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数多のコンテンツのなかから、いま見るべき映画・海外ドラマを紹介する連載「いまこの作品を観るべき理由」。今月のおすすめは、ディズニープラスで独占配信中の『スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー』シーズン2だ。 2012年のディズニーによるルーカスフィルム買収以降、「遠い昔、はるか彼方の銀河系で」を舞台にした関連作品が次々と生み出されてきた。映画、ドラマ、アニメーションと多岐にわたるが、その評価は玉石混交というのが正直なところだ。 続三部作は批判も多く、『マンダロリアン』は好評を博したものの、その後のドラマシリーズは軒並み期待を下回った。そんななかで映画に関して言えば、間違いなく『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』が最良のひとつだろう。 他の作品が往年のファンに向けたノスタルジーやお決まりの展開に終始していたのに対し、『ローグ・ワン』は一味違っていた。『エピソード4 新たなる希望』の
トランプ政権に大きな影響力を持つとされる、カーティス・ヤーヴィンという人物がいる。彼が提唱するのは、民主主義の理念を廃し、政府を絶対君主が率いる企業として構築することを目指す「暗黒啓蒙」なる思想だ。これはいったいどんなもので、似ているようにみえる他の思想とはどう違うのか? フランスの政治学者が基礎から解説する。 マスクの政界進出を後押し 共和党によるドナルド・トランプの指名、さらに大統領就任直後の一連の措置以来、この新政権に密かに影響を与えているであろう、ある思想的運動の存在が浮上した。「新反動主義」だ。またの名を「暗黒啓蒙」という。 この運動の先頭に立っているのは、ブロガーのカーティス・ヤーヴィンだ。彼はトランプ政権に大きな影響力を持つビリオネアのピーター・ティールやマーク・アンドリーセン、さらにはJ・D・バンスやマイケル・アントンといった政治家とも非常に親しい。イーロン・マスクの政界進
日本のアニメやマンガは、世界規模で熱烈なファンを獲得しているが、日本企業やクリエイターたちは利益をとりこぼしているという。日本の知的財産がかつてないほど人気を集めるという絶好のチャンスを活かすために、日本政府や企業がいま取るべき策とは。 2025年3月の数日間、アニメとマンガがインターネットを席巻した。目の大きな、可愛らしいキャラクターたちが、瞬く間にソーシャルメディア上に拡散されていった。それはいわゆる「スタジオジブリ風」のスタイルで描かれたキャラクターたちだった。 だが、スタジオジブリや日本のクリエイティブ産業にとっては残念なことに、それは自分たちのプロジェクトではなかった。米国の企業OpenAIが、その最新の画像生成アプリケーションの能力を見せつけていたのだ。写真をアップロードするか、どんな画像が欲しいかを説明するだけで、画像が生成される。 「ジブリ化」と呼ばれるこの行為は、AIが、
食べるためでもなく、ただ娯楽のために野生動物を殺す人は絶えない Photo: StefaNikolic / Getty Images 絶滅危惧種を狩って楽しむ 野生動物を狩り、角や毛皮などといった体の一部を持ち帰る「トロフィーハンティング」。世界中で動物愛護の機運が高まる一方、生き物を殺すことを娯楽にする人はいまだにいるようだ。 英紙「インディペンデント」によると、英国では「トロフィーハンティングができること」を売りにした旅行パッケージを展開しているツアー会社があるという。それらはアフリカ大陸の動物を狩ることを目的としており、なかには富裕層向けに「ゾウやライオン、チーターなどの大型動物を撃つ機会という『特典』を提供している」ものもある。 あるサイトでは、ヒョウを撃つことが可能なパッケージが11万6000ユーロ(約1900万円)で販売されていた。2023年の統計では、709点ものヒョウの「ト
