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世界禁煙デー
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トヨタ自動車の北米統括会社Toyota Motor North America(TMNA)は、急速充電ステーションを使った各種サービスを展開する米EVgoと連携し、電気自動車(EV)向けの直流急速充電設備(DCFC)をカリフォルニア州に設置すると発表した。同州のボールドウィンパークとサクラメントに、350kWまで出力可能な8つのDCFCを設置し、2025年に稼働を始める予定。
河野太郎デジタル相は2024年5月31日、デジタル庁主催の記者会見で、自治体ネットワークの整備に関し今後の方針を明らかにした。会見の中で河野大臣は、自治体がネットワークのサイバーセキュリティー対策として運用してきた「三層の対策(三層分離)」をやめると述べた。 三層の対策とは自治体のネットワークを「マイナンバー利用事務系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」と業務に応じて大きく3つに分け、ネットワークごとに扱う情報や外部への接続環境を管理するもの。2015年の日本年金機構による情報漏洩事故以降、自治体は総務省が定めた同対策に従いセキュリティー対策を打ってきた。 だが、ネットワークごとに使う端末を切り替える手間がかかる、端末間でデータを移動させるためにUSBメモリーを使うことで逆にセキュリティーリスクが高まるといった課題があった。河野大臣は会見の中で「1人1台のパソコンで効率的に業務が
2024年春、ゴールデンウイーク中に新幹線や特急列車などを利用した人の数が新型コロナウイルス禍前の95%程度まで回復する中、ビジネスパーソンの働き方にはどんな変化が起こっているのか。2020年春からほぼ半年おきに実施してきた調査の最新結果を見ると、在宅勤務を活用する人の割合が2年ぶりに上昇した。仕事の内容や都合によって働く場所を使い分ける、「ハイブリッドワーク」が広がり始めた実態が浮かび上がった。 日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「ワークスタイルに関する動向・意識調査」を2020年春から定期的に実施しており、2024年4月に最新となる9回目の調査をした。「あなたはテレワークを利用して職場(派遣・常駐先を含む)以外でどの程度働きましたか」と尋ねたところ、「週3日以上」と答えた人は39.8%だった。2023年秋の前回調査よりも8.9ポイント増えた。 「あなたはテレワークを利用し
パソコンユーザーはCPUの仕組みをイチから学び直す必要があるかもしれない。インテルがこれまでのCPUの概念を覆すような、内部構造の大変革を成し遂げたからだ。 同社は2023年12月にCPUの新ブランド「Core Ultra」を発表した(図1)。Core UltraにAI処理専用プロセッサー「NPU(Neural Processing Unit)」が搭載されたことが話題を呼んだが、実はもっと重要なことがある。これまでの常識を覆すほど内部構造がガラリと変わっていることだ。インテル自身が「40年ぶりの技術革新」と言うのも決して誇張ではない。それほどの大変革なのだ(図2)。 図1 2023年12月に発表された「Core Ultra」は、ブランド名が刷新されるほど大きな技術革新がなされている。以下、その詳細を解説していこう
江崎グリコで発生した基幹システムのトラブルの余波が、思わぬところに広がっているようだ。基幹システムを刷新した際に甚大なトラブルに見舞われたのを目の当たりにして、同じく基幹システムの刷新を予定している企業の経営者がビビってしまったのだ。今のところ、既にゴーサインを出したプロジェクトを延期するなんて話は聞かないが、老朽化した基幹システムを抱える多くの企業で、システム刷新を先送りする格好の理由になりそうな雲行きだ。 確かにグリコのシステムトラブルのインパクトはすさまじかった。このトラブルは2024年4月3日に、旧来の基幹システムをERP(統合基幹業務システム)ベースのものに切り替えた際に発生した。これにより「プッチンプリン」をはじめとする同社のチルド食品が店頭から長期間にわたり姿を消す事態となった。業績に与える影響も深刻で、2024年12月期連結の売上高は3360億円(従来予想は3510億円)、
