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エマニュエル・マクロン仏大統領が数年前に「脳死状態にある」と酷評していたNATO(北大西洋条約機構)が、ウクライナ戦争を契機に求心力を強めている。 7月に米国ワシントンDCで開かれたばかりの首脳会議では、「われわれが直面する脅威は世界的かつ相互に関連している」として、関与すべき安全保障空間を、欧州のみならずアジア地域にまで拡大した。 さらに、NATO加盟国にとって最大の脅威であるロシアのほかに、中国、イラン、北朝鮮を挙げて、個別に批判を展開している。 日本の岸田文雄首相も、中国の軍事力強化や北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と繰り返し発言している。 「反米枢軸」? NATOが批判する中国、イラン、北朝鮮はいずれも、ウクライナ攻撃を続けるロシアに武器供与などの形で支援をしている。さらに、ロシアとともに現在の国際秩序を批判し、多極化した国際社会の
鎌倉の山に日本各地から古民家や廃寺を移築し、唯一無二の大屋敷を作ってしまった米国人がいるという。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が現地を取材した。 鎌倉の街を望む山で、ある日の午後、ブライアン・ヘイウッド(57)が、彼の新居に最後の仕上げを施す12人の職人を見守っている。 咲き誇る山桜の木々に縁取られたこの広大な高台の屋敷からは、西に相模湾が見え、遠くには富士山も見える。ヘイウッドは言う。 「車で入ってきたとき別世界に連れてこられた気分になってもらいたいのです」 東京から50キロほど離れた海沿いの街にある、1200坪ほどの敷地は、交渉と保存の末に勝ちとられたものだ。ヘイウッドが「楠山(しょうざん)」と呼ぶ敷地には、築数百年の木造家屋が3棟、築150年の廃寺、その他の文化財が興味深く混合して建っている。すべて慎重に解体され、もともと建っていた場所から移され、5年かけて再建されたものだ。 それぞ
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 マサチューセッツ州セーレム在住のエデュアルド・タナーさん(37)は昨年、カリフォルニア州サンディエゴを旅行で訪れたとき、午前3時に当時のガールフレンドに起こされた。一風変わったバードウオッチングに出かけるためだ。2人は双眼鏡と図鑑の代わりにスマートフォンを持ち、出発した。外はまだ暗かった。 2人が探していたのは鳥に似た仮想生物「ルチャブル」だ。メキシコ国境近くで目撃されたことがあり、宿泊先のホテルの近くに出現したらしい。 タナーさんは、大人でありながら旅行にスマホゲーム「ポケモンGO」を取り入れる「希少種」の一人だ。ポケモンGOは、ポケモンと呼ばれるかわいいモンスターが現実の世界に重ねて表示される拡張現実(AR)ゲームだ。例えば、丸石で舗
平時における製造システムにせよ、戦時の人や物資の動員にせよ、その成否を決めるのは複雑なサプライチェーン(供給網)をどのようにして機能させるかだ。 だが、この真実は長きにわたり忘れ去られ、過小評価されてきた。 学者や政策立案者らは近年のサプライチェーン危機を機にようやく、これまでほとんど研究されてこなかった「メソ(中間)経済学」に目を向けはじめている。その名前は、ミクロ経済学とマクロ経済学の狭間の領域に着目することに由来する。 中国・韓国経済の成長を読み解く ミクロ経済学は企業、消費者、労働者、投資家といった個々の主体の動きに注目し、マクロ経済学はGDPや国民所得などに代表される集合体の統計を追う。その中間に位置する経済の機能にこれまであまり関心が向けられてこなかった原因のひとつは、(経済問題において)最も効率的な解決策を提供するのは市場だと考える「市場信仰」にあるのかもしれない。 メソ経済
新型コロナウイルスによる規制が中国で撤廃されてから1年半以上が経過したが、中国から海外へ渡航する人の数は、以前の水準には戻っていない。英紙「フィナンシャル・タイムズ」によると、香港でも中国本土からの旅行者数がコロナ以前の水準を大幅に下回っているという。 しかし、香港では中国本土からの訪問者による保険商品の購入がコロナ前の2019年よりも増えている。同地の保険局によると、2024年第1四半期、中国本土の観光客による保険売上高は前年同期比で62.6%増と急増した。156億香港ドル(約3170億円)となり、2019年の同期間を上回った。 それを受け、香港の保険会社の業績は好調である。保険会社AIAでは、香港での新規契約高が43%増加した。プルデンシャル保険も、香港での新契約利益がこの1年で急成長しているという。 その背景にあるのは、中国市場の冷え込みだ。人民元安に加え、中国株は2021年のピーク