作家の四角大輔がナビゲートする本連載では、さまざまな業界の第一線を経験した人物と対話を重ねながら、人生で「幸福観のシフト」が起きた瞬間を振り返っていく。 連載第2回に登場するのは、著作家・独立研究者の山口周。大企業での「降格」や「都落ち」を経験したことで、かえって幸福度と年収が上がったと明かす──。 人生の可能性を狭める「呪い」をどう解くのか 山口周 僕が『人生の経営戦略』でいちばん伝えたかったのは、「自分の人生を生きろ」ということなんです。 みんな、世の中で「これが良い」と言われていることや、親や友達が良いと言っていることをもとに、なんとなく人生を選んでいる。そんな空気感が嫌だったんです。僕自身はそういった風潮に対して歯向かって生きてきたので。 山口周 独立研究者・著作者。株式会社ライプニッツ代表。電通、BCG、ATカーニー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発等に従事した後に独立。複
インド人の作家バヌ・ムシュタクの『ハート・ランプ』(未邦訳)が、国際ブッカー賞の受賞作では初の短編集となった。インド南部の言語であるカンナダ語から翻訳された作品としても初の同賞受賞になる。 だが、『ハート・ランプ』は、別の理由でも異例だ。すでに出版された本の翻訳書ではないのだ。ムシュタクがこの30年のあいだに著し、カンナダ語誌に掲載された60を超える短篇全作のなかから、翻訳者のディーパ・バスティが選集して、この本ができたのである。 こうした協働の甲斐あって、英訳小説の分野では世界で最も権威ある賞をふたりの女性が勝ちとった──。これは、訳者であるバスティの並外れたエンパワーメントが、著者と訳者の関係性のなかで発揮されたことを意味している。
古(いにしえ)より、世界のどこを見ても、避妊はおもに女性の責任だった。 古代エジプトの女性たちは、はちみつと炭酸ナトリウムとワニの糞でできた、ドロッとしたペーストを使って避妊した。この調合物は、性交前に女性生殖器の内部にセットされるべきものだった。 現代人にしてみると、男性が自分の性器を何に突っ込むのか知っていたとすれば、この解決策はとても効果的だったかもしれないと考えずにはいられない。 古代中国では、事情はさらにひどく劣悪なものだった。古代の史料によれば、妾たちは鉛と水銀が入ったドリンクを与えられた。不妊症や腎不全、脳障害を引き起こし、ひどければ死に至りかねない飲み物だ。 古代ギリシャ・ローマでは、膣や男性器に杉ヤニ、酢、にがり、オリーブオイルを塗布する避妊法もあった。これらの液体に浸した挿入用の海綿もあった。しかもこの海綿は鉛白(えんぱく)で覆われていた。膣内の環境を、「侵入者」にとっ
6月3日に迫った韓国大統領選。本命候補の李在明が遊説でよく使う言葉「法廷はきれいでなくてはならない」に、元NHKソウル支局長の池畑修平は危機感を覚えるという。米国と同じように韓国でも司法の独立を脅かす「大統領の復讐劇」が幕を開ける可能性が高い。 大統領選の影で起きていること 連日、遊説やテレビ討論で自らのビジョンを賛辞し、競争相手はこき下ろす韓国大統領選挙の候補たち。そもそも戒厳令を宣布した尹錫悦前大統領の弾劾・罷免によって実施される選挙なだけに、一貫して最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補がリードを保っている。 終盤に差しかかって与党・国民の力の金文洙(キム・ムンス)候補が追い上げを見せているが、「戒厳令勢力の一人」とみなされるハンディキャップは大きい。 政権交代の公算が高まり、日本では「またもや日韓関係は暗転するのか」と身構える報道が主流のなか、賑やかな選挙戦に隠れる形で
市民権の「取得はより困難に、喪失はより容易に」なった 欧州の国々で、重大な犯罪(テロ、スパイ行為、ギャング犯罪、反逆罪など)に関与した二重国籍者から市民権を剥奪する動きが、今年に入ってさらに強化されている。 この場合の二重国籍者とは、主に別の国からきた移民を指している。 重犯罪を犯した移民から市民権を剥奪する考えは、特に反移民を掲げる欧州の極右政治グループのあいだで支持を集めており、世界中で大きな波紋を呼んでいる。 極右や民族主義政党が着実に勢力を拡大しているなかで、2025年初頭から、ドイツ、スウェーデン、アイスランドで右派政権による同様の政策の導入、または提案が相次いだ。 こうした動きの根源は、当時のトニー・ブレア首相率いる英国政府が「市民権を権利ではなく特権」として位置づけはじめた2000年代初頭にまでさかのぼることができると、ベルン大学の社会学教授クリスチャン・ヨップケは英紙「ガー