中国の自動車市場で、通信インフラ機器最大手の中国・華為技術(Huawei、ファーウェイ)の存在感が高まっている。数年前までは電気自動車(EV)シフトに乗じて参入した新興や異業種の一角とみられていたが、自動運転(AD)/先進運転支援システム(ADAS)の技術やスマートフォンで培ったブランド力を武器に主役級に躍り出た。中国の大手自動車メーカーはHuaweiのADASの採用などを視野に、同社との協業に次々と乗り出しており、日本勢も中国における消費者のニーズに対応するため同社に接近しつつある。
同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は報道内容をX(旧ツイッター)上で否定。そのため、現時点で真偽は不明だが、Teslaが開発を中止したとしても全く不思議はない。開発中止が事実だとしたら、その理由は容易に想像がつく。量販型EVは自動車メーカーにとって、もうからない領域のクルマだからである。 Teslaはこれまでプレミアム領域、すなわち高級EVに特化して販売を展開してきた。最も価格が低い「モデル3」でも3万9000米ドル(約590万円)もする。追い風が吹いたのは2020年以降。世界的なカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)の動きに合わせた、いわゆる「EVシフト」に乗って業績を急速に高め、一時はトヨタ自動車を超えて15%を上回る営業利益率を実現した。販売台数も2023年に180万台に達している。
2024年5月20日、米上院は自動車産業のサプライチェーンについて記した報告書を公開した。中国新疆ウイグル自治区において人権侵害が疑われる企業の部品が大手自動車メーカーに納品され、製品に組み込まれて米国市場に流れ込んでいる、というものだった。米国では、人権侵害や強制労働に関わる形で一部またはすべてが生産された商品・製品の輸入を禁じている。 筆者はこの問題について以前から関心を持っており、当連載でもサプライチェーンと人権について取り上げてきた。注目すべきは「人権を守らねばならない、強制労働はなくさねばならない」という建前の議論から一歩抜け出しているのが米国である、という点にある。すなわち「人権問題がある」=「米国で輸入できない」=「米国で販売できない」と、ビジネスに直結する話になっている。 欧州では大企業を中心に、自社のサプライチェーン上において人権侵害がないかどうか調査・確認するようにして
2024年3月、ITジャーナリストの新野淳一さんが個人で運営する先端技術情報の発信サイト「Publickey(パブリックキー)」が突然DDoS(Distributed Denial of Service、分散型サービス妨害)攻撃を受けた。新野さんは同月14日に対策として、米Cloudflare(クラウドフレア)のCDN(Contents Delivery Network)を導入。CDNのキャッシュサーバーを「盾」として、大量の通信を受け止める狙いだった。 ところが3月15日未明、Publickeyはまたダウンしてしまった。IP(Internet Protocol)アドレスを直接指定するタイプのDDoS攻撃を受けたと見られる。新野さんが講じたCDNによる対策は、DNS(Domain Name System)を応用したものでIPアドレスを直接狙われてしまうと機能しない。新たな対策を打つ必要があ
生成AI(人工知能)の活用においては、大規模言語モデル(LLM)に与えるプロンプト(指示文)の工夫が重要だ。最新の研究で、プロンプトは長く詳細であるほど良好な結果が得られることが分かっており「メガプロンプト(巨大プロンプト)」という言葉すら登場しているほどだ。 LLMに与えるプロンプトというと、米OpenAI(オープンAI)が提供するChatGPTのようなチャットボットの入力画面に打ち込む数行のテキストを想像しがちだ。しかし先進的なAI研究者は最近、紙に印刷すると1~2ページにも及ぶような、とても長いプロンプトの開発に取り組んでいるのだという。 「私たちのチームではそれをメガプロンプトと呼んでいる」。ディープラーニング(深層学習)の著名研究者で、AI教育サービスを手掛ける米DeepLearning.AI(ディープラーニングドットAI)の創業者であるAndrew Ng(アンドリュー・ウン)氏