6月、ナイキはこのシューズの復刻版の発売を予告し、公式インスタグラムに蜂が群がるウータンクランの写真を投稿した。すると、一部のコレクターからは批判の声があがった。 スニーカー業界に関するニュースレターの著者であるマイク・サイクスは、この件について「同社の悲惨な決算発表と無関係ではないだろう」と指摘する。 「特別なアイテムを一般の消費者に売ることで、ナイキは私たちにへつらっているようにも感じられました。まるで同社のこのところの停滞ぶりを忘れさせようとしているかのようです」 新CEOの経営再建も振るわず 米投資銀行スタイフェル・ファイナンシャルのマネージング・ディレクター、ジム・ダッフィーは「ナイキを変えるためにテック界の重役を登用したのは間違いだったと証明された」と語る。 そのテック界の重役とは、2020年1月からナイキのCEOを務めるジョン・ドナホーのことだ、彼はこれまでイーベイとサービス
米国のヒトラーなどと批判していたが… 「トランプが彼を選んだことは賢明だ」バンス副大統領候補とは何者か? 中西部の工業地帯「ラストベルト」の貧困家庭で育ったバンス上院議員(39)が、トランプ元大統領の副大統領候補に選ばれた Photo by Andrew Harnik/Getty Images
トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」 道義上の信用性を失っている欧州は、地政学上で弱小勢力になりつつある 2024年の欧州議会選挙で、地政学が争点の一つとして注目されたのに驚きはない。ウクライナとガザでは戦争が続いており、西側陣営と中国・ロシア陣営のあいだの緊張も高まっているからだ。中国・ロシア陣営は、南側諸国への影響力の拡大を狙い、「BRICSプラス」の加盟国も増やす構えだ(BRICSプラスの加盟国はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エジプト、UAE、エチオピア、イラン)。 一部の人にいわせれば、いま掲げられるべき大義は明確だ。欧州の未来は、軍事色の強いものにしなければならないという。ロシアの脅威にさらされているいま、欧州連合(EU)には、軍事力を強化し、加盟各国の国軍の予算を大幅に増やす選択肢しかないというわけだ。現在、対GDP比で1.5~2%の軍事費を3~4%に増や
トランプ前米大統領は11月の大統領選で返り咲いた場合、数百万人の移民を強制送還し、高額な関税で世界貿易を再編成するとともに、ホワイトハウスを忠実な支持者で固める計画だ。トランプが公約に掲げる政策の一部を確認しよう。 貿易 トランプ氏は全ての輸入品に10%以上の関税をかける案を示している。貿易赤字をなくすためだとしているが、消費者物価の上昇と世界経済の不安定化を招くとの指摘もある。 同氏はまた、米国からの輸入品に関税をかけている国に対して、より高い関税をかける権限を自身が持つべきだとも述べている。一部の輸入車には200%の関税を課すと脅している。 特に標的にしているのは中国で、電子機器、鉄鋼、医薬品など中国からの輸入を4年間で段階的に削減することを提案。中国企業がエネルギーやハイテク分野で米国の不動産やインフラを所有することを禁止しようとしている。
生成AIが瞬く間に身近なものとなり、ネットやSNSでは人工知能によるコンテンツやサービスが爆発的に増えた。AIが作り出したものから逃れることは難しいと言えるだろう。そんななか、人間のクリエイティブを守るために「AIフリー」を掲げる人たちがいるという。 「AIを使わない」宣言 アップルがiPhoneに生成AIを搭載する計画を発表した時点で、それはこう言ったも同然だった──このテクノロジーはもはや避けられないものとなった、と。 大規模言語モデルは間もなく世界中のスマートフォンの大半に搭載され、メッセージングアプリやメールアプリで画像や文章を生成するようになる。AIはすでに検索エンジンのグーグルやビングに使われている。 800億ドル規模の新興企業であるオープンAIは、アップルやマイクロソフトと提携しており、まるで偏在しているかのようだ。同社のChatGPTやDALL-Eが自動生成するプロダクトは
