虐殺者たちの「心のケア」 ガサボ刑務所の集会所は広々としている。何百人も収容可能なこの建物はレンガの壁で囲まれ、屋根は金属製、窓につけられた鉄格子の隙間からは緑の丘が見える。 しかし、5月のある午後、そこには虐殺の罪に問われた20人の囚人と、私を含めた数人の訪問者しかいなかった。みんなで輪になって椅子やベンチに座る。囚人の頭は刈りこまれ、その黒々とした肌は、着ているピンクやオレンジの囚人服とくっきりと対照をなしている。 私は隣に座っていたしわだらけの老囚人を見ながらこんなことを思っていた。 いったい何人を、どんな武器で、どれほどの憎悪で、彼は殺したのだろう――。 ガサボ刑務所には約5000人の囚人がいる。彼らの約半数が、あの恐ろしい民族浄化、ホロコーストにかかわる罪で投獄されているのだ。 1994年4月、ルワンダの多数派民族フツ族の指導者が部下に「少数派のツチ族を根絶やしにせよ」と命じた。
鬼才・園子温の最新作『ひそひそ星』&ドキュメンタリーの予告編が一挙公開! Film | 2016.03.25 Fri 園子温が構想25年を経て結実させた珠光の野心作『ひそひそ星』と、その生態に迫るべく376日に渡って追ったドキュメンタリー『園子温という生きもの』について、2作品の予告編が一挙解禁! 『ひそひそ星』予告編は、人間たちに大切な思い出の品を届ける、アンドロイド・鈴木洋子(神楽坂恵)のレトロな内装の宇宙船での暮らしや、いくつもの星でそれを届ける様子を捉え、静けさや深い哀切と独特の詩的表現に満ちた作品になっていることが伝わります。 映画『ひそひそ星』予告編 また、『園子温という生きもの』予告編は、映画監督に留まらない園の様々な活動をつぶさに追っており、その生態と言えるもので、まさに映画が“園子温という生きもの”を捉えた記録になっていることが伝わるパワフルな仕上がりに。染谷将太や妻・神
笑えない課題 米大統領選の共和党予備選においてトランプ氏の快進撃が続いています。山場と言われた予備選を次々に制し、代議員レースにおいても他候補を大きく引き離しています。トランプ氏と共に、茶会党系のクルーズ上院議員と、穏健派のケーシック知事が予備選を継続していますから、まだ確定とまではいきませんが、トランプ氏の優勢はゆるぎないものになりつつあります。米メディアにおいて発せられる問いも、トランプ氏を止めるにはどうすればいいかというものから、トランプ氏が本選の候補者となり、大統領になることの意味は何かというものへと変わって来ています。 米大統領が国際社会に与える影響は絶大ですから、日本を含む世界中の外交官や研究者が、「トランプ大統領」が意味するところについて考え始めています。これにはちょっとしたブラック・ユーモアを感じずにはいられません。反エリート主義を原動力とし、大衆の暴力的な本能に訴えること
A still from video of people fleeing the Brussels airport following Tuesday's bombing (Asher Gunsberg / Reuters) In October 2015, two suicide bombers killed more than 100 people outside a railway station in the Turkish capital of Ankara. It was the deadliest terrorist attack in the country’s modern history, but it was also something more, something not fully appreciated at the time, according to R
IS(イスラム国)の戦闘員として、シリアやイラクで戦った何百人ものヨーロッパ人が今、欧州大陸に帰ってきている。しかし、欧州の治安および情報当局は、その全員を監視することができていない。 欧州当局は、パリとブリュッセルでのテロ攻撃をISの継続的なテロ活動の一環だととらえている。一方で、欧州に帰還した戦闘員たちの追跡は大きな課題となっている。 これまで、 4千人から6千人の人々が ISの戦闘員としてシリア、イラク、リビアで戦うため、欧州各国から旅立っていった。そのうち約10%が、既にヨーロッパ大陸に帰って来たといわれている。多くは、武器や爆弾についての専門知識と、過激なイデオロギーを身につけて戻ってきた。 「ISに加わった人々は、戦士としての訓練を受けています」と、フランスでイスラム戦闘員追跡の任務を指揮する上院議員ナタリー・グレは、BuzzFeed Newsに語る。「私たちは、これを新しい脅
