明治中期、欧化主義の風潮に対抗して活動を開始した政教社と日本新聞社は、しだいに関係を深めて一体化した。その中心メンバーであった志賀重昂や三宅雪嶺、鈴木虎雄や陸羯南ら青年たちの思想と行動を丹念に読み解く。「日本」「日本人」とは何か、国家や民族のために何をなすべきかを模索した彼らの声に耳を傾け、近代日本のナショナリズム像を描く。 序章 課題と方法/志賀重昂・井上円了・内藤湖南(志賀重昂における「国粋主義」とその変容/付論一 「国粋」の発見と志賀重昂/日露戦争後における志賀重昂の国際情勢認識/付論二 志賀重昂の朝鮮観/井上円了における「哲学」と「日本主義」の模索―東京の書生社会のなかで/付論三 井上円了による哲学館の創立/内藤湖南のアジア論)/三宅雪嶺(「国粋主義」と伝統文化―「美術」と「遊楽」を手がかりとして/明治二十四、五年の南洋巡航―その思想的意義/付論一 福澤諭吉論の射程/政教社退社一件