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猛暑に注意を
delete-all.hatenablog.com
先日お知らせしたとおりこのブログの「給食営業マン」を書籍化、2025年9月18日に「給食営業マン サバイバル戦記 カスハラ地獄、失注連鎖、米の仕入も赤信号」というタイトルで発売することになりました。関連エントリ→ delete-all.hatenablog.com しかし、書籍化だけでは給食を取り巻く環境は変わらない。まだまだ認知されていないマイナーな業界だ。そこで、今回の書籍化を機に、給食業界の問題や理不尽さを世の中に知ってもらい、少しでも給食を良くしたい!という目的のもとに担当編集W氏と相談してクラファンを立ち上げました。リンク→ 一口2200円というドンキもびっくりな価格設定でリターンは「完成した書籍1冊」と「書籍へのお名前掲載」になります。詳細→ 【お名前掲載+書籍】 あなたのお名前を、書籍『給食営業マン サバイバル日記』巻末の「スペシャルサンクス」ページに掲載させていただきます。
参院選が終わった。今回も、無事、就職氷河期世代は見捨てられそうだ。おめでとうございます。わかっていたから驚きはない。また僕自身は氷河期世代に属するが、うまく渡り歩いてきた方だと自負しているので、政治や国から忘れられたところでダメージは無い。51歳。サラリーマン生活を完走できる地点まで辿り着いた。今後は、氷河期世代の仲間たちの頭をモグラ叩きの要領でポカポカ叩いて地中へ押し返して立場を守りつつ、他の世代に対してはこれまで以上に無慈悲な攻撃を仕掛けて逃げ切りをはかりたい。僕は他の世代に勝ちたい。世代という括りを断ちたい。そうやって生きてきた。 それでも今回は「氷河期世代が希望を持てるかもしれない」という淡い期待があった。これまでになかったものだ。なぜなら、選挙前の争点の末席に「氷河期世代支援」が置かれていて、各政党とも「誰も取りこぼさない/置いていかない」と言っていて、選挙前から氷河期世代支援が
新刊が出ます。このブログの人気コーナー(?)給食営業マンシリーズが本になります。家の光協会からで発売日は9月18日。タイトルは「給食営業マン サバイバル戦記」、サブタイトルは「カスハラ地獄、失注連鎖、米の仕入れも赤信号」です。価格は税込1650円 電書もでます。詳しくは公式サイトをどうぞ→書籍 | 家の光協会 (※表紙。ミッションインポッシブルっぽいイメージを担当編集にリクエストしたら「なろう系」っぽくになりました。これはこれでいい) 【凝縮されたサラリーマンの悲哀。それは、氷河期世代の給食営業マンが歩んだ、30年の戦場。社員食堂、病院、老人ホーム、保育園、映画館――社会のあらゆる場面で「給食会社」は静かに稼働している。しかし、その裏側には、理不尽すぎる値上げ交渉、親子でカスハラをするクライアント、土壇場でひっくり返る入札、会社の上層部と現場との板挟み……まさに「報われなさ」と「やめられな
僕は神奈川県の海と山に挟まれた小さな街で暮らしている。僕が通っていた小学校では、「おどうぐばこ」と呼ばれるロッカーに入れて使う大きな箱を各自持たされていた。夏休み前にはそれを持って帰る。苦行だった。「おどうぐばこ」に、机の引き出しとその中身、絵具やピアニカといった道具を全部入れるのでめちゃくちゃ重いのだ。小学2年の夏休み前。もう40年以上昔(1981年)になるが、僕は同級生で仲の良い栄ちゃんと一学期最後の日、クソ重い「おどうぐばこ」を持って一緒に帰った。とても暑い日だった。太陽の光が強すぎて太陽がどこにあるかもわからないくらいだ。木や建物の影を選んで僕らは歩いた。「おどうぐばこ」を運んでいると重さで手がパンパンになってしまうから休む必要があった。夏休みに入るからという理由で、いつもとは違う道で帰ることになった。 小さな神社で休憩をした。神社は階段の上にあった。信心も賽銭もないので入口の鳥居