ポピュリスト政治家の発言や極右・極左思想、陰謀論など、偏った考え方や情報が世界中で氾濫している。なぜそうしたものに惹かれる人がいるのか、彼らの脳の構造にはどのような特徴があるのか。ケンブリッジ大学の気鋭の神経科学者で、イデオロギーと脳の関係について書いた新著が話題のレオール・ズミグロッドが解説する。 世界的に思想による分断が深まっており、まったく異なる現実を生きている人がいるのではないかと感じることすらある。 「事実そうかもしれません」と、ケンブリッジ大学の神経学者で政治心理学者のレオール・ズミグロットは言う。新著『イデオロギーに染まる脳 柔軟に思考するためのラジカルな学び』(未邦訳)でズミグロッドは、なぜ極端なイデオロギーに傾倒する人がいるのか、彼らはどのように情報を受け取り、共有しているのかを、脳科学と生物学の見地から説明している。 彼女になぜ昨今、極端なイデオロギーに染まる人が増えて
フレッシュなものに、熟成させたもの、甘いものに、塩っぱいもの、そしてピリッとするものも……。無数の種類があるチーズは、そのまま食べても美味しいけれど、冷たいサラダから温かいオーブン料理まで、さまざまな料理に使えるマルチプレイヤー。米紙「ニューヨーク・タイムズ」のレシピコーナー「NYTクッキング」にも、チーズを使った料理が多数掲載されています。この記事ではそのなかから、チーズをしっかり味わえるレシピを7つご紹介。チーズ好きの皆さま、ご賞味あれ。
学生たちがAIを使って課題をこなそうとし、それを見抜いた教授たちが頭を抱える……ChatGPTが誰にでも使えるツールになると、教育現場ではそうした問題がすぐに浮上した。 ところがいま、逆のことが起きつつあるようだ。むしろ教授がAIを使うことで学生たちから厳しく指摘され、物議を醸しているという。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が取材した。 一流の教育を期待して高い学費を払ったのに 2月、当時ノースイースタン大学の4年生だったエラ・ステイプルトンは、組織行動論の講義の資料を読み返していた。 そこで彼女は奇妙なことに気づく。いま目にしたのは、教授からChatGPTへの質問だろうか? ビジネス論の教授が作成したリーダーシップモデルに関する資料を半分ほど読み進めたところで、ChatGPTへの指示の一部が入っていたのだ──「全分野を含めること。より詳細かつ具体的に」。続いて、リーダーシップにおけるポジテ
米国のドナルド・トランプ政権が次々と繰り出す外交政策に世界が翻弄されている。一方で、新たな戦略を迅速に立てている国々もある。日本はどうなのか。大国を中心に分断される国際秩序のなかで、生き残る道はあるのか。元朝日新聞政治部長の薬師寺克行氏が解説する。 日本の石破茂首相は4月末にベトナムとフィリピンを訪問したが、じつは外遊先の選択肢がほかにもあった。外務省は、欧州も提案していたのだ。 外交上で深刻な懸案もないベトナムやフィリピンは、石破首相にしてみれば気楽な訪問先だ。だが欧州となると、そうはいかない。 欧州連合(EU)や欧州の主要国は、関税引き上げなどを巡って米国と緊張関係にある。エマニュエル・マクロン仏大統領やフリードリヒ・メルツ独首相、ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員会委員長は、ドナルド・トランプ米大統領を批判している。 石破首相が訪欧すれば、日本が欧州と手を組み、米国に対抗しようとし
2025年、万博の開催によって世界中から注目を集めている、大阪。多くの海外メディアが大阪の注目スポットや万博評を掲載するなか、仏紙「ル・モンド」は、行政による「ジェントリフィケーション(都市の高級化)」計画によって変わりゆく、大阪市西成区の釜ヶ崎(あいりん地区)を取材。「日雇い労働者の街」として知られる地区のいまを伝える。 大阪・西成区──長らく日本最大の日雇い労働市場を抱えてきた、「釜ヶ崎」地区が消滅の淵にある。 釜ヶ崎は、愛と憐みを意味する「あいりん地区」とも呼ばれ、高齢で仕事がない日雇い労働者やホームレス、その他あらゆる事情を抱えた人たちが生きる、貧しい地区として知られる。人生の荒波によってその土地に打ち寄せられた人々が、そこから出ていくことはめったになかった。 その地区の「みすぼらしさ」は、2025年4月13日に始まった日本国際博覧会(大阪・関西万博)には似つかわしくない。それを見
ドナルド・トランプ大統領の関税政策がテック業界を揺るがすいま、アップル社の動向に詳しいジャーナリストのマイケル・グロサウスは、「アップルはこれまで以上にティム・クックを必要とするだろう」と述べる。 グロサウスは米誌「ファスト・カンパニー」への寄稿のなかで、その理由を二つ挙げている。 卓越したサプライチェーン構築力
