放送作家・たむらようこさんが、テレビ番組制作の現場でみたもの、出会った人について深く切り込む連載企画。今回のトピックは朝ドラ「虎に翼」です。主人公に「私のことだ」と共感を寄せる働く女性たちに待ったをかける女が登場します。立ち止まって考えると何が見えるのか、そしてたむらさんの「歯がなくなりそう」なのはなぜなのか。最後までじっくりお楽しみください。 「次の朝ドラ、“虎に翼”らしいよ」とそのタイトルを聞いた時。わたしの頭にはこういう画像が浮かんでいた。 「屏風に描かれた虎を捕まえてみよ」は、一休さんが将軍さまから受けた有名な無茶ぶり。なんとなく「そんなトンチの効いた女の一代記が始まるのかなぁ」と考えていたら、あらら、全然違った。 見ていない方のためにざっくり説明すると、「虎に翼」は日本初の女性弁護士誕生までの奮闘を描く物語。モデルになっているのは女性法律家の先駆け、三淵嘉子さん。特に、セリフが刺