今やどこに出かけても、何らかの手段でパソコンが利用できる時代。ほぼ手ぶらで出かけ、知人宅やホテルなどのパソコンで自宅と同じ環境が利用できたらどんなに便利だろう。有料アプリを使えばこれが可能だ。外付けストレージに自宅のWindows環境を丸ごとコピーして、別のパソコンを起動できる(図1)。まさに夢のような話だ。 図1 有料アプリを使うと、Windowsが入った自宅のパソコン環境をSSDにコピーし、外出先のパソコンで利用できる。デスクトップパソコンの環境でも外に持ち出せるので便利だ USBメモリーは全然ダメ SSDならサクサク動く 利用する外付けストレージとしては、持ち運びが楽なスティックSSDかUSBメモリーが思い浮かぶ。しかし、実際に試してみると、まともに使えたのはSSDだけだった(図2)。SSDは起動用ディスクの作成も短時間で済み、別のパソコンでの起動も45秒と高速。動作も快適で、Edg
「台湾の通信会社である中華電信との戦略的パートナーシップの締結を大事な一歩にして、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)のさらなる世界展開につなげたい」。富士通システムプラットフォームビジネスグループネットワークビジネスフロント本部アカウントSE統括部の杉山晃統括部長はそう意気込む。 次世代ネットワーク構想「IOWN」はまだ国内向けの取り組みが多い。富士通は台湾でのユースケースを増やすことで、関連技術の海外展開に弾みが付くことを期待している。 台湾での具体的な利用先としてはデータセンターの分散化などを挙げており、2025年度までにPoC(概念実証)を狙う。 「富士通初となるIOWNの国外進出で、異なる文化との接触や課題解決を図り、よりグローバルな技術になるように助力したい」(富士通システムプラットフォームビジネスグループネットワークビジネ
物価高を受けた経済対策として、1人当たり4万円の税負担を減らす定額減税制度が2024年6月1日から始まる。実務の重要な部分を担うのが企業だ。減税の対象になる納税者約6000万人のうち、企業が税金を天引きしている給与所得者はおよそ5000万人と見られている。 制度対応には「企業が負う事務が重い」と政府に対する批判が出ている。批判の矛先の1つが、給与明細に月々の減税額を記載するよう企業に義務付けたことだ。人事給与システムを提供するITベンダーの多くが、減税金額を記載する新しい給与明細の帳票を用意する対応に迫られている。これにより、給与明細の変更については企業は大きな負担なく対応できそうだ。 ただし企業の事務負担は他にある。減税額や減税の方法が家族構成や年収などで変わるためだ。従業員約200人の給与事務を1人で手掛ける、ある都内企業の人事担当者は「間違いや遅配が許されない給与を扱うだけに、制度の
Pythonには豊富なライブラリが用意されているため、様々なアプリケーションを比較的手軽に作成できる。この特集では4種類のアプリ作成に必要な基礎を解説する。 ChatGPTを開発する米OpenAIは、ChatGPTのベースとなっているAIモデルをAPI(Application Programming Interface)で公開しています。第4回では、WebベースのPythonプログラミング環境である「Google Colaboratory」を使って、OpenAIのAPIにアクセスする方法を説明します。そして、生成AIを利用するプログラムを作ってみます。 OpenAI APIを使ってみよう 生成AIのサービスは、現在、様々なものが登場しています。その中で最も広く使われているのは「ChatGPT」でしょう。このChatGPTを運営しているOpenAIは、ChatGPTのAIモデルをプログラムか
大量の通信を送り付けて、Webサーバーなどを機能停止に追い込むDDoS(Distributed Denial of Service、分散型サービス妨害)攻撃。最近は有力企業や政府などだけでなく、中小企業や個人が運営するWebサイトも標的になっている。Webサイトを事業に活用する企業であれば、規模を問わず備えが欠かせない。 ITジャーナリストの新野淳一さんも、個人で運用するWebサイトにDDoS攻撃を受けた1人だ。2024年3月の2週間余り、海外からのDDoS攻撃が断続的に襲来。厄介な攻撃に手を焼きながらも、試行錯誤の末に克服した。新野さんがトラブルから脱出するまでの足取りを順に追っていこう。 Webサイトを閲覧できず、管理画面にも接続できない 新野さんは先端テクノロジー情報を発信するWebサイト「Publickey(パブリックキー)」を個人で運営している。Webサイトのサーバーはさくらイン
