿いに完成した、AQ Groupの新本社ビル。JR大宮駅からバスで約10分の場所に立つ。この地域で最も高い建物の1つ(写真:AQ Group)
2024年6月に始まった定額減税では、企業とともに地方自治体が実務で大きな役割を担う。住民税の減税事務に加えて、複雑な計算を伴う所得減税の「調整給付」が自治体に任されているからだ。 減税の対象者が2024年の所得税から減税額分を引ききれないと見込まれる場合には、その差額を推定計算して現金で支給する。これを「調整給付」と呼び、対象者は政府推計で2300万人いる。減税対象の納税者6000万人の4割弱に相当する。新型コロナウイルス禍で日本の全住民に給付した10万円の特別定額給付金以来の大規模な給付事務の負担が自治体に降りかかる。同時期の経済対策として「低所得者向け給付」もあるが制度は簡素だ。定額減税における調整給付の事務負担に比べればはるかに軽い。 実務を担当する基礎自治体(市区町村)の事務が煩雑になるためミスが生じる懸念もある。税理士など専門家からは「納税者は給与明細や自治体からの通知書類など
新型コロナウイルスの感染症拡大により日本企業が在宅勤務を緊急導入してから4年、ビジネスパーソンの働き方はどこまで進化を遂げたのか――。調査を通じて実態に迫る特集の2回目は、在宅勤務と出社それぞれにおける3つの課題を探る。 日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「ワークスタイルに関する動向・意識調査」を2020年春から定期的に実施しており、2024年4月に最新となる9回目の調査をした。最新の結果によれば、週3日以上テレワークする人の割合が2年ぶりに増えたと、前回の記事で述べた。危機対応の目的で在宅勤務をするコロナ禍の「第1フェーズ」から、出社回帰が進んだ「第2フェーズ」を経て、働く場所を自律的に選ぶ「第3フェーズ」に差し掛かっていると書いた。 一方で課題も残る。例えば時間の使い方など自己管理だ。「あなたがテレワークを利用する際に不便・不安と感じる点や、テレワーク利用の阻害要因になる
ITエンジニアの給与を国際比較した場合、日本のITエンジニアの平均年収は3万6061ドルで世界72カ国中26位。24位だった中国を下回った――。2024年1月に人材派遣会社のヒューマンリソシアがこんな調査結果を発表した。 日本のITエンジニアの平均年収(前年比)は円ベースで0.4%増と、G7構成国(カナダを除く)の平均となる同2.6%増を下回る。グローバルで見て日本のITエンジニアの給与はなぜ低いのか。様々な立場の識者4人に聞いていく。 「日本の給与水準が低いのではなくて、国際的に見て日本のITエンジニアの価値が上がっていない」と語るのは、グローバルのIT事情に精通した、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の共同代表である西野弘氏だ。国際的に見た日本のITエンジニアについて処遇の在り方と今後採るべき方策を聞いた。 西野さんは、スイスのIMD(国際経営開発研究所)と共同でリー
2024年度から、経済産業省がIoT(インターネット・オブ・シングズ)製品のセキュリティー適合性の評価制度を始める。IoT製品のセキュリティーに関する制度はこれが初めてではない。これまでも技適マークやCC(コモンクライテリア)に基づく認証制度があった。経産省の新施策は、先行する制度から何が変わるのだろうか。 技適マークの歴史は長く、1981年に開始されたものだ。電気通信事業法に基づく「技術基準適合認定」と電波法に基づく「技術基準適合証明」という制度において、両方もしくはどちらかの認証を受けた無線機に表示されている。 2020年4月、総務省が電気通信事業法の端末設備等規則を一部改正した。この改正により、ルーターなどネットワークに直接接続するIoT製品について、アクセス制御機能、初期パスワードの変更機能、ファームウエアの更新機能の実装を原則義務化した。 ヤマハの広瀬良太楽器・音響事業本部基盤技
ユニ・チャームは2024年6月3日、基幹システムの更新に伴って発生している取扱製品の納品遅れについて「おおむね解消した」(同社上席執行役員の上田健次ESG本部長)と日経クロステックの取材に対し話した。同社は2024年のゴールデンウイークにシステムの更新を実施。新基幹システムと物流システムの接続でデータ連係の不具合があり、さらに連休明けに大量の注文があったことによるデータの増加が重なり処理が間に合わなくなり、納品遅れが発生していた。 6月3日までにデータ連係の不具合とデータ処理の遅延はほぼ解消した。ただ、直販サイトの「ユニ・チャーム ダイレクトショップ」では「注文集中に伴い、ご注文から1週間~10日でお届け予定」とし、いまだ通常より納品に時間がかかっている。 楽天市場やYahoo!ショッピングの直営店は一時休店中だ。理由は「店舗販売や自治体の給付事業などを優先しているため」(上田上席執行役員
