林米子さんへ。 お手紙ありがとう。十二月二十五日の晩は、かえりにおつれがあったから助かりましたが、本郷の通りで、走っていたバスが急停車したとき、ステップのわきの金棒につかまって立っていたわたしのからだが、ブーンとひとまわりふられて、もし、手がはなれたらそのままふりおとされるところでした。わきにいたちゑ子さんが、「あらあ、おっかなかった」といいました。 あの講演会から病気がわるくなって、いまも床の上です。口述していただいて返事をかきます。あの講演会でもわかるように、この頃だんだんいろいろな作家がファシズムに反対し、日本の独立と平和とを守るためには一致した気持で集りもするようになってきたことは、実にプラスだと思います。東條の家族が、「父は生きたのです」といった十二月二十三日の次の日、わたしたちはA級戦犯容疑者十七名が釈放された記事と写真とをみました。 釈放された人のなかに、安倍源基という名があ
ポランニーで、ダホメの輸出側の奴隷事情を見ました。 cruel.hatenablog.com それで奴隷に興味が出てフォーゲルの『十字架の時:アメリカ奴隷制の経済学』を読み始め、訳し始めてしまいました。まだ前半だけ。もちろん、フォーゲルはずいぶん長生きしたし、翻訳権は当分フリーにならないので、みなさんは読んではいけません。以下にあるけれど、見ないように。 フォーゲル&エンガーマン『十字架の時:アメリカ黒人奴隷制の経済学』(まだ前半だけ、pdf18MB) なぜか知らないが、目次のハイパーリンクがずれていて、きちんと当該の章にジャンプしなくなっている。もちろん、みなさんはご覧にならないでしょうから関係ないけれど。あと、Excelで作り直したグラフの相当分は、目分量で原著のグラフから数字を読み取って再現したものなので、完全に厳密ではありません。プラマイ3%くらいの誤差はあるはず。 著作権を遵守す
【注意】このインタビューは、漫画『ゴールデンカムイ』の完全なネタバレを含みます。ご了承いただける方はお読みください。 全力で駆け抜けた週刊連載を終えて… ――約8年間にわたる連載お疲れ様でした。最終回に呼応するように単行本も既刊全巻に大重版がかかり、最終巻の初版部数も急遽10万部増刷。累計部数も2300万部を超えたと伺っております。最終巻も発売されたことで『ゴールデンカムイ』の漫画に関するお仕事は、ひとまず終わられたと伺いました。ぜひ、今のお気持ちをお聞かせください。 今、おっしゃっていただいたことを伺って、多くの読者の皆さんが、この作品を肯定してくれているのが伝わってきました。 最新話を含む全話無料公開とか、最終回へのカウントダウンとか、実写化の告知とか、ゴールデンカムイ展とか、本当に全ての情報戦といいますか、担当(ヤングジャンプ編集主任・大熊八甲)さんとの作戦が上手くハマった感じも大き
戦争は、始めるより、終わらせる方がずっと困難です。 戦争で自国の人々がたくさん死んでしまっても、それを惜しむ気持ちが「死んだ人たちの仇を取らないといけない」「これほどの犠牲を払ったのだから、負ける訳にはいかない」と、ますます戦争を推進する方につながってしまいます。 特に、不利な状況で戦争を止めようとすると、国内から多くの反発を受けます。 第二次世界大戦のような大きな戦いでは、戦争から国を脱出させる困難さも大きなものになります。イクレは「紛争終結の理論 (1974年) (国際問題新書)」で、多くの反対を押し切り、苦しい決断を押し通して、戦争を終わらせた幾人かの人々を取り上げています。彼らはいずれも特殊な権威をもち、それを活用して多くの反対を押し切りました。 戦争継続か、同盟国を裏切るか? 戦争継続の誘惑 マンネルハイム リュティ=リッペントロップ協定 大統領就任と過酷な和平 戦争継続か、同盟