イスラエルは、捕らえたパレスチナ人を刑務所で拷問していると報告されている。2000年代には米国も、「テロとの戦い」において捕虜を拷問していたと告発された。人権を尊重する憲法・国内法・国際法がありながら、独裁ではない国家においても拷問は依然としておこなわれている。 法治国家においてどのように拷問が正当化されてしまうのか。独誌「シュピーゲル」が、キングス・カレッジ・ロンドン戦争学部で国際関係論を教える政治学者フランク・フォーリーに聞く。 民主主義国家の「クリーンな拷問」 ──イスラエルの刑務所でパレスチナ人が拷問されたという告発があります。それはおそらく現在も続いているでしょう。しかし、イスラエルはあの地域で唯一の民主主義国家であるとみなされています。そのようなことがありうるのでしょうか。 拷問と民主主義は、それ自体が矛盾するものではありません。民主主義国家でも拷問はおこなわれています。ただ、
米共和党のドナルド・トランプ前大統領が演説中に銃撃された事件を受け、米マサチューセッツ大学ローウェル校の犯罪学・法学の教授、アリー・パーリガーがメディア「カンバセーション」のインタビューに応じている。 パーリガーは、銃弾があと少しでもずれていれば、米国で内戦勃発の可能性もあったと指摘しているが、その理由とは?
新しい研究によると、女性起業家はクラウドファンディング上で、男性よりも20%早く資金調達の目標を達成できることがわかった。 同研究はオランダの3つのクラウドファンディング・プラットフォームで実施された934件のビジネスローン入札を分析したもので、女性主導のキャンペーンは男性やカップルが主導するキャンペーンよりも早く目標を達成することを発見した。 同研究の牽引者のひとりであるマーストリヒト大学のポム・テウニッセンが米メディア「ファスト・カンパニー」に語ったところよれば、「世界のクラウドファンディング市場において、オランダは世界第3位の規模を誇る」。
地球上で最もセクシーな60歳 レニー・クラヴィッツのようなロックスターはほかにいない。 レコーディングスタジオには、鎮静剤を打たれたトラのような足取りで入る。薄暗いスタジオの中でもサングラスは外さない。レザージャケットにスキニージーンズという出で立ちで、長いドレッドロックスも無精ひげも黒々している。 クラヴィッツは成人してからほとんどの時間をトップレスで過ごしてきた。引き締まった71センチのウエストの上には、8つに割れた腹筋が鎮座している。 この5月に60歳になったばかりの彼は相変わらずセクシーで、ロックスターとして脚光を浴びた1980年代後半とちっとも変わっていない。いや、いまの彼のほうがもっと魅力的かもしれない。誰に聞いても、クラヴィッツは「地球上で最もセクシーな60歳だ」と答えるのではないか。 「あなたが60だなんて信じられませんよ」と私が言うと、「俺だって信じられない。でも素晴らし
米国のトランプ前大統領の暗殺未遂事件をめぐり、ソーシャルメディアで陰謀論が拡散している。「ブルーアノン」と呼ばれる陰謀論者たちはどんな勢力で、どんな主張をしているのか、米紙「ワシントン・ポスト」が詳報している。 シークレットサービスも「グル」らしい ドナルド・トランプ前大統領がペンシルベニア州の選挙集会で銃撃されてほどなく、ソーシャルメディアではリベラル派の陰謀論が氾濫しはじめた。 いわく、トランプの耳から流れた血は「演劇などで使われる赤いジェル」であり、この暗殺未遂は「偽旗作戦」であり、おそらくシークレットサービスがトランプ陣営と組んで「自作自演」したのだ、と。トランプが血を流しながら拳を突き上げるシーンは、「#staged」(やらせだ)とタグ付けされた。 Xにはこんな投稿もあった。 「シークレットサービスはいつから大統領に『待て』と言われたら、その指示に従って彼を立ち上がらせ、彼の姿が
ドナルド・トランプ前大統領の暗殺未遂事件に使われた銃弾の軌跡を、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の写真家が捉えていたと同紙が報じている。トランプの頭部を弾丸がかすめた決定的瞬間の写真だ。 同紙の取材に応じた元FBI特別捜査官のマイケル・ハリガンは「発射物による空気の変異を示している可能性がある」、「耳をかすめるには角度が低いように思えるが、銃撃犯が複数発の弾丸を発砲したとすればありえない話ではない」と述べている。 撮影したダグ・ミルズは1秒間に最大30フレームの画像を撮影できるソニーのデジタルカメラを使用しており、1/8000秒のシャッタースピードで撮影していた。 犯人の男性はAR-15型自動小銃を使用していたとされる。ハリガンによればAR-15の弾丸は秒速3200フィート(約975m)で、シャッター速度が1/8000秒であればシャッターが開いている間に4/10フィート(約12センチ)飛ぶこ