若い頃、職場の先輩から「仕事中に政治の話は絶対にするな」と教えられた。その教えを今まで守ってきた。「支持するものがちがっているという理由で契約を取れなかったらバカみたいだろ」と先輩は言った。他の先輩も同じようなこと言っていたし、仕事中に深く政治の話をしたことがないので、そういうものだとこれまで思っていた。それが僕にとっての当たり前だったというだけのことだ。もし、営業マンが職場や取引先で積極的に政治について語り合っていれば、大きなうねりになって政治を動かしたかもしれないと思うこともある。しかし、「あなたの顔とあなたが紹介する商品はいいが、スポーツ平和党を支持しているあなたを窓口にしている企業とは契約できない」といわれて契約が取れなければ生活に支障が出る。背に腹は代えられないのだ。 だから、2025年7月22日午前中。先ほど隣の部署の同僚たちから「日本人ファースト」という現在きわめてナーバスか
約30年間、営業職として働いてきた。よくぞここまでやってこられたと思う。営業職に就いた当初は、「この仕事を続けられるのはせいぜい半年くらいが限界じゃないか」と絶望していたからだ。あの頃を思い出すと、煙草の香りのする真夏の喫茶店でごちそうになったコーヒーゼリーの味が鮮やかによみがえる。 平成8年(1996年)、大学を卒業した僕は東京で営業マンになった。営業部は、30代後半以上の個性豊かなオッサンばかりが在籍していた。20代後半から30代前半の人材が欠けていたのは、仕事がキツくて離脱者が相次いだからだと後で知った。研修で「電話の応対」や「名刺交換のルール」は教わったけれど、案件の見つけ方、商談の進め方、といった営業の仕事は誰も教えてくれなかった。今ならネットや動画で調べられるが、そういうものはまだなかった。ネットに接続できない携帯電話がようやく普及しはじめた、そういう時代だ。 夏になった。僕は
週末、米を納めてもらっている業者の担当者さんに30分ほど一方的に愚痴られた。愚痴の内容は、「小泉大臣やどの政党の政治家は、米の価格を下げると言っているけど、生産コストが上がっているのに、前と同じレベルまで下げられるはずがない。利益を削れというのか。わかっていない」というもの。この業者担当者さんも生産者、卸売り経由で米を仕入れている立場なので、利益を減らすしかやりようがないと言うのである。 当該業者からは業務用米(ブレンド米)を買っている。当該業者も卸から米を買っている。その時点で油や肥料やその他諸々のコストがかかって仕入れ価格が上がっており、さらに精米やブレンドといった工程が入るため、値上げするしかないという状況だそうだ。 今回の米騒動は、見方をかえれば、米の価格ベースを上げるいい機会になったかもしれない。もちろん価格の急激な上昇は影響が大きいけれども、ゆるやかに価格が上がっていくのは自然
もともと墓じまいをするつもりだった。時期は会社を定年退職をして毎日サンデー状態になり暇を持て余してから、とぼんやり考えていた。しかし予定を早めたいと考えている。母親の僕への態度がその原因だ。 先週、母親から「体調はどうですか?」というメールが届いた。僕の体調を気づかうメールをよこして誘い出し、3万くれーつって金の無心をするのが母の手である。もうダマされない。僕にも学習機能は搭載されている。僕は「特に問題はない」と返信して放置した。通常であればジャパンマネーの獲得という目的のために僕が誘いに乗るまで母は執拗にメールを飛ばしてくるのだが、今回は、まったく反応がなかった。一週間経過。酷暑が続いている。自宅で倒れているのではないか。腐乱しているかもしれない。心配になった。心配したのは母の状態ではなく、近くに住んでいるのに母をゾンビにした無慈悲な長男と責められる我が身、世間体であった。母さん、無事で