約100億円、厳密には最大99億9000万円の損失を出して中断した京都市の基幹系システム刷新。プロジェクトの過程で起こったバッチ処理のマイグレーション失敗に関するトラブルを巡り、京都市と開発ベンダーのシステムズ(東京・品川)が互いに提訴して争っていた民事裁判の判決が出た。 判決ではそれぞれの主張が一部認められたものの、両者とも控訴を決めた。最初の提訴から既に6年以上が経過している。決着はまだ遠そうだ。 ローコード開発を諦める まずトラブルに至ったあらましを駆け足だが説明する。京都市が京都市議会(京都市会)に提出した資料やそこでの答弁、京都市への取材、システムズへの取材、「京都市大型汎用コンピュータオープン化事業検討委員会」(後述)の調査報告書を基にしている。 京都市は約30年前からNEC製メインフレーム上で基幹系システムを稼働させており、老朽化対策や運用費削減などを目的に2013年度からオ
流鉄流山線流山駅の駅前、流山市役所の目の前にある1万2877平方mの土地。ここに地上4階・地下1階建てで高さ28mのデータセンターの建設計画があった。 開発区域はもともと「飛地山」と呼ばれていた場所で、ある企業の保養所が建てられ、山は樹木に覆われていたという。2018年ごろマンション建設を目的に山は切り崩された。マンション建設は周辺住民との交渉がまとまらず、用地は流山綜合開発Kに売却された。 同社はデータセンターの建設を進めるため、用途地域の変更を要望する都市計画提案書を2020年11月に流山市へ提出した。結果、2022年1月にこの土地はそれまでの第一種住居地域から商業地域に変更され、建ぺい率は60%から80%に、容積率は200%から400%にそれぞれ緩和された。 ただし流山市は土地利用に関する紛争防止のために「流山市街づくり条例」を設けている。これにより、大規模開発を手がける事業者は、そ
サイバー攻撃者は皆、身元が露見するのを防ぐため、常に匿名性の確保を意識して追跡を回避する。その上でマルウエアに感染させ、幻影のように消え去る――。サイバー攻撃者についてこんなふうに思っていないだろうか。 確かに、悪名高いマルウエアの運営者の多くは匿名性に注意を払っている。しかし一方で、思いも寄らぬOPSEC(OPerations SECurity)*1のミスを犯すケースもある。 サイバー攻撃者の匿名性が破られた過去の事例を調べると、法執行機関からの厳重監視や潜入調査、ゼロデイ攻撃などが逮捕や起訴につながったケースがある一方で、もっと単純な理由で身元の特定に至った事例もある。ハンドルネームやメールアドレスが個人情報と関連付けられたケースや、ドメインの登録時に本名や普段使いのメールアドレスを登録していたなどのケースだ(表1)。様々なWebサイトで同じパスワードを使い回していたため、別のサイバー
ChatGPTをはじめとする生成AI(人工知能)の目覚ましい進化により、ソフトウエア開発の上流工程で、業務改善を図る動きが胎動している。現時点で生成AIサービスの多くは、コーディングの効率化に照準を合わせている。コーディング支援サービスの「GitHub Copilot」に代表されるように、コードの自動生成やコード補完が主戦場だ。 要件定義にフォーカスした著名なサービスは、まだ少ないのが実際のところだ。とはいえ、ChatGPTのようなチャットベースの生成AIを活用し、要件定義や設計の原案を作成する動きは着実に広がりを見せている。プロジェクトに必要な要件を大まかに把握したり、特定の機能要件の原案を作成したり、設計に必要な技術仕様を調査したり――。汎用的な知識が求められる場面で、生成AIは既に活躍している。これにより、要件定義と設計のアウトプットを得るまでのリードタイムは着実に短縮できているわけ
他人にスマートフォンを乗っ取られる被害があったとSNSで話題になった。携帯電話ショップの担当者が、対面での本人確認の際にマイナンバーカードを目視で確認し、偽造を見破れなかったという。河野太郎デジタル相は、カードが内蔵するICチップを読み取る専用のスマートフォンアプリの開発を検討すると表明した。しかし実は既存のアプリでも偽造マイナンバーカードを見破ることは可能だ。 2016年1月から利用が始まったマイナンバー制度では、外国人を含む国内の住民一人ひとりに12桁の個人番号(マイナンバー)が割り振られた。これとは別に、顔写真が入った身分証として利用できるマイナンバーカードを希望者に無償で配っている。 マイナンバーカードは表の券面の右上にあるキャラクターのマイナちゃんの背景がパールインキで印刷されており、見る角度によってピンク色に変化する。顔写真の縁にはぼかし加工もある。これらに注目すれば、目視でも