「質」を犠牲にする報道機関 世界の報道の自由が、調査開始以来の「困難な状況」に陥っている──国際NGO「国境なき記者団(RSF)」は5月2日に出された2025年の「報道の自由度ランキング」の発表に際し、そう報告した。 同ランキングは世界180の国・地域に対し、報道の自由のレベルを政治、経済、法的枠組みなどの5つの項目別に点数をつけて総合点を出したものだ。さらにその結果に基づいてそれぞれの国・地域が、「よい」「満足できる」「問題あり」「困難」「非常に深刻」の5段階にランク付けされている。 2025年の発表によると、世界人口の半分以上が「非常に深刻」な状況にある国・地域に居住している。また、評価対象国の平均スコアが55点未満に下がり、これまでにない低い水準になったという。 各国を5つのカテゴリ別に色分けしたインフォグラフィック。全体的に「困難(濃いオレンジ)」「非常に深刻(赤)」が目立つ 報道
1910年代のゴシップ紙も飛びついた三角関係 新教皇レオ14世の祖父母は「不倫」の末に結ばれたことが発覚! 5月18日、バチカンのサンピエトロ広場でおこなわれた就任ミサで平和と結束をよびかけた教皇レオ14世 Photo by Vatican Media via Vatican Pool/Getty Images
バイデン前大統領在任中の深刻な認知機能低下と、それを側近たちが必死に隠していた事実を明らかにした新著『原罪』が5月20日に発売される。ホワイトハウスの中で何が起こっていたのか、どんな隠蔽工作がおこなわれていたのか──。同書をいち早く入手した米紙がその衝撃の内容を伝えている。 テレビ討論会で「バレる」までの1年半 2022年12月、人気のリベラル系ポッドキャスト「ポッド・セーブ・アメリカ」のホストであるジョン・ファブローが、家族を連れてホワイトハウスを訪問した。バラク・オバマの元スピーチライターであるファブローは、バイデン政権内に顔見知りも多かった。 友人に挨拶回りをした後、ファブローが昔のオフィスに行くと、なんとジョー・バイデン大統領が座っていた。さらに驚いたことに、バイデンは何年も前の資金調達パーティーで見かけたファブローの義母の顔まで覚えていたのだ。 バイデンはすぐに一行を大統領執務室
突然の退任を発表した投資の神様ウォーレン・バフェット。彼が株主総会で日本の総合商社に投資する理由となった3つの哲学と、そのきっかけとなった一冊の本について言及した。バフェットはなぜ日本に投資を決めたのか。 「90歳まで年を感じなかった」 半世紀以上にわたってバークシャー・ハサウェイを率いてきた投資の神様、ウォーレン・バフェットが最高経営責任者(CEO)を退くと発表した。毎年開かれる株主総会の場で行われた予期せぬこの発表に、会場にいた株主は10分間、拍手を送り続けたという。 このタイミングでの引退について、バフェットは米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に対して年齢が理由の一つであったことをほのめかした。「何か特定のきっかけがあったわけではない。不思議なことに、90歳頃まで年を感じなかった。だが、老いを感じはじめると、もう元には戻れない」と語ったという。 バフェットはバークシャーの会長職
振り返れば、グローバリゼーションのピークは2018年1月24日だったのかもしれない。 当時、日産自動車、ルノー、三菱自動車の3社連合を率いていたカルロス・ゴーン氏はスイス・ダボスでブルームバーグテレビジョンに出演し、政権1期目のトランプ米大統領による洗濯機および太陽光パネルへの関税賦課について「保護主義が著しく急激に強まるような事態にはならない」と述べた。 販売実績で世界最大の自動車グループになったことに自信を深め、単一企業体制への統合を視野に入れていた同氏にとっては懸念材料ではなかったようだ。 しかし、地殻変動はすでに始まっていた。日産の社内では数週間もたたないうちにゴーン氏の逮捕につながる内部調査が開始され、2019年には日本からの劇的な逃亡劇が展開された。その後、連合はフランスと日本の分離を試みるも、ほぼ10年にわたり成功していない。 こうしたなか、日産が先週発表した24年度決算では