参議院選挙が近い。どの政治団体の政治家も多少の差異はあっても「次の世代に負の遺産を残さない」的なことを仰っている。僕はそれを聞くたびに「僕ら(就職)氷河期世代のことを指しているよね」と思う。被害妄想が強すぎるのか、あるいは、意識過剰かもしれない。しかし、ここ最近、これまで見捨てられてきた氷河期世代を手のひらクルクルーで、氷河期世代支援の重要性が唱えられており、それは言いかえれば、氷河期世代が社会のお荷物というか、負債であることの裏返しだ。それがやたら目立ち、かつ、わざとらしいからムカつくのだ。 僕は氷河期世代だ。バブル期の恩恵を受けることはなく、バブルの残光すら浴びることはなかった。いざ社会に出るときは、就職状況は「風雲たけし城」や「SASUKE」のトラップ級の厳しさ。100社エントリーシートを手書き(!)して、最終選考まで進めたのは数社。無理ゲーだった。同じ世代は、やむをえず、しかたなく
「私が見た未来」というベストセラー本によると、2025年7月5日に日本で何かが起こるらしい。そのため、感受性の高い人があたふたしたり、日本への観光客が減っていたりして、影響が出ている。予言の夏、緊張の夏である。これまでいくつかの予言を生き抜いた僕からは「注意力が散漫になっているので交通事故に気をつけましょう」くらいしか言えない。予言や予言を信じる人をバカにしてはいない。なぜなら、僕は予言を信じ、予言で人生を軌道修正してここまでやってきた人間だからだ。 1991年の7月、高校3年生の僕はノストラダムスの大予言を信じるボンクラだった。ノストラダムスの大予言は1999年8月に恐怖の大王が空から落ちてきて人類が滅亡するという物騒な内容で、当時の米ソ冷戦世界情勢から核戦争を意味しているとか、未知の天体が地球に激突するとか言われていた。僕が通っていたのは大学進学率を信奉する地方の公立進学校だった。6月
こんな記事があった。求む、バブル崩壊で教員を断念した40~50歳代…文科省が「就職氷河期世代」の積極採用通知へ(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース読んでもらえばわかるが、今さら何言ってんだ感がひどい。最近、就職氷河期世代支援が話題になることが多いのは、40代から50代になった氷河期世代が、社会が背負えないレベルの重荷になることが判明したからだ。公による支援策の多くは就業支援だ。はっきりいって手遅れ。15年遅い。僕は「体力と気力の衰え著しいアラフィフをブラック環境の職場に放り込むつもりなのか、雑に使うなー」と冷ややかに見ている。冷ややかなのは、本気でやっているようには見えなかったからだ。「氷河期世代見捨ててません!」というポーズに見えたからだ。それに、政治や行政は手を打っている、それに乗るかどうかはあなた次第!といういつもの自己責任に持ち込むやり方には耐性が出来てしまった。 今回
雨の夜、「はてな村」という星座を思い出す - シロクマの屑籠 シロクマさんの「はてな村」についての懐古記事を、ほぼ同じ世代でほぼ同じ時代をインターネットで過ごした者として興味深く読んだ。僕は25年くらいインターネット上に文章をアップしているけれども、「はてな」も含めてインターネットのコミュニティに属したことがないと認識している。現在でも、キャラクターを認識できるアカウントは数えるほどしかない。付き合いのあるアカウントも少ない。そんな中途半端な立ち位置にある僕でも、ネットの片隅に存在していたコミュニティーがなくなりつつある状況はすこし寂しい。「写真でしか知らない、遠い国の森林に生息するとある生物が滅亡に向かっている」というニュースを聞いたときの感覚に近い。直接関係ないし何かしようと思わないけれど、なくなると寂しい、みたいな感じだ。ブログやブックマークのような古いネットのサービス(コミュニティ
