死ねないという絶望の淵、それでも行かねばならぬという心情など持ち合せずに、ただただだらだら生きていくだけのまるで絶望に向かうカウントダウン刻んでいるように過ぎていく日常。死なないために生きるために食べなくてはならない生命の運命、間抜けなことに腹が減る、されどその習慣からは逃げ出せぬ。 就職浪人の主人公が先の見えない人生を過ごすために陰鬱な食生活を描いた本作は、“平凡な日常”からもドロップアウトしてしまった悲劇というほどでもない悲劇に涙するための涙もなく、ただただ無慈悲に消費されていく食事を描いている。とはいえ、飽食の時代と呼ばれる昨今における多くの食事がそうであるように、主人公もまたそこに娯楽性を見出そうとするが、もがけばもがくほど飲み込んでいく底なし沼の様に、すればするほど惨めになっていく様はもはや滑稽を通り越して痛々しい。他人にもがいている様を見られないように誤魔化そうとして、更に更に