5月2日に発表された2025年の「報道の自由度ランキング」で日本は66位となり、G7では9年連続の最下位となった。 日本のメディアの独立性や公平性が世界から疑問視されるなか、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が非営利の調査報道機関「Tansa」を取材。大手新聞社やテレビ局が権威に屈しがちな日本のメディア業界において、弱者の視点に立つ報道を続けていると高く評価している。 渡辺周(50)は、かつて勤めていた大手新聞社が、福島第一原子力発電所についての調査報道スクープを取り消した日を決して忘れない。 2014年に朝日新聞に掲載されたその記事は、福島第一原発の当時の所長が職員に待機命令を出していたのに反して、職員が職場を離脱したと報じていた。 朝日はこれにより、政府の支持者や他のメディアから、所長の命令は不明瞭なものだったのに、状況を誤って伝えたと批判された。 朝日は当初、記事の内容は信頼できるという
多様性は、はたして企業の業績を上げるのか。フランスでは、企業の3分の2が多様性の推進に予算を割いているという。だが、多様性が企業の業績を向上させるという説が、じつは幻想に過ぎないのだとしたらどうだろうか。 『多様性は、あなたが思っているものとは違う』(未邦訳)は、3月にフランスで刊行された、HEC経営大学院のオリヴィエ・シボニー教授の著書だ。この本では、複数の研究を根拠に、多様性が企業の業績を上げるという説が実証的な検証に耐えないことが示されている。 民族の多様性にも、ジェンダーの多様性にも、文化の多様性にも、経済上のメリットは見当たらないというのだ。それにもかかわらず、国際機関やマッキンゼーのようなコンサルタント企業の報告書を見ると、多様性には経済上のメリットもあるといった記述が散見される。シボニーは言う。 「多様性が業績の向上をもたらすという因果関係は、企業全体というマクロのレベルでも
お金が精神的余裕をもたらしてくれることはたしかにある。しかし、充分なお金を持っていて、物質的なニーズが満たされていてもなお、お金についての不安が消えない人はどうしたらいいのか? ハーバード・ビジネス・スクール教授で幸福について教えているアーサー・C・ブルックスが、こうした不安に対する実践的なアドバイスを伝えている。 豊かな資産があっても心配な人々 お金は米国人が抱える最大の悩み事のひとつだ。経済が拡大基調にあった2018年当時でさえ、生命保険会社ノースウェスタン・ミューチュアルの調査によると、米国人の半数以上が「時々」「頻繁に」あるいは「常に」、お金に関して不安や心細さを感じていた。そしてコロナ禍においては、労働者が健康よりもお金を心配する傾向が約5倍も高かったことを示す調査結果もある。 だからといって、国民の半数以上がお金について心配する必要があるわけではない。米国国勢調査局の2020年
「もし『無知は幸福』だと思うなら、この動画を見ないで」 こうした警告から始まる動画で、1人のインフルエンサーが果物をカットしながら、ピーナッツバターやバニラフレーバー、さらには雨のなかに実際に何が入っているのかについて語り続ける。 これは、オンラインのウェルネス界ではよくある投稿の一種だ。だが彼女はわずか17歳で、高校2年生なのだ。 ボストン近郊に住む自称「クランチー・ティーン(自然派の若者)」のアバ・ノエは、インスタグラムで2万5000人以上のフォロワーを持つ。彼女の投稿ではヨウ素添加塩を「毒性がある」とし、フッ化物を「毒」と表現する。そんなノエは、フッ化物不使用の歯磨き粉メーカーとの有償パートナー契約を結び、「無毒」スキンケア製品などを販売するブランドとも提携している。 米「ニューヨーク・タイムズ」紙によれば、ノエのように同世代の健康志向の若者にアピールするインフルエンサーが増えている
「デニム」という言葉はフランス生まれだ。南フランスの街ニームで作られていた織物「Serge de Nîmes(セルジュ・ドゥ・ニーム)」が語源とされている。 海外での日本製ジーンズの人気はすっかり定着したように思えるが、デニム発祥の国、フランスからの注目は、近頃さらに高まりを見せている。 仏紙「ル・モンド」は、LVMHグループの投資会社Lキャタルトンが、2025年、岡山県倉敷市児島のアパレルブランド「KAPITAL(キャピタル)」の過半数株式の取得を発表したと報じる。 同紙は、日本製デニムを「デニムの真髄」であり、「純粋主義者にとって最高のもの」と伝え、日本発のデニムブランドとして「EVISU(エヴィス)」、「pure blue japan(ピュアブルージャパン)」、「SUGAR CANE(シュガーケーン)」、「ONI DENIM(鬼デニム)」を紹介。 さらに、フランスのブランド「A.P.
