『君が異端だった頃』島田雅彦 ★ 集英社 2020.3.1読了 「君」とは作者である島田さん自身のことで、この本は自伝的私小説である。一度島田さんの対談を聴きに行ったことがあるが、巧みな話術と知性、そしてあのルックス、やはりモテそうな人だと思った。この小説も島田さんらしく、自分に酔いしれていてちょっと嫌な感じ、なんだけどこれがまた面白かった。ちょいムカつくけど読んでしまう、いけ好かないけどやりおるな、みたいな感じ。そういえば本作は、先日発表された読売文学賞を受賞している。読売文学賞は結構好みの作品が多い。 中学生の時、家庭教師(親戚の東大生)から「安部公房や大江健三郎を読んでいるから狂気の耐性が出来ている」と言われ、小説を読むことが狂気の予防になるという発見をした、とある。なんとなくわかる気がする。小説の中には狂人、変人がたくさんいるから、現実にどんな人がいてもあまり驚かないということ