グランドスラム優勝回数20回を誇るレジェンド、ロジャー・フェデラー(42)は、まったく異なるミッションに取り掛かるべく、2年前に競技を離れた──良き父、良き夫になるため、そしてシンプルに人生を楽しむために。引退決断の直後も、最後の日々も、決して簡単ではなかった。ドキュメンタリー映画『フェデラー ~最後の12日間~』が公開されたフェデラーに、スペイン「エル・パイス」紙がインタビューした。 有終の美を飾るまで ──友人のセヴェリン・ルティはこう言っています。スポーツ選手は引退で「2度死ぬ」と。あなたも同じ意見ですか? 信じられないような感覚なんだ。まるで自分自身の葬儀に出ているみたいな。自分は完全に冴えていて、起きていることすべてを、ものすごくピンぼけのスローモーションで経験しているんだ。 セヴェリンの言葉はきつく聞こえるかもしれないけれど、まだ引退していないスポーツ選手たちには、それが真に意
東京都知事選で予想に反して2位に食い込んだ石丸伸二に、英誌「エコノミスト」も注目。SNSを巧みに使って若者票を獲得した彼を、日本の政治にこれまでいなかった「ソーシャルメディアのポピュリスト」と伝えている。 話題をさらった無名候補 日本の政治はおおむね退屈だ。だが7月7日に投開票された東京都知事選は違った。56人の候補者は、その多くが変わり者で、辛らつな言葉をぶつけ合った。選挙ポスターの掲示板には犬の写真が登場したり、ほぼ全裸の女性の画像が貼られたりした。 ある候補者は映画『バットマン』のジョーカーに扮し、全国ネットのテレビで戯言(たわごと)をまくしたてた。別の候補者は同じ政見放送で、服を脱いだ。 最終的には、現職の小池百合子知事が約43%の得票率で3選を果たした。だが話題をさらったのは、ほぼ無名だったにもかかわらず2位に食い込んだ石丸伸二(41)だ。
メッセージングアプリ「LINE」の運営をめぐって、日韓の企業のあいだに亀裂が生じている。近年、外交面で徐々に歩み寄りを進めてきた両国だったが、この「LINEヤフー問題」でまたもや不穏な気配が漂いはじめた。 日韓関係が悪化したさなかの2019年、両国の通信大手2社が立ち上げた合弁事業は協調のシンボルとして歓迎された。 韓国のIT大手「ネイバー」、日本の「ソフトバンク」の両経営陣は、韓国で開発された無料通話アプリ「LINE」の運営会社を共同所有すると発表した。この経営統合プロジェクトは協調の意味を込めて、「Gaia(ガイア)」というコードネームで呼ばれた。 それから5年が経過した今春、日韓両国は、第二次世界大戦中の韓国人強制労働者(徴用工)問題の解決に向けて大きく前進し、両国間の緊張関係も緩和した。 だが、ときを同じくして、LINEの運営をめぐるネイバー、ソフトバンク間の亀裂が表面化した。外交
ゾーイ・コールズはウェールズに一度も行ったことがないにもかかわらず、強いウェールズ訛りでしか話せなくなってしまう。この「新しい話し方」のために、彼女は日常生活で思いがけない困難に見舞われ、性格まで変わってしまったという。彼女の「突然の変化」はなぜ起こったのか──。 私はいつも自分の訛りを意識してきた。1996年、8歳のときに、一家でケントからリンカンシャーのスタンフォードに引っ越したが、私の河口域英語(英国の上流階級の英語と、ロンドンの労働者階級が話すコックニーと呼ばれる英語の中間的存在。テムズ川河口域で話されている)はひどく目立っていた。 私には他の人たちの話し方が北部人のように聞こえたし、彼らは私を「(テレビドラマの)『イーストエンダーズ』の話し方」だとからかった。 訛りを真似するのにも苦労した。14歳のとき、スペインのランサローテ島に行き、そこでリバプールとバーミンガムから来た2人の
最新のニュースに登場した時事英語を紹介するこのコーナーでは、世界のニュースに出てくるキーワードを学ぶと同時に、ビジネスの場や日常会話のなかでも役立つ単語やフレーズを取り上げていきます。1日1フレーズずつクイズ感覚で学び、英語に触れる習慣をつくっていきましょう。語彙力の向上には、日々の積み重ねが大事です。 今日の時事英語 2024年7月9日(火)の英「ガーディアン」紙に次の一文がありました。 The amount of sugar consumed by children from soft drinks in the UK halved in the three years after the announcement of a sugar tax in 2016, a study has found.