デンマークが、40年にわたって禁止してきた原子力発電について再検討をはじめた。同国の再生可能エネルギー重視の政策が大きく変わろうとしている。 デンマーク政府は、従来型の原子炉を1985年に禁止したが、今後、新世代の原子力技術の潜在的な利益を分析するとエネルギー相が発表した。 デンマークは、ヨーロッパで再生可能エネルギーが最も豊富な市場のひとつだ。世界最大の洋上風力電力会社「オーステッド」の本拠地でもある。 国際エネルギー機関(IEA)によれば、同国の電力の80%以上が、風力、バイオ燃料、太陽光などの再生可能エネルギーで発電されている。 だが、デンマークはモジュール式の原子炉にも投資しはじめる可能性があると、エネルギー・気候大臣のラース・オーガードが示唆したのだ。オーガードは国内紙「ポリティケン」に次のように語っている。 「新しい原子力技術、すなわち小型で、モジュール式の原子炉の開発が進んで
タイムシェアとは、リゾートホテルの部屋などを決まった期間使う権利を購入するシステム、またはその物件のことだ。日本ではバブル崩壊とともに廃れていったこの市場が近年、活況を呈している。米紙「ニューヨーク・タイムズ」がその最前線を取材した。 日本で最も活発な火山に数えられる浅間山の麓では、ギザギザの溶岩層があちこちに見えている。村々を飲み込み、この土地に永久に消えない傷痕を残した、1783年の噴火の名残だ。黒い火山岩が点在する「鬼押出し園」も、見どころのひとつだ。 東京都心から140キロほど離れたこの森林地帯に近年、カクカクした多面体が続々と出現し、ゴツゴツした火山岩群に仲間入りした。ところが、これらの真新しい物体には、天窓やサウナが付いているのだ。 地元の観光サイトが「自然の脅威を目の当たりにできる、日本有数のスポット」と呼ぶ浅間山麓は、現代的なデザインの展示場としては意外に見えるかもしれない
ブラジル・リオデジャネイロ西部、タラヴェラ・ブルース女子刑務所の受刑者たちは、週に3回、読書室に集まる。そこは、クッションと本棚が置かれた小さな避難所だ。 現地紙「オ・グローボ」によると、彼女たちが参加しているのは「História além muros(壁の向こうの物語)」と名付けられたプロジェクトで、獄中の女性たちに読書を推奨するため、2021年に始まった集いだ。 監視されながらではあるが、参加者はお互いが読んでいる本について語り合い、軽食を共にし、独房に持ち帰る本を3冊まで選ぶ。蔵書は600冊ほどあり、ほとんどが寄付されたものだ。ジャンルはブラジル文学から外国文学、詩、漫画、児童書まで多岐にわたる。 ある参加者は同紙に、刑務所では「自分を見失います」と話す。「本は私たちの感情や記憶を蘇らせてくれます。まるで、子供に戻ってもう一度学び直しているような気持ちになるのです。受刑者であること
文化的偏見が露骨に表れたIQテスト 「IQ」という言葉が使われはじめたのは1922年のことだが、人間の知能を計量化する手法は1869年に出版されたフランシス・ゴルトンの『天才と遺伝』(早稲田大学出版部)によって初めて確立された。 彼はチャールズ・ダーウィンの従兄弟で、社会進化論の主唱者だった。同理論は、環境に最も適したものが生き残ると主張する「最適者生存」を軸に、人間社会の再編成を目指すことを目的としており、疑似科学的なところがあった。 ゴルトンは人の知能を統計学的に分析することを試みた。さらに英国の著名な裁判官、政治家、芸術家にみられる遺伝的特性として、「生まれつき高い才能に恵まれた集団」と「生まれたときから高い地位にある集団」はほぼ一致すると主張し、優性思想と縁故主義を支持した。 IQテスト(知能検査)は、こうした文脈から生まれた。少なくとも同テストは、知能を測る行為に科学的な正当性が
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