医療情報の標準化は相互運用性実現の手段の一つで,効率化が喫緊の問題になっている社会保障においては実現しなければならない最重要項目といえる。日本では医療情報システムの普及は1950年代に始まり,諸外国に比べてかなり早かった。当時は事務処理の合理化がIT化の主目的であり,医療情報の標準化は重視されなかった。このようなシステムの普及が医療情報の利活用のための標準化の普及を遅らせたことは否めない。しかし,データ指向社会においては医療情報の利活用は社会保障の合理化のためだけでなく,創薬,医療機器開発,医療周辺産業の発展のためにも必須で,標準のさらなる普及が急がれる。