仮設住宅で暮らす東日本大震災の被災者は、いまなお約11万人。移転先の造成や公営住宅建設に時間を要し、避難生活の長期化は避けられないのが実情です。しかし、仮設住宅では入居当初からの不便に加え、はやくも“老朽化”が問題になっています。(本田祐典) 宮城県石巻市の仮設住宅に親子3人で暮らすAさん(56)は、疲れきった様子で語ります。「小学4年の長男をここで育て続けていいものか。仮設を抜け出す資金もなく、悩んでいる」 壊れ始めた 仮設住宅は劣悪な住環境が問題になって、断熱材や風呂の追いだき機能などの追加工事が繰り返されてきました。建設からこれまでに1戸あたり約744万円(宮城県内の平均)を費やし、ようやく工事の音がやんだのは昨年秋のことです。 しかし、「やっと落ち着いた」と思ったのもつかの間でした。粗雑なつくりの仮設住宅が老朽化し、部屋のあちこちが壊れ始めたのです。 「とくにひどい」とAさんが案内