日本経済が動いている。日本はようやく復活したのか? あるいは少子高齢化と共に衰退していくのか? 英高級誌「エコノミスト」が東京の日本橋に取材し、日本経済の行方を探る。 日本経済を過去30年の大部分で特徴づけてきたのは、デフレーションと停滞、国際的な影響力の低下だった。だがもはやそうではない。 1991年から2021年までのあいだ、日本の年間インフレ率は平均で0.35%だった。だがインフレ率は2022年4月以来、毎月2%超を保っている。 2024年3月、日本銀行はこの17年間で初めて利率を上げ、マイナス金利という実験に世界で最後に終止符を打った。7月末の会合でさらなる利上げが議論されるだろう。 日経平均株価はこの2月にバブル時代の最高値を更新した。東証株価指数も1990年以来で最高値を更新したばかりだ。失われた数十年は終わったかのようだ。 だが次に何が起こるのか? 好機を見出す人もいる。日本
宵っ張りは日中に何をするにも苦労するという通念は見直されるべきかもしれない。新たな研究で、夜型を自認する人は早寝の人より頭が切れる可能性があると示され、夜更かしがわれわれの知力にとってよいかもしれないことがわかったのだ。 英インペリアル・カレッジ・ロンドンの学者らが主導する研究チームは、「UKバイオバンク」の調査データを分析した。この調査は、知能、論理思考、反応時間、記憶に関するテストを受けたことがある2万6000人以上を対象としたものだ。 研究者らはそれから、対象者の睡眠の時間や質、クロノタイプ(われわれが一日のうちでいつ最も活発で生産的だと感じるかを決める型)が脳機能にどう影響するかを調べた。 その結果、夜更かしする人たちと、夜型と朝型の「中間」に分類された人たちには「より優れた認知機能」があり、その一方で早起きの人たちのテスト得点は最も低かったことが判明した。 夜更かしは、創造的なタ
20年前と比較して、犯罪件数が大幅に減った日本。海外から来た観光客は、カフェのテーブルに置きっぱなしのスマートフォンや、道端の自動販売機に「平和」を感じ、日本に詳しい海外紙記者も、日本で流れるニュースの「のどかさ」に驚く。そして、仏紙「フィガロ」の記者は問う。「いったいなぜ、この国はこんなに犯罪が少ないのか」、「その理由は、どこにあるのか」と。 日本で1年間に押収された大麻の量は、フランスの320分の1、強盗の件数は37分の1、窃盗は13分の1。これが日仏の犯罪に関する主要統計の差だ。両国は多くのテーマに関して何かと比較したがるが、この興味深いテーマに関する研究は、あまりにも少ない。 日本のマスコミが報じる軽犯罪の数々は、この国の“のどかさ”を物語っている。「ぶどうが盗まれた」、「『ショート』のお金を払っておいて『ロング』のコーヒーを入れた」、「豆腐が盗まれた」……。ほんの些細な理由で逮捕
2024年6月、日本のソニー銀行は円の預金の金利が最大10.52%になる期間限定の定期預金プログラムを開始した。20年近くも預金の金利がほぼゼロだったこの国で、この利率は驚異に値する。 日本の地方銀行の多くは、ネット銀行との熾烈な競争によって自行の預金が流出する可能性に頭を悩ませている。 折しも海外金利の上昇と国内のマイナス金利政策の終了によって、銀行が保有する資産価値の目減りや、リスクの高い借り手が財政危機に陥る可能性が高まっている。日本に62ある地銀と250以上ある信用金庫は、以前から少子化と大都市圏への人口集中の問題に苦しんでいた。これに預金流出が加われば、いよいよ立ち行かなくなるかもしれない。 地銀のひとつ、しずおかフィナンシャルグループの柴田久社長は、5月に開催した2023年度の決算説明会において、ネット銀行に小口預金の一部を奪われている点を認め、預金の流出を抑制する取り組みを強
