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90年代は「皆が同じものを見た」最後の時代だった
喪失感を埋めるように「夢」が生まれた90年代 『フォレスト・ガンプ 一期一会』が描き出していた、アメ... 喪失感を埋めるように「夢」が生まれた90年代 『フォレスト・ガンプ 一期一会』が描き出していた、アメリカの「美徳」。それは、アンダーセンの言葉そのままに借りるならば、「無邪気」な「ひたむきさ」ということになる。そして、それは「幻想」でもあると彼は冷静に分析するわけだが、その「幻想」こそを時に求心力とするのが、ある意味国家という存在だ。 「美徳」が「幻想」であると気づき、ある種の喪失感が広がっていった90年代だが、皮肉なことに、そうした喪失感を埋めるように、ニューエコノミーの夢が、さまざまな新技術の領域で生まれていた。 バイオテクノロジー、宇宙開発、そして最も人々の社会生活に影響を与えたのはITだ。経済の構造が、自動車などの工業主体の時代から情報、ソフトの領域主体へと完全に置き換わっていったのだ。冷戦構造の解体によって生まれた軍事費の削減分が、新たな経済分野へと投入され、情報テクノロジーの分