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話題作『由宇子の天秤』に足りないのは? 春本監督に伝えたいこと(森達也)
<カメラは由宇子と共に動いてゆく。由宇子がいないシーンはほとんどない。徹底して禁欲的な手法は理解... <カメラは由宇子と共に動いてゆく。由宇子がいないシーンはほとんどない。徹底して禁欲的な手法は理解するが、見ながら不満がたまってゆく。志は大いに共感できるし、テーマも素晴らしいのに...> 見たほうがいいよと何人かに言われた。絶賛している友人も多い。だから見た。見終えて吐息が漏れた。感嘆の吐息ではない。微妙過ぎる仕上がりに漏れた吐息だ。 『由宇子の天秤』の由宇子は、女子高生と教師の自殺事件を追うテレビドキュメンタリーのディレクター。保身を優先するテレビ局上層部と対立を繰り返しながら、少しずつ事件の真相に近づいてゆく。しかし由宇子はある日、学習塾を経営する父が隠していた衝撃的な事実に直面する。それはまさしく、自分がいま撮っている作品のテーマに、際どく抵触する事態だった。 ......ざっくりとストーリーを紹介した。ここまでは前半。後半ではドキュメンタリー制作と父親のスキャンダルに絡めて、由宇子
2021/10/27 リンク