小泉農相 備蓄米売り渡し 外食 中食 給食事業者にも対象拡大へ | NHK | コメ 小泉大臣が随意契約の政府備蓄米の給食事業者への売り渡しを表明した。それを受けて僕が働いている給食会社でも緊急対策会議が開催された。直近の状況。業務米は依然として値上がり傾向が続いているが、値上がり幅は小さくなっている。取扱量について、米業者さんからは「新規の取扱量は約束できない」といわれていたが、改善され、取扱量のリミットは解除された。米不足はかなり解消されている。 そういう状況を踏まえて政府備蓄米の導入について検討した。給食で使用する業務用米でもっとも重要視されるのは「相応量の安定的な供給」だ。小売り向けは一回きりの販売でも許されるが給食はそうはいかない。「相応の量」を「いつから」「いつまで」が取扱いできるのか明確でないと使いようがない。その点で政府備蓄米を導入するのは不安だ。「精米工程」「保管場所の確
先日、沖縄県石垣市の市議がSNSに投稿した「具材なし豚汁」給食が炎上、謝罪撤回になる騒動があった。問題になったのは石垣市内の小学校で提供された給食をとらえた一枚の画像だ。リンク先参照。 news.yahoo.co.jp この文章は給食会社の営業部長の立場から、「画像の謎」と「学校給食の炎上しやすい特性」について考察したものだ。 問題の画像は、市議が今月13日正午に学校を訪れ、許可を得たうえで撮影された当日の給食だ。その内容が貧相だったこと、「牛乳がない」など完全な配膳がなされた状態でないという指摘、指摘に対する「配膳途中」の画像を投稿したという市議の言い訳などから大炎上したのである。献立の内容は「ライス、きのこ入り豚汁、いわしのおかか煮、牛乳」。リンク先の記事の画像では、豚汁には具材が入っていない(ように見える)、イワシは何もかかっていない、牛乳がない状態。こんな給食ある?と首をかしげるよ
実家の紫陽花を眺めるのが好きだ。毎年微妙に色が違うので楽しい。そろそろ咲きはじめている頃だが、まだ、見ていない。実家で暮らす母とプチ断絶状態にあるからだ。何かあれば駆けつけられる距離にいるが日常的に接触をしない今のやり方が、ベターだと僕は考えている。理由については前に書いたとおりだ。子供が親の面倒を見るのが当たり前という彼女の考え方が気に入らなかったというのもあるが、顔を合わせるたびに金を求められるのがストレスになっていたからだ。 1ヶ月前、母からメールが送られてきた。題名はなく、文面は「元気ですか?」だけ。珍しい。通常、僕の体調や仕事を気にかけるフリすら見せず、「(金額)を貸してください。至急」と目的のみを告げてくる母が「元気ですか?」である。無視を決め込もうとしたけど無視できなかった。どうしても気になってしまった。その日は父の命日だったからだ。父の命日に、これまで僕の体調など心配したこ
Q.政府備蓄米は食材高騰にあえぐ「給食」を救えるか。A.救えない。僕は給食会社の営業部長だ。最近、食材原価高騰を受けての価格アップ交渉の席で顧客から「政府備蓄米を使って何とかならない?」と言われる。どうにもならない。なぜなら、政府備蓄米は給食へ回ってこないからだ。政府備蓄米は小売向けであり、外食へは向けられていないと大臣が明言している。 《仲良しのブタくんの米屋に備蓄米を買いにいった給食クマくんの図》 念のために取引している米業者さんに政府備蓄米の取り扱いを確認した。「なし」だった。「品質がよろしくないお米をお客さんに提供できない」というプロ意識からだと思ったら違った。なぜなら、給食会社が扱うような業務用米は、相応の量の米を安定して継続的に供給する必要があるからだ。そのため、競売であれ随契であれ、いつ入ってくるのか見通しが立たない政府備蓄米は取り扱えないのだ。スーパーや小売店で販売されてい
唐揚げ1個の給食、SNSで「寂しい」相次ぐ 市「2個分あるので」(朝日新聞) - Yahoo!ニュース www.asahi.com 福岡市内の小学校で提供された「唐揚げ一個の給食」がネットで話題になった。この福岡市学校給食の件は民間委託やコストダウンが原因ではない。なぜなら、福岡市学校給食において民間委託業者が請け負っている業務は調理業務であり、騒動の発端となった給食内容に直結する献立作成、食材発注納品は公益財団法人福岡市学校給食公社の業務だからだ。公益財団法人 福岡市学校給食公社 今回の事態は、給食の予算(食材予算)に原因がある。学校給食に係る食材費では一食当たりの単価が決められ、予想年間総食数を乗じた額が年間予算になる。この予算額は年度途中に変更されない。物価高騰や社会情勢の変化に対応できない。例えば昨今の米価格のように価格が倍になっても決められた食単価の枠内で「なんとかする」しかない
