まず、個人的なことから書かせていただきたい。 僕が初めて、スポーツのことを書いた記事を雑誌に掲載していただいたのが、1995年のこと。掲載誌は広島ローカルのスポーツ情報誌『アスリートマガジン(現広島アスリートマガジン)』だった。その時の記事タイトルが「憂鬱のシンボル、広島ビッグアーチ」。これには二つの意味があった。 実はこの記事は、サンフレッチェ広島のことを書いたものではない。1995年5月21日に行われた日本代表対スコットランド代表の国際Aマッチが広島ビッグアーチ(現エディオンスタジアム広島)で行われた時のルポルタージュ。「憂鬱」の意味は、一つが試合内容のこと。これには今回は触れない。そしてもう一つが、スタジアムそのものについての内容だった。当時の記事を引用してみよう。 「永遠に止むことはないのかと思えるほどのしつこい雨のため、ビニールのポンチョはほとんど用をなさなくなり、冷たい雨が染み
