内田樹先生と石川康宏先生の往復書簡で進む「若者よ、マルクスを読もう」の冒頭で、マルクスの知見はすでに直接的には役立たないことはソ連の崩壊で自明となってしまったが、マルクスの世界の切り取り方はまだまだ有効だといえる、という趣旨の話がかいてあった。 内田先生は、学生運動の時に革マル派と呼ばれている人たちがマルクスをまったくよんでないことを書いていらしゃっしゃってさもありなんとかそゆ話だけど。そもそもマルクス主義の人ってどういうことかということについて、内田先生が語るエマニュエル・レヴィナスの個人的な定義が刺さるので引用してみる。 私の師匠であるエマニュエル・レヴィナスはかつて「私はマルクシスト(marxiste)ではなく、マルクシアン(marxien)である」と語ったことがある。「それはどういう意味ですか?」と訊ねると、レヴィナス先生は「マルクスの思想をマルクスの用語で語るのが『マルクシスト』