数々の暴言・奇言・珍言(?)で当初「泡沫」扱いされてきたドナルド・トランプが、共和党予備選挙で過半数を獲得する可能性が日増しに高まってきた。そしてここにきて、日本でも、特に保守層からじわりと「トランプ大統領待望論」が広がりを見せている。その背景と構造を探る。 ・「対米追従からの脱却」としてのトランプ待望論3月23日、元大阪市長の橋下徹氏は、ツイッターで以下のように発言したことがにわかに注目された。 沖縄の米軍基地をなくしたい人たちへ。トランプ氏が大統領になればすぐに沖縄米軍基地はなくなるよ。朝日新聞、毎日新聞、沖縄米軍基地反対派はトランプ氏を熱烈応援すべきだ。 出典:橋下徹氏Twitter 無論この発言は、リベラルメディアへの揶揄を含んでいるが、橋下氏の見解には一理どころか二理も三理も、四理もある。ジャーナリストの冷泉彰彦氏によれば、「(トランプの姿勢は)強いて言えば、不介入主義とか、孤立
キム・ジュイル(43歳)は、朝鮮人民軍に8年間従軍したのち、2005年、鴨緑江を泳いで渡り、脱北した。現在、彼はロンドンで暮らし、在欧朝鮮人団体の代表を務め、脱北者支援、朝鮮労働党の人権侵害糾弾などの活動を続けている。 *** キム・イルソン(金日成)の死を知ったのは、38度線の近くです。当時、北朝鮮に電力はほとんどありませんでしたが、国境近くにいましたので、韓国のスピーカーから流れる大音量の放送が聞こえてきました。「デマだ。総書記が死ぬはずない。どうして偉大なる指導者が死ぬんだ。総書記は不死身だ」と口には出さずに放送を否定しました。 それは想像を絶する出来事でした。私は哭きました。みんなも哭きました。毎朝、兵士は総書記の記念碑に花を手向け、哭きました。「これからどうやって生き延びるんだ。生活はどうする。私たちの運命はどうなる。総書記は本当に逝ってしまったのか」と嘆き悲しみました。これは洗
沖縄出身の脚本家、故金城哲夫さんが「ウルトラマン」を誕生させてからちょうど50年。特撮の円谷プロで1歳下の金城さんと苦楽を共にした後フリーになり、ウルトラヒーローシリーズ3作目「帰ってきたウルトラマン」を手掛けたのが、同郷の上原正三さん(79)だ。 2人のウルトラマンは対照的。金城さんが近未来のファンタジーとして描いたのに対し、「帰ってきたウルトラマン」は放送時の、1971年の東京が舞台。スモッグの空や工場地帯、ヘドロの海が戦いの場になり、時に怪獣よりも恐ろしい人間の心の闇もテーマになった。 特撮界に多大な足跡を残した上原さん。ウルトラマンと並ぶ特撮ヒーロー、仮面ライダーの誕生にも関わったというから驚きだ。米軍占領下の沖縄から上京し脚本家になるまでのいきさつや、ウルトラシリーズ屈指の異色作「怪獣使いと少年」に込めた願い、故郷・沖縄への思いまで、語ってもらった。(聞き手・磯野直) ■疎開船と
取材・文/西岡研介 第2回【「避難指示」が解除された楢葉町】 5度目の「あの日」を迎えた閖上地区 震災発生からちょうど5年となる3月11日、宮城県名取市の「愛島東部仮設住宅」には兵庫県から41人のボランティアが訪れ、神戸から持参した300本の竹灯籠を並べて、祈りの場を設けた。同仮設には、津波で大きな被害を受けた同市閖上の住民が今も、避難生活を余儀なくされている。 名取市によると、閖上地区の死者・行方不明者は701人と、同市全体の犠牲者(884人)の約8割を占める。特に閖上2丁目の被害は大きく、住民の4人に1人が犠牲になった。 閖上浜ではこの日も、仙台高専の園田潤教授、そして13年から閖上地区での行方不明者の捜索を続けている「復興支援プロジェクトSTEP」のメンバーら約50人が、地中レーダーなどを使い、一つでも手がかりを見つけようと捜索を続けていた。 一方、津波に破壊された「貞山堀」の東に位
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く