肝臓内科医の仕事はなくなるか 今から20年ほど前のこと。肝臓内科医のあいだで「将来、肝臓の病気がなくなって、職を失うかもしれない」と冗談まじりに語られたことがありました。 というのも、当時の肝臓内科の仕事といえば、「ウイルス性肝炎」の治療と経過観察、そして肝臓がんの早期発見・治療が中心だったからです。日本における肝細胞がんの大半は、B型あるいはC型肝炎ウイルスによるもので、それに対応するのが肝臓専門医の役割でした。 ところが、抗ウイルス薬の劇的な進歩により、ウイルス性肝炎はコントロールできる、あるいは治すことも可能な病気になってきました。新たな感染も減っていますから、ウイルス性肝炎を背景とした肝硬変や肝細胞がんは、今後さらに減少するでしょう。だからこそ、肝臓内科医は「職を失うかも」と話していたのです。 では、本当に肝臓内科医の仕事はなくなるのでしょうか。そんな心配は、残念ながら今のところな
