背筋を伸ばし、凜(りん)とした心持ちで参道を歩く。社寺という聖域へ進む特別な時間…のはずが「ガタ、ゴト」と目の前を列車が横切って-。 そんな独特の空間は、一部のまち歩き愛好家から「分断参道」と呼ばれ、SNSを介して情報が蓄積されている。仕掛け人いわく「聖と俗のクロスロード」。京都市内の知られざる密集地帯へ足を踏み入れてみた。 山科区のJR山科駅で降り、旧東海道を東へ歩く。862(貞観4)年創建と伝わる諸羽神社の鳥居が現れた。社殿を目指し北に曲がると、参道は、60メートル先で京阪京津線の踏切に「分断」された。さらに80メートル先でJRの東海道線と湖西線の高架が立体交差する。 「信仰の場が、鉄道という高速交通システムによって切り刻まれた。『近代の産物』です」 案内役を担ってくれた京都大の大学院生、重永瞬さん(27)が力を込めた。鉄道をはじめ、1桁国道などの巨大インフラが、街道や参道という従来の