『酔眼のまち 新宿ゴールデン街1968~98年』 (たむらまさき、青山真治/朝日新書) 〈カウンターカルチャーの聖地・新宿ゴールデン街。1968年の新宿騒乱からバブル期の狂乱を経て、98年までの映画人の梁山泊ぶりを、渦中にあった映画キャメラマンたむらまさきの証言を〉映画監督・青山真治が聞き書きした、という触れ込みの薄い新書、『酔眼のまち 新宿ゴールデン街1968~98年』。 この本を一読したところの印象は、〈新宿ゴールデン街〉について、その黄金期に立ちあった者(たむら氏)から貴重な証言を採取し、ひとつの街の(一時代の)すがたを描き出す、というところに主眼はないと感じられます。それ(新宿ゴールデン街)はこの新書の企画が商業的に成立するための方便であって、〈キャメラマン・たむらまさき〉の貴重な証言/発言を出来るだけ長い分量として形にして残す、その映画史的な意義がこの書物の指向するところであり、