岡山、広島両県にまたがるJR芸備線など全国の赤字ローカル鉄道が窮地に立たされている。慢性的な利用低迷に新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけ「自社単独で維持できない」とするJRに対し、地元はどう対応すべきなのか。揺れる芸備線の現状を整理した上で、経営再建やバスへの転換といった先行例を報告し、進むべき道を考える。 ◇ 1両編成の車両が山あいを縫うように駆け抜けていく。日中の車内はほぼ毎日、空席が目立つ。 利用低迷が著しいJR芸備線の新見市―庄原市間は、乗客数がJR発足時の1987年度から実に9割も減った。運行費用に対する収入の割合(収支率)はわずか0・6~3・1%で、100円の収入を得るのに最大1万5500円もの費用がかかっている計算だ。 そうした中でJR西日本と沿線自治体(両県、新見、庄原市)による存廃議論が今春、本格的に始まった。調整役の国が全国で初めて設置した「再構築協議会」がその舞台と