ゴミ箱に触れた手でピザ調理・毛髪混入、大阪市の小学校で給食業者が不適切業務…市長「契約解除の可能性も」(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース 汚れがついたままの食器、毛髪混入… 大阪・市立小の給食で何が | 毎日新聞 給食の食器に金属片のようなもの混入 大阪市内の小学校で問題相次ぐ 不安に感じる家庭も…57人の児童が弁当持参(ABCニュース) - Yahoo!ニュース 「米がじゃりじゃり」大阪の小学校で給食に問題相次ぐ 弁当の児童も(朝日新聞) - Yahoo!ニュース 大阪市東住吉区の小学校の学校給食で、今年4月の業者変更以来問題が起き続けているのが大きな話題になっている(上記リンク記事参照)。異物混入、洗浄不足、不完全調理等問題のオンパレードで、弁当持参をしている子供もいるようだ。なお、市教委は、学校名や事業者名を明らかにしていない。 最初に言っておきたいのはこの事案は、問題
就職氷河期世代支援は、他人事ではない。僕も氷河期世代に属しているからだ。で、ムカついている。同じようにムカついている人は多いようだ。ムカつく点や度合いは人それぞれだが、「今更感手遅れ感」と「方法」に疑念がある点ではだいたい一致している。先日、僕のX(旧Twitter)投稿への反応を見て実感した。 最近、氷河期世代支援が話題になっているけど、氷河期世代の上の年齢層が50代になっているのに今さら支援とか遅すぎてかえってバカにされている気がするんだよね。1人当たり1000万配るとかならまだマシだけど就労支援を真顔で話していてマジでバカにしてるよね。ずっと働いているっつーの。 — フミコ・フミオ (@Delete_All) 2025年5月16日 反応の幅が想定よりも少々広いくらいで大体予想の範囲内だった。というと「利いた風な口をきくな」と一喝されそうだが意見の幅が少ないように見えた。もちろんディテ
弱い立場にある労働者を守るのは超大事。令和を生きる僕らが乗り込むのは「蟹工船」ではあってはならない。カニなら「かに道楽」に乗り込みたい。しかしながら、ときどき、労働者を守るはずの法律や制度が悪用されることがある。よろしくない。たとえば職場に問題ある人物が現れたとき、労働者を守る様々なものが邪魔になるのだ。解雇事由までいかないような問題、例えば指示や命令に反抗する、いちいち不平不満を口にして共に働いていると嫌な気持ちになる、注意されるたびに「労基に駆け込む」と逆脅迫してくる、といった言動をする、扱いにくい人物がいる場合、その人物も守られているがために、周りが迷惑して消耗するのだ。 昨年、とある社会福祉法人と給食事業の契約を結んだ。給食事業では、従業員の引き取りが条件になることがある。「長年働いてくれたから」「彼らの雇用を守りたい」という歯が空中浮遊するような言葉は建前で、「波風を立てたくない
母を捨てた。家族と呼べるのは奥様をのぞけば、母と弟の二人になるけれども、実家で暮らす母とは昨春から元旦に十五分くらい顔をあわせたきりであり、弟とは三年近く電話もしていない。母と弟が何をしているのか知らない。弟は勝手に生きていくはず。問題は後期高齢者の母である。母は小さな問題を起こしては後始末を僕に押し付けてくる人だった。弟やその他親族から面倒を見るのは長男の僕の役目と言われ、社会的な枠組みも長男が親の面倒をみるのが当然とされているので、仕方なくその役を引き受けてきた。 だが、僕は母を捨てた。僕が抱えている三大ストレス「家族」「こづかい月一万九千円」「ヤクルトスワローズの戦績」のうちひとつがなくなったのだ。ブラボー!「捨てる」は姨捨山への放棄ではなく、「会わない」「連絡取らない」「気にしない」である。日常生活から親を切り捨てるという意味だ。昨春から続けている。「たまに電話を寄こしなさい。あん