太平洋戦争で日本軍と戦ったイギリス軍のある司令官は、日本軍の上層部の体質を次の様に喝破していた。 「日本軍の指導者の根本的な欠陥は、“肉体的勇気”とは異なる“道徳的勇気の欠如”である。彼らは自分たちが間違いを犯したこと、計画が失敗し、練り直しが必要であることを認める勇気がないのだ」(第14軍 ウィリアム・スリム司令官 ※タイトル画像の人物) 戦いの舞台となったのは、インパール作戦で知られるビルマ戦線(現在のミャンマー)。実は、太平洋戦争で“最も無謀”といわれたインパール作戦のあと、それをはるかに上回る命が失われていたのだ。 指導者たちのどのような体質が、さらなる“地獄”を作り出したのか。 77年の時を経て、私たちが直視すべき「道徳的勇気の欠如」、その実態をひもとく。 (NHKスペシャル「ビルマ絶望の戦場」取材班)
はいどーも あでのい です! いやー、とうとう完結ですよ劇場版Gのレコンギスタ! この人類史上に残る一大事を目前にして、このブログ、直近記事が刃牙シリーズ、麻雀漫画、シン・ウルトラマンですよ? 一体何のためのブログだと思ってんすかね本当。忘れてる人のために言っときますが、このブログは元々Gレコ感想用ブログです。忘れないように! という訳で今日は漫画『チ。-地球の運動について-』の感想です。 チ。―地球の運動について―(1) (ビッグコミックス) 作者:魚豊 小学館 Amazon この度最終巻の発売に加えてアニメ化も決まったとのことでめでたい限りですね。全8巻できれいにまとまってるのもおすすめしやすいポイントです。 でまあ、なんですけど、今日はちょっとこの大人気漫画の『チ。』を、私の持てる限りの全身全霊をもってして可能な限りボコボコにしてやりたいと思います。 やー、遂に書いちゃったよ作品批判
2022.07.18 安倍元総理の暗殺を受けて国内はどう反応したか 安倍元総理暗殺を経た内外の反応 安倍元総理の暗殺から10日間の時間が経ちました。安倍さんに最後にお会いしたのは暗殺が起きる4週ほど前のシンポジウムの席でした。同時代の日本政治を論説してきた身として、それほど自覚はなくとも精神にダメージを受けるものであると再認識した10日間だったというのが偽らざる気持ちです。それでも、過去の経験を振りかえれば、荒んだ心を癒してくれる一番の特効薬は「時間」でしょう。一定の時間を経て、日本社会が安倍元総理の暗殺とどのように向き合っているのか記しておきたいと思います。 安倍元総理が凶弾に倒れたことを受け、各国からは直ちに最大限の哀悼の言葉が寄せられました。各国の元首クラスから、個人的なメッセージが寄せられました。同盟国の首脳はもちろんのこと、難しい関係にある中国の習近平国家主席や、ロシアのプーチン
砲弾が飛び交う沖縄の戦禍を家族とともに生き延びながら、 ハンセン病をもらいうけてしまった少年が、進学したいという一途な思いを育み、 ついに療養所からの脱走を決意した。 回復者であることを包み隠さず、社会復帰を果たし、現在は長野県上田市に暮らしながら、 『花に逢はん』『ハンセン病を生きて』などの著書を精力的に発表しつづける伊波敏男さんのライフストーリーをうかがいました。 伊波 敏男氏 (いは としお) 1943(昭和18)年、沖縄県生まれ。作家。人権教育研究家。14歳からハンセン病療養所での医療を経て全快。その後、東京の中央労働学院で学び、社会福祉法人東京コロニーに就職。元東京コロニーおよび社団法人ゼンコロ常務理事。97年、自らの半生記『花に逢はん』(NHK出版)を上梓、同年、第8回沖縄タイムス出版文化賞を受賞。ついで『夏椿、そして』(NHK出版)を著し、ハンセン病文学を問い続ける。2004
● いまどきの情報環境のこと、無職で隠居に等しい身の上で、外へ出て人と会う用事なども基本的になく、それこそ日々ひきこもりに等しい生活をしていても、世の動きや動静は文字に限らず画像、映像、動画に音声、いずれそれら各種「情報」として平等に、なんだかんだ言いつつ四六時中行動を共にするようになってしまった手もとのちっちゃなハコや、世に生きる上でとりあえず持っていないと頬返しもつかない道具になっている電脳端末の画面を介して、あっちから勝手にどんどん流れてくる。 だから、ウクライナのことにしても、これまでそれなりに体験してきたはずの遠い国の紛争沙汰とは段違いに生々しく、かつ距離感のとりにくいいまどきの「戦争」の風景として、これだけ日々入ってくると、全く関係ないことにして日々の習い性、いつものように自分の仕事だけをすることも、案外難しくなっているところがあります。 「情報」の密度も速度も、そしてそれらの
