現代ではレディファーストが定番となっていますが、今も残る「三歩下がって歩く」という言葉が表すように、昔の日本では女性が男性を立てることが美徳とされていました。こうした「男性を立てる」習慣や作法について、日本文化に詳しい和文化おもてなしコーディネーターの塩田紀久代さんにお話を伺いました。 「『三歩下がって歩く』というのは、女性にとって男性が敬うべき存在であるということの表れなんです。江戸時代の頃は、男性と比べて女性の地位は格段に低く、嫁ぐことで初めてある程度の地位を獲得できる時代でした。女性は、男性に従わないと生活や地位を得られないという厳しさから、『男性を立てる』習慣や作法が生まれたんです」(塩田さん) なるほど。そうせざるを得ないという背景もあったんですね。だとすると、女性の地位の高くなった現代では、あまり必要のない作法ということでしょうか? 「そんなことはありません。もちろん何もかも男