4月末、とある飲食店が廃業した。個人経営の小さな店だ。特定されないよう、店名と売り物は伏せておく。ウチの会社は食材と消耗品を納品していた。オーナーシェフは二代目で、先代から五十年以上も続いている老舗。今の店舗に移ってきたのは三年前で、移転の際に厨房機器を一部刷新したので機器や設備の老朽化が廃業の原因ではない。跡継ぎはなく、オーナー夫婦は六十代前半だが、僕よりも元気なくらいだ。売上や集客も好調だった。だから、廃業の理由をオーナーは明かさなかったけれども、お米や食材の価格高騰しか考えられなかった。 営業最終日、店に足を運んだ。なんとなく気まずい。訪問するたびに入口ドアに「価格改訂のお知らせ」が貼られていて、文面がお詫び調なのを見てなんとも言えない気分になっていた。最後の価格改訂は3月末。お詫びするのも疲れたのだろう、お知らせの文面はなく、ただ黒マジックの斜線で従来の価格を消し、新価格を赤マジッ
最近、氷河期世代支援という言葉をニュースで見る機会が増えた。「時代に見捨てられてきた氷河期世代を救おう!」キャンペーンである。1973年(生まれは1974年2月)の僕は就職氷河期世代であると同時に団塊ジュニア世代で、当該世代は人数が多い。30年近く放置しておいて、定年が視野に入ってきたこの期に及んで、各政党が選挙を見据えて氷河期世代支援策を訴えている。バカにしているとしか思えない。「待ったなしの状況」とか「学び直し(リスキリング)の支援も行っていきたい」とか言っちゃっている政治家の先生こそ学びなおした方がよろしいのではないか。 何が悲しくて50をこえてから学び直さなきゃいけないのだ。それこそ「氷河期世代は何も学んでいない」「空っぽの世代」と言っているようなものだ。かつて基礎化粧品SK-IIのCMで桃井かおりさんが「30代まではいいのよー」と仰っていたのは正しい。40代後半以降になって「今か
「将来なくなる仕事」というくだらない記事が定期的に雑誌やネットにあらわれる。「技術の発達で今現在あなたが従事している仕事はなくなるよー」という身も蓋もない内容で、そのような記事を載せていた雑誌が紙面に掲載していた仕事職業より先に廃刊になっていたのは体を張ったギャグだったのだろう。だいたい技術によって仕事がなくなるのはごく当たり前なので「ヤバい!どうしよう!」と慌てる側も「ヤバいぞ。どないするの?」と煽る側もどうかと思う次第であり、技術の発達の有無に関わらず能力の低さで職を失うほうを心配した方がよろしいのではないかと愚考する次第なのである。 そもそも仕事がなくなるのは良いことである。仕事がなくなって困るのではなく、仕事がなくなって生活がどうなるかわからないから困るのである。僕は営業職として30年くらい働いてきた。はっきりいって飽きた。石川さゆりさんは上野発の夜行列車がなくなっても何十年間も「
僕は食品会社の営業部長。本来の仕事は法人向けの新規開発だが、昨今の米不足の影響で業務用米の確保に日々、駆け回っている。政府備蓄米の流通がはじまったが、以前の記事で予想したとおり米の価格は「若干落ちついたかな?」という程度で、価格上昇傾向は変わっていない。マスコミで報道されているのは一般向けの米だが、僕が取り扱っている業務用米の価格は5月以降の値上げ傾向は変わらない。鈍化もしていない。取引している業務用米の価格は平均するとキロ700円台後半。少し早い話になるが、この秋以降も同じ傾向が続くという見通しも米業者さんからも出始めている。元通りにはならない気がしてきている。備蓄米を毎月放出するらしいけど価格の安定にはどうかな。期待しないほうがよさそうだ。 勤めている会社は給食事業もやっている。給食事業は給食委託契約のなかで一食あたりの食材費が決められている。契約の条件がそのままでは、業務用米をはじめ
