産業用水処理大手の栗田工業が「超純水」で世界的に存在感を高めている。水に特化した技術力と密な営業を強みとし、国内外の半導体大手を顧客に持つ。直近10年で売上高は倍増、営業利益も約3倍に。市況に強い安定成長を目指す。 「ここで実験したい」「一緒に共同研究を進めよう」──。訪れた企業の担当者は、半導体工場などを想定した水処理設備や試験スペースに熱い視線を送る。 栗田工業の鈴木裕之イノベーション本部長は「技術のショーケースであり、他社との『触発』の場でもある」と語る。共同研究の契約を結ぶ企業は100社以上。ある半導体装置メーカーとは排水回収に関連した研究をしている。 栗田工業は産業用水処理の大手で、1949年に神戸市で創業した。創業者の栗田春生氏は海軍出身。軍艦整備の経験を生かし船舶のボイラーの腐食を防ぐ薬品を事業化した。その後水処理装置などに業容を広げた。 売上高は2024年3月期で3848億