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大谷翔平
tmykinoue.hatenablog.com
天災人災事件事故、何もかも自分が未然に防いだと言い張る彼女のことを、人は「未然ちゃん」と呼ぶ。ひょっとすると、世界は未然ちゃんのおかげでなんとかまわっているだけなのかもしれない。 三月の未然ちゃんは、とある高校の掲示板の前にいた。その日は入学試験の合格発表の日だった。未然ちゃんはまだ小学生であり、お兄さんもお姉さんもいない。 誰もが貼り出された番号の群れを見て一喜一憂していた。そんな中、手元の受験票と掲示板を七度見八度見しながら、涙を浮かべている少年がいた。誰が見ても落ちているのがわかる、痛々しい光景だった。 未然ちゃんは、少年のそばへつかつかと歩み寄り、上司のようにポンポンと少年の肩を叩いて声をかけた。 「良かったでしょ! 受かってたらあんた、間違いなく死んでたでしょ!」 少年は何を言われているのかさっぱりわからなかった。おかげで目にあふれていた涙が引っ込んだのは間違いないが、不思議と馬
今まさに、うろおぼ刑事が万事うろおぼえなまま現場へ突入しようとしている。懇意にしている情報屋から、「海沿いの第三倉庫でこのあと麻薬取引が行われる」という情報を聞きつけたような気がしないでもないからである。 第二倉庫だったかもしれないし、街道沿いだったかもしれない。話を聞いたのも情報屋ではなく、競馬の予想屋だったかもしれない。あれは手相占い師だったかな。五年前の話だったような気もする。 しかし自分の記憶がいくら常時うろおぼえだからといって、行動を起こさなければ事件など永遠に解決できない。だからうろおぼ刑事は、どんなにうろおぼえでもとりあえず動くのである。 それが結果につながる可能性は、もちろん著しく低い。何しろこの世の中には無数の場所があり、無数の人がいるのだ。時制の違いだって見逃せない。タイミングが合わなければ、事件現場に居あわせることはできないのである。 ならばうろおぼえなことはしっかり
これは物語のふりをした、世界一読みやすい予言の書であるかもしれない。 予言の書は予言が現実化する前に読まねば意味がないように思われるが、いざ見事にすべてが現実化してしまったあとのいま読んでこそ、背筋の凍る答えあわせが楽しめるというメリットもある。そういう意味では、いまこそ読まれるべき作品であるとも言える。 本作が書かれた1970年時点で、「個人情報」という感覚を持っていた人が果たしてどれほどいただろうか。ましてや「個人情報」というものに潜む計り知れぬ危険性を。 アイドル雑誌に、ファンレターの宛先としてタレント本人の住所が当たり前のように掲載されていた時代。そんな時代があったという事実が、いまやまるで信じられない状況になってしまった。情報に無防備すぎたあの頃が異常だったのか、情報漏洩を恐れすぎるいまこそが異常なのか。 星 新一といえばショートショートの人でありそちらはそれなりに愛読していたが
スリッパがすぐ駄目になるので丈夫なスリッパが欲しいが、そうなるとそれはサンダルになり靴になりはしないか。 スリッパは弱いからスリッパなのであって、強くなったらもうそれはスリッパではない。 スリッパは人をリラックスさせなければならない。なぜならばそれは人がリラックスするための場所、つまり室内で履かれるものだからであり、だからスリッパには素足感覚を邪魔しない柔らかさ謙虚さが求められる。 いや柔らかい素材の中にも、それでいて強靱な素材はあるだろう。しかしそのような無茶ぶり的二律背反を実現するような製品は、必ずや高価なものだ。 スリッパは必ず安くなければならない。人は高価なものを身につけていると、「壊してしまったらどうしよう」と考えるためそのステップが終始おっかなびっくりになり、いっこうにリラックスできないからだ。 問題はあるいはスリッパではなく、床のほうにあるのかもしれない。床がもう少し優しけれ
「おい、待て! さもないと撃つぞ!」 言うだけ刑事が、今日も威勢よく声を張り上げる。しかしそこはもちろん言うだけ刑事。ただ単にそう言っているというだけの話で、拳銃を抜く素振りもなければ、追いかけることすらしない。公園のベンチで悠然とカップラーメンをすすりながら、叫ぶだけ叫んで食い逃げ犯を悠然と見送っている。 そこへエプロン姿にコック帽の定食屋の主人が全速力で泣きついてくる。自分が周囲に助けを求めながら犯人を追いかけてきたルート上に、刑事が暇そうに座っているのを発見したからである。 「何やってるんですか刑事さん、あいつを捕まえてくれなくちゃ」 「言ったよ。俺は言うだけ言った」 言うだけ刑事は微動だにせず、ただいつもの返事を繰り返すのみだ。 そもそも彼が刑事を志したのは、「この世から暴力をなくしたい」という一途な思いからだった。だが念願の刑事になった彼に与えられたのは、一丁の拳銃という、暴力の