かつて革マル派と壮絶な内ゲバを繰り広げ、「暴力革命」を掲げてゲリラ活動を行ってきた新左翼党派・中核派。そのトップ・清水丈夫氏(84歳)が、前進社(中核派本部)で田原総一朗の取材に応じた。この年齢になった革命家は、いまの日本社会と戦後の左翼運動をどう総括するのか。 中核派議長 清水 丈夫 1937年、神奈川県生まれ。高校生時代に革命運動を志し、東京大学在学中に日本共産党に入党。58年に離党し、共産主義者同盟に参加。59-60年、全学連書記長として安保闘争を指導する。61年、革共同(革命的共産主義者同盟全国委員会=通称・中核派)に参加。97年、中核派議長に就任。69年4月より非公然活動に入る。2020年9月、実に51年ぶりに公然集会に姿を見せて人々を驚かせた。著書『清水丈夫選集』(全10巻予定)など。 51年ぶりに地下潜伏活動をやめた理由 田原 60年安保闘争の当時、僕は岩波映画の社員でしたが
2020年3月、江戸時代後期の椿井政隆という人物が作った偽の家系図や絵図など「椿井文書」と呼ばれる一連の偽文書(ぎもんじょ)についてまとめた『椿井文書――日本最大級の偽文書』(中公新書)が出版され、話題を集めました。椿井文書の実体と、それを根拠に町おこしが行われている実態を明るみにした同書は「新書大賞2021」3位にも選出。歴史の嘘が真実へと置き換わっていくことについて、著者の大阪大谷大学・馬部隆弘准教授に話を聞きました。 「椿井文書」は山城国相楽郡椿井村(現在の京都府木津川市)出身の椿井政隆(1770~1837年)が、中世の地図や絵図、家系図と称して偽作した文書の総称。現在の滋賀県北部から京都南部、大阪まで数百点が広く流布した。代表的なものとして、興福寺(奈良県)の末寺をリストにまとめた「興福寺官務牒疏(こうふくじかんむちょうそ)」がある。 <名前を見ただけでむず痒くなりますね> ――「
芥川賞作家で東京都知事や運輸大臣などを歴任した石原慎太郎が、2月1日、都内の自宅で亡くなった。享年89。 他界してから現在まで多くの「石原慎太郎論」を目にした。芥川賞作品『太陽の季節』を起点とする文学論をはじめ、実弟・石原裕次郎を世に出した映画製作、青嵐会に代表されるタカ派的思想、東京都知事としての功罪、数々の失言や差別発言……。賛否両論、支持不支持あろうが、異なる複数のジャンルを横断した、あらゆる意味において突出した存在だったことは、まぎれもない。 おびただしい数の評説を目にしながら、一つだけ論じられていないものに気付いた。格闘技である。意外なようだが、石原慎太郎と格闘技は切っても切り離せない。考えてみれば『太陽の季節』も、主人公は高校のボクシング部に在籍する設定で、部の仲間たちとの放蕩三昧が物語の根幹を成している。宝田明の主演で映画にもなった『接吻泥棒』(監督・川島雄三/1960年作)
戦前から戦後にかけての大スター拳闘家「ピストン堀口」。36歳で謎の死を遂げる数奇な人生とは? 彼の異常人気ぶりはやがて、最大暴力団“山口組”の原資となった。 (全3回の2回目/#1、#3へ) 「若槻事件」でリングから姿を消した第二代ウェルター級王者・野口進と入れ替わるように、拳闘界のエースとなったのがピストン堀口(堀口恒男)だった。 それによって書き換えられたのは、拳闘界の勢力分布図だけではなかった。ここでは、そのことに触れておきたい。 “新興”山口組と“古巣”大嶋組…血みどろの抗争 野口進が所属していた大日本拳闘会(大日拳)の会長は、神戸の大物やくざの嘉納健治である。以前の記事でも詳述したように、神戸の名家嘉納財閥の御曹司として生まれた嘉納健治は、アウトローの道を歩み、神戸やくざの始祖、富永組に客分として身を寄せていた。その後親分の富永亀吉が殺されるといち早く組織をまとめ、舎弟である大嶋
