有機栽培を 支持するのは、消費者の「食の安全」などというもののためではなく、なによりも「生産者の生活環境の保全」のためであるべきだ。消費者の「食の安全」のために農薬を つかうことを 批判するのは おかしい。もちろん、農薬を つかいすぎることは よくないことだろう。けれどもそれは、農業に たずさわる ひとたちの生活環境だけが悪化してしまうのを さけるためであるべきだ。食の安全はその結果でいい。有機農業は たいへんなことだ。それを わかっておく必要があるし、農薬も、いま容認されている基準値さえ まもっていれば、じゅうぶんに安全であるということを 理解する必要がある。山下惣一(やました・そういち)は「農業というのは有機だけでも無機だけでもない」という。おっしゃるとおりだと おもう(山下「私が有機農業をやらない理由(わけ)-「世直し装置」としての役割を期待して」『季刊あっと』2008年 12号、8