Pythonには豊富なライブラリが用意されているため、様々なアプリケーションを比較的手軽に作成できる。この特集では4種類のアプリ作成に必要な基礎を解説する。 出典:日経ソフトウエア、2024年5月号 pp.6-33 「PythonでWeb iPhone ゲーム 生成AIアプリを作ろう!」を改題、編集 記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。 第4回 Pythonで生成AIアプリを作ろう、APIの利用で画像生成に挑戦 ChatGPTを開発する米OpenAIは、ChatGPTのベースとなっているAIモデルをAPIで公開しています。第4回では、WebベースのPythonプログラミング環境である「Google Colaboratory」を使って、OpenAIのAPIにアクセスする方法を説明します。 2024.05.30 第3回 Pythonならゲーム開発も簡単、「もぐらキャ
ユニ・チャームは2024年5月27日、基幹システムの更新に伴って取扱製品の納品遅れが発生していることを日経クロステックの取材に対し認めた。システムの更新は2024年のゴールデンウイークを利用して実施した。 同社によると、新基幹システムと物流システムの接続でデータ連係に不具合があったという。さらに、連休明けに大量の注文があったことによるデータの増加が重なり処理が間に合わなくなり、納品遅れにつながった。 紙おむつなどの支援事業を行う品川区や厚木市は、ユニ・チャーム製の紙おむつの入荷遅れに伴い、利用者からの同社製品の受け付けを停止したり、他社製品への変更を打診したりしている。品川区見守りおむつ定期便事業に携わるTNCプロジェクトの担当者は「5月15日ごろに仕入れ事業者から連絡があった。早めに調整したため、現時点では大きな混乱はない」と状況を話した。 ユニ・チャーム上席執行役員の上田健次ESG本部
半導体を巡る覇権争いを各国の経済政策とグローバルサプライチェーンから明らかにし、米国でベストセラーとなった『チップ・ウォー』(日本語翻訳版のタイトルは『半導体戦争』=ダイヤモンド社)。著者のクリス・ミラー氏に生成AI(人工知能)時代の日本の勝ち筋をどう見ているのか。新たなAI半導体メーカーとして注目が集まるRapidus(ラピダス)に対しては「2つの賭けをしている」とし、「どちらも正しい」と指摘した。 『半導体戦争』著者 クリス・ミラー氏インタビュー(上) 生成AI以後の半導体戦争、クリス・ミラー氏が指摘する「NVIDIAの課題」 日本について伺います。『半導体戦争』では日本の半導体産業の衰退も分析されています。今後、AI時代において日本は存在感を示せるでしょうか。例えば、ラピダスは新しい半導体メーカーですが、台湾積体電路製造(TSMC)のような巨人に対抗できるのでしょうか。 日本の半導体
「業務システムにもインターネットにもつながらない」。始業直後に報告されたネットワーク障害は、瞬く間に庁舎全体に広がった。システム部員はすぐに原因究明に乗り出した。 どこにも挿さらず放置されているLAN(Local Area Network)ケーブルと、そのすぐそばにポートが余っているスイッチを、ネットワークに関する知識のない人が見つけたらどうするだろうか。「何かの拍子に抜けてしまったに違いない」と、挿してしまうかもしれない。こうした親切心からループが生じ、その影響でネットワーク全体がまひすることもある。 新年度が始まる2024年4月1日朝、那覇市役所全体が突然ネットワーク障害に襲われた。トラブル解決の陣頭指揮に当たったのは、ネットワーク機器の運用を担う情報政策課の伊覇太課長だ。トラブルをどう脱出したのか。経緯を詳しく見ていこう。 「何もできない」と職員が駆け込む 地上12階・地下2階建ての