北朝鮮から中国に売られる人毛 近くの店舗に並ぶ、つけまつげや、かつらは、もしかすると北朝鮮産かもしれない。英紙「ガーディアン」は、人毛が北朝鮮の重要な外貨獲得源になっていると報じている。 北朝鮮にとって中国は最大の貿易相手だが、対中輸出の60%をつけまつげ、ひげ、かつらなどの人毛製品が占める。中国の税関データによると、2023年の輸出量は1680トンで、その金額は約1億6700万ドル(約270億円)にもなる。これらの製品が中国で最終加工されて包装され、「中国製」として、日本や韓国、欧米諸国に販売されているというのだ。
コンピュータが全人類の知能を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」が2045年にやってくると予見した、発明家のレイ・カーツワイル。 テック楽観主義者と呼ばれる彼は、昨今のAIに関する議論について「大事なことを見落としている」と英誌「エコノミスト」に書く。その理由とは──。 AIが実世界にもたらす3つのインパクト 今日産まれた子供たちが幼稚園に入るころには、科学から創作にわたりあらゆる認知的作業において、おそらく人工知能(AI)が人間の能力を超越しているはずだ。 2029年までに我々はこうした汎用人工知能(AGI)を手にすることになるだろう──私がそう初めて予言した1999年、ほとんどの専門家は私が小説家にでも鞍替えするつもりなのかと笑ったものだ。 だが、ここ数年で目覚ましいブレイクスルーが何度も起こり、いまや多くの専門家が、我々はもっと早くAGIを手にすると考えている。当時は夢のような
82歳の筆者は、生涯を通して「女性として生きること」の喜びも苦しみも味わってきた。中年を過ぎ、晩年となったいま、年齢を重ねたからこそ手に入れた美しさと官能を、ある男性のひと言を通して自覚する。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 「若さ」にしがみつかなくてよくなり… 閉経してから何十年も経つ。当時、自分が街で男性の気にとまらなくなり、透明人間になってしまったようで悲しかった。 思えば若い学生の頃、イタリアに住んでいた頃が一番楽しかった。「美人さん、かわいこちゃん」という言葉のシャワーを浴びながら街を歩くことに慣れていった。 その後、中年になってフィレンツェを訪れたとき、スクーターに乗った二人の少年が後ろから「美人さん! 綺麗だね!」と叫んだ。でも通り過ぎるときには「
2023年8月14日、モスクワは不安に包まれていた。ウクライナのドローンが市内の建物を攻撃していた。数週間前に反乱軍を率いて首都へ向かったエフゲニー・プリゴジンはまだ野放しになっていた。だが、その暑い月曜日にモスクワ市民を最も不安にさせたのは、自国の通貨ルーブルの状態だった。 世界のエネルギー価格の動きに敏感に反応して通貨の価値が上がったり下がったりするのを見ることは、ロシアの国民的娯楽だった。ところが、1ドル100ルーブルよりもルーブル安になると、人々は心配しはじめた。これ以上は許容できないと考えるラインよりも下落するなか、険しい表情でパソコンの画面にかじりつく人もいた。中央銀行の「利口なプロ」たちはどこで何をしているんだ? とみんな不平を漏らした。 この数年、ロシア人たちに特に信頼されてきた「利口なプロ」が一人いる。 ロシア中央銀行の総裁を務める、60歳のエリビラ・ナビウリナだ。 眼鏡
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