僕は、食品会社の営業部長だ。会社は中小企業。業務用食品から給食事業まで、良くいえば手広く、悪くいえば計画性なく食に関わる仕事なら手を出している。大手から極小、食品会社から給食会社、それから町中華や立ち飲み屋まであらゆる規模の顧客・競合と日々戦っている。慢性的な人材不足状況は悪化の一途で、部長職の僕が現場に入りパートさんから亭主と物価高への愚痴を聞かされながら漬物をつくっているほど。新規採用も苦戦している。人材不足、売り手有利。そのなかで僕が監督している営業部は三年前から新規採用を見送っている。コスパとタイパが悪いからだ。超有名企業やガンガンな会社が、アホみたいに新入社員をもちあげてる涙ぐましい入社式をテレビニュースで見て、新卒採用を止めた判断は間違っていないと確信した。 理由はいくつかある。一つめは、新卒採用に力を入れている大手に対抗することは不可能だからだ。初任給30万を提示している有名
僕は食品業界(給食会社)の中の人(営業部長)、まだまだ業務用のお米の確保に追われている。営業部が米の確保に奔走しているのは、業務用の米の目途が立たなければ新規開発どころではないからだ。ウチの会社は中小企業だ。事業展開にしくじったら持ちこたえる体力はない。必死なのだ。 契約している米業者からは年末に「現状以上の取扱量は約束できない。無理」と伝えられていた。先日、政府備蓄米の放出というポジティブな要素があった。業務米の取扱量がどうなるか期待していたが、残念ながら好転しなかった。契約米業者からはいい回答はなかった。それどころか、すでに4月の値上げが決まっていたが、5月以降も値上げが決まった。グラフは昨春からのウチが納品している業務用のお米の価格の推移である。A社がメインで取扱い量の70パーセントくらいをカバーしている。扱いが大きいので価格も抑えてもらっている。その他BCD社が高いというわけではな
僕は食品業界の片隅で働く営業部長だ。僕が勤めている会社も、米の価格と量の確保に苦戦している。業務用のお米については、昨年の夏ぐらいから価格が上がりはじめ、取引のある業者(数社)からは、来月からの値上げもすでに決定している。米を使用する商品から別の食材使用する商品へのシフトを進めるなど、事業計画の修正を終えたところだ。市場に出回っている米が少ないため、価格が高騰している。理由については米の価格の高騰を見越して(あるいは誘発して)、他業界や転売ヤーが大量に買い付けたからといわれているが、どうだろう?それだけではこの量の不足を説明できない気もする。特にネットやSNSで話題になる個人レベルの転売ヤーでは取り扱い料が少なすぎるので、原因のほんの一部にすぎないと僕は考えている。 そういう状況下で3月10日に政府備蓄米の入札がおこなわれた。3月13日に入札結果が開示される予定。明日だね。入札を受けて米の
就職氷河期世代が酷い目に遭っているという話を見聞きするようになった。中高年に差し掛かって賃金的にも立場的にも社会的にも弱い立場にあるという話だ。特に大手企業の新卒初任給が30万以上になると報じられてから「あれ?氷河期世代一人負けじゃない?」「悲惨だよね」みたいなことになっている。1973年(生まれは1974年2月)の僕は就職氷河期世代であると同時に団塊ジュニア世代だ。1996年の新卒採用時はまあまあ苦戦した。数十社にアプローチして内定がもらえなかったときは、心が折れかかった。有名私大卒は武器にならなかった。同じような人間が数多くいたからだ。オンシャノトリクミガー、オンシャノキギョウリネンガー、オンシャ、オンシャなどとバカみたいに気持ちの入っていないことを言い続けているうちに虚無な気分になったものである。 僕は、希望する企業や業界に入るのは早々に諦め、入れるところに入る方向へ舵を切ったことが
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