NHK連続テレビ小説『虎に翼』が最終回を迎える。日本初の女性弁護士のひとりである三淵嘉子をモデルにした「佐田寅子(ともこ)」(演:伊藤沙莉)が主人公の物語。彼女の人生で出会ったいくつもの事件や社会的な出来事を、リアルに詳細に描いているのが視聴者を引きつけた。 その多くは実際にあった事件や出来事で、裁判のシーンなどは、実際の判決文をそのまま生かしたケースも。そのいくつかを新聞記事や資料から振り返ってみよう。当時の新聞は見出しのみそのまま、本文は適宜現代文に手直しする。現代では差別語とされる表現も登場する。文中敬称は省略する。(全5回の1回目/続きを読む) 伊藤沙莉が演じる主人公・寅子(NHK公式サイトより) 1. 1934(昭和9)年「帝人事件」:「寅子」の父「直言」が連座した「共亜事件」のモデル ドラマでは、「寅子」の父の銀行員「直言」(演:岡部たかし)が「共亜事件」という贈収賄事件に巻き