トヨタ自動車の北米統括会社Toyota Motor North America(TMNA)は、急速充電ステーションを使った各種サービスを展開する米EVgoと連携し、電気自動車(EV)向けの直流急速充電設備(DCFC)をカリフォルニア州に設置すると発表した。同州のボールドウィンパークとサクラメントに、350kWまで出力可能な8つのDCFCを設置し、2025年に稼働を始める予定。
河野太郎デジタル相は2024年5月31日、デジタル庁主催の記者会見で、自治体ネットワークの整備に関し今後の方針を明らかにした。会見の中で河野大臣は、自治体がネットワークのサイバーセキュリティー対策として運用してきた「三層の対策(三層分離)」をやめると述べた。 三層の対策とは自治体のネットワークを「マイナンバー利用事務系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」と業務に応じて大きく3つに分け、ネットワークごとに扱う情報や外部への接続環境を管理するもの。2015年の日本年金機構による情報漏洩事故以降、自治体は総務省が定めた同対策に従いセキュリティー対策を打ってきた。 だが、ネットワークごとに使う端末を切り替える手間がかかる、端末間でデータを移動させるためにUSBメモリーを使うことで逆にセキュリティーリスクが高まるといった課題があった。河野大臣は会見の中で「1人1台のパソコンで効率的に業務が
2024年春、ゴールデンウイーク中に新幹線や特急列車などを利用した人の数が新型コロナウイルス禍前の95%程度まで回復する中、ビジネスパーソンの働き方にはどんな変化が起こっているのか。2020年春からほぼ半年おきに実施してきた調査の最新結果を見ると、在宅勤務を活用する人の割合が2年ぶりに上昇した。仕事の内容や都合によって働く場所を使い分ける、「ハイブリッドワーク」が広がり始めた実態が浮かび上がった。 日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「ワークスタイルに関する動向・意識調査」を2020年春から定期的に実施しており、2024年4月に最新となる9回目の調査をした。「あなたはテレワークを利用して職場(派遣・常駐先を含む)以外でどの程度働きましたか」と尋ねたところ、「週3日以上」と答えた人は39.8%だった。2023年秋の前回調査よりも8.9ポイント増えた。 「あなたはテレワークを利用し
デジタル庁が提供する給付金関連の事務向けの自治体支援サービス。給付の申請受付から振り込みまでをデジタルで処理することで、迅速・効率的な給付を実現する。2023年度は17自治体が利用し、順次提供を拡大する。 コロナ禍で自治体が実施した特別定額給付金等の各種給付作業では、申請や審査、結果通知がデジタル化されておらず、給付に時間が掛かり、手続きに手間取るといった課題が表面化した。こうした事務処理は行政区画の最小単位である基礎自治体が担っているが、全国で1741ある基礎自治体が個別にシステム開発するのは合理的ではない。こうした背景から、給付金業務の標準的なシステムとしてデジタル庁が自治体向けに開発・提供を開始したのが「給付支援サービス」だ。 同サービスでは、給付事務を効率的かつ円滑に進めることを目的に、住民向けのスマートフォンから簡単に操作できる申請用のWebサイトや、自治体職員向けのパソコンで操
パソコンユーザーはCPUの仕組みをイチから学び直す必要があるかもしれない。インテルがこれまでのCPUの概念を覆すような、内部構造の大変革を成し遂げたからだ。 同社は2023年12月にCPUの新ブランド「Core Ultra」を発表した(図1)。Core UltraにAI処理専用プロセッサー「NPU(Neural Processing Unit)」が搭載されたことが話題を呼んだが、実はもっと重要なことがある。これまでの常識を覆すほど内部構造がガラリと変わっていることだ。インテル自身が「40年ぶりの技術革新」と言うのも決して誇張ではない。それほどの大変革なのだ(図2)。 図1 2023年12月に発表された「Core Ultra」は、ブランド名が刷新されるほど大きな技術革新がなされている。以下、その詳細を解説していこう
江崎グリコで発生した基幹システムのトラブルの余波が、思わぬところに広がっているようだ。基幹システムを刷新した際に甚大なトラブルに見舞われたのを目の当たりにして、同じく基幹システムの刷新を予定している企業の経営者がビビってしまったのだ。今のところ、既にゴーサインを出したプロジェクトを延期するなんて話は聞かないが、老朽化した基幹システムを抱える多くの企業で、システム刷新を先送りする格好の理由になりそうな雲行きだ。 確かにグリコのシステムトラブルのインパクトはすさまじかった。このトラブルは2024年4月3日に、旧来の基幹システムをERP(統合基幹業務システム)ベースのものに切り替えた際に発生した。これにより「プッチンプリン」をはじめとする同社のチルド食品が店頭から長期間にわたり姿を消す事態となった。業績に与える影響も深刻で、2024年12月期連結の売上高は3360億円(従来予想は3510億円)、