マイナンバーを活用できる行政手続きが増えているにもかかわらず、地方自治体での活用が一部に限られている実態が明らかになった。会計検査院が2024年5月15日に公表した調査結果によると、マイナンバーが利用可能な手続きのうち50%以上の自治体が活用している手続きは、全体の2.6%に当たる33手続きにとどまる。 調査した1258手続きのうち、地方自治体の利用率が10%未満と低迷する手続きが9割を占める。特に利用実績が「ゼロ」の手続きが4割弱に達している。その結果、マイナンバーを活用すれば不要だった添付書類の作成手数料を申請者が負担しているなど、住民にしわ寄せが来ている。 会計検査院の調査からは、自治体における事務フローの見直しの動きが鈍い実態とともに、一部手続きでは最新情報を照会できないなど、国側の対策の遅れも判明した。両者が複合して行政のデジタル化を遅らせている状況だ。河野太郎デジタル相は5月1
増え続けるセキュリティー人材の需要に対し、供給が追いついていない。2023年のサイバーセキュリティー関連求人数は2014年比で24.3倍に増加した一方で、サイバーセキュリティー関連業務への転職者数は2014年比で3.62倍にとどまった(図1)。リクルートが2024年3月15日に発表した調査結果で明らかにした。 セキュリティー関連の業務内容は多岐にわたる。調査では求人サイト「リクルートエージェント」に掲載された求人の中からタイトルや業務内容に「セキュリティー」と表記してあるものを抽出し、ここから「セキュリティー経営」「セキュリティー統括」「セキュリティー監査」「脆弱性診断・ペネトレーションテスト」「セキュリティー監視・運用」「セキュリティー調査分析・研究開発」に関わる職種を選別した。 最も求人が多いのは運用・監視の業務だった。事業会社のセキュリティー部門の募集が増えているほか、セキュリティー
積水ハウスは2024年5月24日、サイバー攻撃により顧客情報などが漏洩したと発表した。同社の住宅オーナー向けの会員制サイト「積水ハウスNetオーナーズクラブ」において、過去に使用していたページのセキュリティー設定に不備があり、同サイトのデータベースからパスワードなどが漏洩した。攻撃手法は、データベースに命令文(SQL文)を送りつけて情報を不正に入手する「SQLインジェクション」だった。 漏洩したのは顧客情報と従業員などの情報だ。顧客情報は、積水ハウスNetオーナーズクラブ会員として積水ハウスが取得した顧客のメールアドレスとログインID、パスワード10万8331人分が漏洩した。これに加えて漏洩の可能性がある人数は46万4053人に上る。 従業員に関しては、現在・過去に在籍していた積水ハウスグループの従業員と協力会社スタッフのメールアドレスと積水ハウスのシステムへのログイン時に使用するパスワー
半導体を巡る覇権争いを各国の経済政策とグローバルサプライチェーンから明らかにし、米国でベストセラーとなった『チップ・ウォー』(日本語翻訳版のタイトルは『半導体戦争』=ダイヤモンド社)。出版されたのは2022年10月で、生成AI(人工知能)による半導体の地政学への影響は描かれていない。輸出規制の応酬や米国による製造回帰の動き、中国の先端チップ製造能力をどう見ているのか。著者のクリス・ミラー氏に生成AI時代の半導体戦争を聞いた 続きは2024年5月28日公開 。 クリス・ミラー氏。1987年米国イリノイ州生まれ、マサチューセッツ州ベルモント在住。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院国際歴史学准教授。フィラデルフィアのシンクタンク外交政策研究所(FPRI)ユーラシア地域所長、マクロ経済・地政学のコンサルタント会社、グリーンマントルのディレクターも務める。米紙ニューヨーク・タイムズ、米紙ウォール・
基幹システム刷新による業務改革プロジェクト――。今はDX(デジタルトランスフォーメーション)の一形態と見なされているわけだが、日本企業の場合、今も昔もどの企業であっても「嘘と虚飾にまみれたプロジェクト」であることを、当事者たちは十分に自覚しているだろうか。はっきり言って、100%できっこない。経営者やIT部門が無能であるとかいう問題ではない。仮に多くの大企業が本当にDXを達成したら、社会的に大問題となり世間から非難を浴びるのはまず間違いないからな。 「嘘と虚飾にまみれたプロジェクト」の意味を詳しく語る前に、まずは話の前提として、基幹システム刷新による業務改革プロジェクトの失敗パターンについてサクッと触れておこう。最も愚かなのは、基幹システムの刷新(というかモダナイズ)のために業務を改革しようというものだ。経済産業省による「2025年の崖」のあおり効果などもあり、ITに疎かった経営者も老朽シ
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