《効憲 , Enforce the Constitution》-- 九州は筑後から九条実施のための情報を発信します.2004年12月25日開設 この記事のPVは4日23時現在6,970です.6日夕13,656.8日朝までで39,815.19日朝51,030. 7月4日59,265. 7/20追記: 末尾に、これに対する批判文について追記。 --------------- フェイスブックで、ロシアのウクライナ侵攻に関するとても優れた論説に行き当たりました。英国の地理学者デヴィッド・ハーヴェイの2月25日付の論説で、Seiya Morita氏が緊急翻訳され、3月1日フェイスブックにアップロード、同氏の許可を得て転載します。長文ですが、まさに"must-read"です。 転載者は地理学も勉強したことはありませんし、この地理学者も知りませんでした。読んでみて、また経歴などを見ると、まさに碩学です。
ウクライナのニュースを見ていると、何が起きているのか、どこに向かっているのか、よくわからない。情報には事欠かないが、その多くはソーシャルメディアのアカウントからで、そのすべてが信用できるわけではないし、またその性質から全体像を把握することはできない。デジタル時代といえども「戦争の霧」が晴れることはない。 しかし、いくつかの予備的な結論を出すには十分な情報がある。 ロシア軍は優勢であったにもかかわらず、戦術的な奇襲と圧倒的な数の可能性という利点があった開戦初日には、予想されたほどの進展はなかった。最初の攻撃は広く期待されていたようなエネルギーと推進力には欠けていた。ウクライナ人は気迫に満ちた抵抗を見せ、侵略者に犠牲を強いた。しかし今日の情勢はさらに暗くなる可能性があり、将来はもっと厳しく辛い日々になるだろう。しかし「プーチンは勝ち目のない戦争を始めたのだろうか」と問うのはもっともなことである
序章 ウクライナ危機以降のプーチン体制と東方シフト -5- 序章 ウクライナ危機以降のプーチン体制と東方シフト 法政大学法学部 下斗米 伸夫 はじめに 2014 年 12 月、恒例の年次教書でプーチン大統領はウクライナ危機以降の経済的政治的 変化を総括的に述べ、そのなかでクリミア編入によって千年以上前のキエフ・ルーシ受礼 の地をロシアに取り返したと歴史的に正当化するとともに、それに伴う G7 諸国の制裁措 置が長期にわたることを強調、これに対応する措置の必要性を説いた。 2013 年 11 月から顕在化したウクライナをめぐるロシアと欧米諸国との関係は、 2 月のマ イダン革命によるヤヌコビッチ体制の崩壊、3 月のこれに対するプーチン大統領によるク リミア編入、そして 4 月からの東ウクライナ( 「新ロシア」 )をめぐる暫定政府の「反テロ 作戦」の内戦的展開、7 月 17 日のマレーシア航空
-歴史を学ぶ、歴史に学ぶ-『いわきの戊辰戦争』 平成30年は戊辰戦争から150年の節目の年に当たることから、市内外の方々に、地域の歴史への関心や理解を深めていただくため、市公式Facebook連載企画「-歴史を学ぶ、歴史に学ぶ-『いわきの戊辰戦争』」と題し、いわきの地で繰り広げられた戊辰の戦いについて、シリーズで解き明かしました。 ここでは、その全20回の連載内容をご紹介します。 (文:いわき総合図書館長 夏井芳徳) 第1回・第2回連載内容 プロローグ、新政府軍の平潟上陸 第3回・第4回連載内容 九面の戦い前夜・湯長谷城会議、九面の戦い 第5回・第6回連載内容 泉城をめぐる戦い、新田坂の戦い 第7回・第8回・第9回連載内容 二ツ橋の戦い、湯長谷城の戦い、堀坂の戦い 第10回・第11回・第12回連載内容 長橋の戦い(第一次磐城平の戦い) 第13回・第14回・第15回連載内容 第二次磐城平の戦
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