バスケを辞めて不良になった生徒が、「もう一度バスケがしたい」と虫のいいことを言ってもやさしく迎え入れてくれる安西先生…。 途中で投げ出しそうになったとき、「あきらめたらそこで試合終了」だと言ってアバウトに励ましてくれる安西先生…。 そんな安西先生ならば、きっとこの世のあらゆる悩みを解決できるはずだ。たとえそれが、どんなジャンルの、どんなスケールの悩みであろうとも…。 しかし大変残念なことに、安西先生は漫画の中にしかいないようなので、代わりに自分の頭の中にいる「脳内安西先生」にいろいろと相談してみることにした。 以下に挙げるのはそんな私の脳内で繰り広げられた、「脳内俺」と「脳内安西先生」による実りなき問答集である。 脳内俺「安西先生、『いいとも』が観たいです」 脳内安西先生「ホッホッホ。あなたみたいな人間が、後半何年も観てなかったから終わったんですよ」 脳内俺「安西先生、頭が痛いです」 脳内
極度に汚染された川底から 落としものにうるさい ニシャタクイーツが あらわれた! ニシャタクイーツは いきなり おそいかかってきた! 「あなたが落としたのは この『味の宝石箱』ですか? 『幕末塾』ですか?」(勇者・彦摩呂に) 「あなたが落としたのは この『壽賀子』ですか? 『ピン子』ですか?」(僧侶・えなりかずきに) 「あなたが落としたのは この『負けないこと』ですか? 『投げ出さないこと』ですか?」(スーパースター・大事MANブラザーズバンドに) 「あなたが落としたのは この『クロムハーツのアクセ』ですか? 『オリジナルブランドのアクセ』ですか?」(踊り子・コロッケに) 「あなたが落としたのは この『路線バス』ですか? 『漫画家という職業』ですか?」(遊び人・蛭子能収に) 「あなたが落としたのは この『若乃花』ですか? 『まさる氏』ですか?」(バトルマスター・貴乃花に) 「あなたが落とし
ヒント爺は、今日もRPGの世界を旅する勇者たちに情報を与えるためだけに生きている。 この世界はすっかり荒廃してしまった。しかしそれがなぜなのかは、ヒント爺風情にはわからない。彼に与えられている情報は、あまりにも少ないからだ。 いまヒント爺の住んでいる村では、昨年から水不足が続いている。もう一年あまりも雨が降っていないのである。そんな村に旅人が来ることはもはや滅多にないのだが、昨日は珍しく剣と盾を持った典型的な勇者が訪れた。盾が皮製だったところを見ると、まださほど冒険は進んでいないようだ。 勇者はずかずかと村に入ると、目についた村人に片っ端から話しかけていた。まるでナンパ師のように見境がないが、情報に飢えているのだから大目に見てやろう。村の名称や近隣の地形など、基本的なことは人に訊ねる前に「ググれカス!」と撥ねのけたくなる気持ちはやまやまだが、彼らはデジタルな世界の中に生きているにもかかわら
この世の何もかもを「光代化」してしまうという、魔法の一人称を入手した。 以下の例文は、「光代」と「世界」との戦いの記録である。 部屋とYシャツとあたしゃ(光代) あたしゃがオバさんになっても(光代) あたしゃ以外あたしゃじゃないの(光代の極み乙女) あの鐘を鳴らすのはあたしゃ(光代におまかせ) アタッシャ25(光代のアタッシャチャンス) あたしゃあ専用ザク(赤い彗星光代) あたっしゃケース(光代のギャラ運搬用) 真剣80代あたしゃべり場(光代88歳) 「若さの秘訣? あたしゃん(朝シャン)だねぇ」(光代式美容法) 「お弁当、あたしゃめますか?」(コンビニ店員光代) あたしゃかサカス(オールスター感謝祭で森脇健児に走り勝つ光代)
頭痛が痛い田村は腹痛も痛くなってきたような気がしているが腹痛は痛くない。膝痛が痛いのはいつの間にか治って完治していたし、歯痛が痛いのも半年前に治療して治したばかりだからこの問題は問題ない。虫歯が蝕まれていたのだ。 ただし寒さが寒い季節には、毎度毎年のことながら腰痛が痛くなる兆候が兆す。重い重量物を持って持ち上げると一発でギックリ腰がギックリ来るし、準備運動を準備せず急に急いで運動するとやはり腰が腰砕けになってしまうので、いつも気が気でないが気をつける必要が必ず必要である。 とはいえ適度に動く運動をして動いたほうが腰痛の痛みを緩めて緩和するには良質で良い、という話を耳で聴いたことがあるので、田村は毎朝歩くウォーキングを日課として歩くことにしている。 ウォーキングを歩くときはいつもの通常よりもやや速く高速で歩きを歩くため、車の車道と歩く歩道の間の合間の段になった段差につまづいて、転んで転倒して
いま話題の映画『君の名は』の主題歌「前前前世」/RADWIMPSみたいな三連曲名を無闇やたらと考えることにより、電光石火の三重殺(トリプルプレー)を狙いたい。 ちなみにこれは、『ボキャブラ天国』におけるネプチューンのキャッチフレーズである。 いっぽうでタイトルに書いた「三段逆スライド方式」というのはもちろん、みんな大好き『ハトヤ』CMへのリスペクト。特に意味はありません。 それでは、いったんCMをどうぞ。CMのあと、まだまだ続きます。 youtu.be では、いざ尋尋尋常に。 高田。適当さが三倍に。 稲川。怖さ三倍増。「やだな~」の回数も三倍増。 仲本。バク転三回。 ただでさえ元気な照英の元気が三倍増。もはや素人に扱えるレベルではない。 デリカット、ギルバート、クラークの三大ケントに捧ぐ。 尾崎、鶴田、年末の三大ジャンボ。 芋。 三日目となればそろそろ大変である。 黄色いよろず屋のテーマ曲
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