サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
hamachan.on.coocan.jp
2020年には突如として「ジョブ型」という言葉が流行し、2年後の今になっても「ジョブ型」を売り込もうとする経営コンサルたちの駄文が紙媒体でも電子媒体でも続々と湧いてきている。十数年前に日本とそれ以外の諸国との雇用システムの違いを表す学術的概念として筆者が作ったこの言葉が、インチキな成果主義を売り込む薄っぺらな商売ネタにされているのを見るのは、いささか辛いものがある。本来の「ジョブ型」がいかなるものであり、そしていかなるものではないのかは、昨年9月に上梓した『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書)に詳述したので、是非そちらを見ていただきたい。本稿はそれを前提にして、公務員制度とジョブ型雇用とのねじれにねじれた関係について述べていく。本誌の主たる読者層は公務員人事にかかわる人々であろうから、思い当たる節は山のようにあるはずである。 本稿の執筆依頼には「ジョブ型雇用を日本、特に公務に導入する際の
最近、「安い日本」がホットな話題になっています。日経新聞の中藤玲記者が書いたそのものズバリの『安いニッポン-「価格」が示す停滞』(日経プレミアシリーズ)は、特にその第2章(人材の安い国)で年功序列(がもたらす初任給の低さ)や横並びの賃金交渉、さらには「ボイスを上げない日本人」に、低賃金の原因を求めています。その理路は相当程度同感できるものではあるのですが、実はそもそも、「安い日本」は経済界と労働界が共同して求め、実現してきたものではないのか、という疑問もあります。 今から30年前、昭和から平成に変わった頃の日本では、(今では信じられないかも知れませんが)「高い日本」が大問題であり、それを安くすることが労使共通の課題であったのです。1990年7月2日、連合の山岸会長と日経連の鈴木会長は連名で「内外価格差解消・物価引下げに関する要望」を出し、規制や税金の撤廃緩和等により物価を引き下げることで「
昨年末安倍政権が成立してから、再び解雇規制論議がかまびすしくなっているが、筋道をきちんと理解しないままに思い込みで議論する傾向が一部に見られ、混乱を増幅させているように見える。 まっとうな議論を展開しているのは、政府の経済財政諮問会議と規制改革会議である。いずれも、職務や勤務地が無限定の「メンバーシップ型正社員」ではなく、職務限定、勤務地限定の「ジョブ型正社員」を創出することを前提に、当該ジョブがなくなったり縮小したときに、契約を超えた配転ができないがゆえに整理解雇が正当とされるという筋道で議論を展開しようとしている。
新しい労働社会-雇用システムの再構築へ(岩波新書) 濱口桂一郎著 2009年7月刊行 定価 735円 正規労働者であることが要件の,現在の日本型雇用システム.その不合理と綻びはもはや覆うべくもない.正規,非正規の別をこえ,合意形成の礎をいかに築き直すか.問われているのは民主主義の本分だ.独自の労働政策論で注目される著者が,混迷する雇用論議に一石を投じる. (版元) (はじめに)(目次) (書評) 日本の雇用と労働法(日経文庫) 濱口桂一郎著 2011年9月刊行、定価 1,050円 日本型雇用の特徴や、労働法制とその運用の実態、労使関係や非正規労働者の問題など、人事・労務関連を中心に、働くすべての人が知っておきたい知識を解説。過去の経緯、実態、これからの課題をバランスよく説明。著者は労働法や、人事労務の世界で、実務家・研究者から高い評価を受ける気鋭の論客です。 (版元) (はじめに
マクロ社会政策について大まかな見取り図を描くならば、20世紀末以来のグローバル化と個人化の流れの中で、これまでの社会保障制度が機能不全に陥り、単なる貧困問題から社会的つながりが剥奪される「社会的排除」という問題がクローズアップされてくるともに、これに対する対策として①労働を通じた社会参加によって社会に包摂していく「ワークフェア」戦略と、②万人に一律の給付を与える「ベーシックインカム」(以下「BI」という)戦略が唱えられているという状況であろう。 筆者に与えられた課題はワークフェアの立場からBI論を批判することであるが、あらかじめある種のBI的政策には反対ではなく、むしろ賛成であることを断っておきたい。それは子どもや老人のように、労働を通じて社会参加することを要求すべきでない人々については、その生活維持を社会成員みんなの連帯によって支えるべきであると考えるからだ。とりわけ子どもについては、親
いままで労働時間規制をめぐる問題といえばほとんど残業代(正確には時間外・休日手当)の問題であった。7年前第一次安倍内閣時に提起されたホワイトカラーエグゼンプションが残業代ゼロ法案と批判されて潰えたことはまだ記憶に生々しいし、今また第二次安倍内閣下で議論されている「時間ではなく成果で評価される制度」なるものも、現行法でも法定労働時間内であればいくらでも実施可能である以上、もっぱら法定時間外労働への報酬が時間外労働時間に比例することの問題であり、要するに残業代問題である。 しかし、今回の議論には今までなかった新たな政策提起が含まれている。それは残業代というお金の話とは切り離した、物理的労働時間の上限規制という問題であり、とりわけ休息時間規制の導入という問題である。後者は世上「勤務間インターバル規制」と呼ばれることが多い。本稿では、この制度の源流であるEUの労働時間指令の内容を説明するとともに、
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『hamachanの労働法政策研究室』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く