3月中旬、避難指示解除と除染計画の期限を控えた福島県浪江町では、追い込みの除染作業が急ピッチで進められていた。 「町中どこもかしこもダンプカー」。帰還準備のための事前宿泊制度を使って自宅に戻った女性(74)が苦笑いした。町の8割を帰還困難区域が占め、全町民が避難している浪江町は、中心部などで3月31日に避難指示が解除される。 原発事故後、国は原発周辺の11市町村に避難指示を出し、最大時には自主避難者も含めて約16万4千人が県内外に避難した。 国は避難指示の解除と住民の早期帰還を念頭に、12年度から本格的な除染に着手した。15年6月に安倍政権が帰還困難区域以外の避難指示を17年3月末までに解除する方針を打ち出すと、16年度は一気に約9800億円が投入された。福島県内では国直轄以外の11市町村で4月以降にずれ込むが、17年度の早い段階で完了の見込みだ。今年度までに環境省が計上した除染費用は約2
