中堅メーカーのA社では、人材育成と会社の技術力向上のために、とある国家資格の取得支援を行うことにした。受験料はもちろん、知識の乏しい社員が通信教育を受けた費用も、合格を条件に会社が負担することにした。 続々と合格者が増える中、資格を活かして同業他社に転職する人が現れた。これには現場の管理職からも、「会社が資格補助を出すから甘く見られるんだ」「自腹に戻すべきだろう」と不満の声があがりはじめた。 全部自腹では資格取得が促せないけれど とはいえ、給料が高いとはいえない中、全部自腹では資格取得が促せない。そこで会社は、社員との間で「資格取得3年以内に退職した場合には、会社が支給した補助金を返還する」という覚書を交わすことを検討しているという。 このようなことが可能なのか、もし難しければ代替案はないのか。職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いてみた。 ――せっかく補助金を支