中国の自動車市場で、通信インフラ機器最大手の中国・華為技術(Huawei、ファーウェイ)の存在感が高まっている。数年前までは電気自動車(EV)シフトに乗じて参入した新興や異業種の一角とみられていたが、自動運転(AD)/先進運転支援システム(ADAS)の技術やスマートフォンで培ったブランド力を武器に主役級に躍り出た。中国の大手自動車メーカーはHuaweiのADASの採用などを視野に、同社との協業に次々と乗り出しており、日本勢も中国における消費者のニーズに対応するため同社に接近しつつある。
同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は報道内容をX(旧ツイッター)上で否定。そのため、現時点で真偽は不明だが、Teslaが開発を中止したとしても全く不思議はない。開発中止が事実だとしたら、その理由は容易に想像がつく。量販型EVは自動車メーカーにとって、もうからない領域のクルマだからである。 Teslaはこれまでプレミアム領域、すなわち高級EVに特化して販売を展開してきた。最も価格が低い「モデル3」でも3万9000米ドル(約590万円)もする。追い風が吹いたのは2020年以降。世界的なカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)の動きに合わせた、いわゆる「EVシフト」に乗って業績を急速に高め、一時はトヨタ自動車を超えて15%を上回る営業利益率を実現した。販売台数も2023年に180万台に達している。
2024年5月20日、米上院は自動車産業のサプライチェーンについて記した報告書を公開した。中国新疆ウイグル自治区において人権侵害が疑われる企業の部品が大手自動車メーカーに納品され、製品に組み込まれて米国市場に流れ込んでいる、というものだった。米国では、人権侵害や強制労働に関わる形で一部またはすべてが生産された商品・製品の輸入を禁じている。 筆者はこの問題について以前から関心を持っており、当連載でもサプライチェーンと人権について取り上げてきた。注目すべきは「人権を守らねばならない、強制労働はなくさねばならない」という建前の議論から一歩抜け出しているのが米国である、という点にある。すなわち「人権問題がある」=「米国で輸入できない」=「米国で販売できない」と、ビジネスに直結する話になっている。 欧州では大企業を中心に、自社のサプライチェーン上において人権侵害がないかどうか調査・確認するようにして
2024年3月、ITジャーナリストの新野淳一さんが個人で運営する先端技術情報の発信サイト「Publickey(パブリックキー)」が突然DDoS(Distributed Denial of Service、分散型サービス妨害)攻撃を受けた。新野さんは同月14日に対策として、米Cloudflare(クラウドフレア)のCDN(Contents Delivery Network)を導入。CDNのキャッシュサーバーを「盾」として、大量の通信を受け止める狙いだった。 ところが3月15日未明、Publickeyはまたダウンしてしまった。IP(Internet Protocol)アドレスを直接指定するタイプのDDoS攻撃を受けたと見られる。新野さんが講じたCDNによる対策は、DNS(Domain Name System)を応用したものでIPアドレスを直接狙われてしまうと機能しない。新たな対策を打つ必要があ
生成AI(人工知能)の活用においては、大規模言語モデル(LLM)に与えるプロンプト(指示文)の工夫が重要だ。最新の研究で、プロンプトは長く詳細であるほど良好な結果が得られることが分かっており「メガプロンプト(巨大プロンプト)」という言葉すら登場しているほどだ。 LLMに与えるプロンプトというと、米OpenAI(オープンAI)が提供するChatGPTのようなチャットボットの入力画面に打ち込む数行のテキストを想像しがちだ。しかし先進的なAI研究者は最近、紙に印刷すると1~2ページにも及ぶような、とても長いプロンプトの開発に取り組んでいるのだという。 「私たちのチームではそれをメガプロンプトと呼んでいる」。ディープラーニング(深層学習)の著名研究者で、AI教育サービスを手掛ける米DeepLearning.AI(ディープラーニングドットAI)の創業者であるAndrew Ng(アンドリュー・ウン)氏
今やどこに出かけても、何らかの手段でパソコンが利用できる時代。ほぼ手ぶらで出かけ、知人宅やホテルなどのパソコンで自宅と同じ環境が利用できたらどんなに便利だろう。有料アプリを使えばこれが可能だ。外付けストレージに自宅のWindows環境を丸ごとコピーして、別のパソコンを起動できる(図1)。まさに夢のような話だ。 図1 有料アプリを使うと、Windowsが入った自宅のパソコン環境をSSDにコピーし、外出先のパソコンで利用できる。デスクトップパソコンの環境でも外に持ち出せるので便利だ USBメモリーは全然ダメ SSDならサクサク動く 利用する外付けストレージとしては、持ち運びが楽なスティックSSDかUSBメモリーが思い浮かぶ。しかし、実際に試してみると、まともに使えたのはSSDだけだった(図2)。SSDは起動用ディスクの作成も短時間で済み、別のパソコンでの起動も45秒と高速。動作も快適で、Edg
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