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壊れやすい卵のための21世紀マンガレビュー 村上かつら『淀川ベルトコンベア・ガール』 | マンバ通信
1 はじめに 2009年2月、村上春樹はエルサレム賞の受賞挨拶で「もしここに硬い大きな壁があり、そこに... 1 はじめに 2009年2月、村上春樹はエルサレム賞の受賞挨拶で「もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立ちます」*1と宣言しました。「壁」と「卵」のメタファーに関して、彼はつぎのように説明しています。 こう考えてみてください。我々はみんな多かれ少なかれ、それぞれにひとつの卵なのだと。かけがえのないひとつの魂と、それをくるむ脆い殻を持った卵なのだと。(略)そして我々はみんな多かれ少なかれ、それぞれにとっての硬い大きな壁に直面しているのです。その壁は名前を持っています。それは「システム」と呼ばれています。*2 このように述べたうえで、彼は自分が小説を書く理由は「個人の魂の尊厳を浮かび上がらせ、そこに光を当てるため」であり、「我々の魂がシステムに絡め取られ、貶められることのないように、常にそこに光を当て、警鐘を鳴らす」ことこそが物語の役目だと聴
2020/11/11 リンク