僕自身が子どもの頃からマンガの世界に親しんできて、西洋絵画やハリウッド映画よりもしっくりくる。その違いはどこからきているのか、そのロジックを探索するなかで映像作品「花と屍」を『十二幅対の光の掛軸』に見立て、仏ルーブル宮内 国立装飾美術館で展示したインスタレーション作品が生まれた。日本画の世界の再構築をしようと仮説をたて、作業をしているなかでいろいろなことに気づくという試行錯誤を繰り返してできあがってきたものだ。 いま、パソコンやテレビの画面上で立体的に見えているものは、実は3次元のものを2次元に落とし込んでみている。現代人は西洋画の遠近法的な見方が脳に刻まれているから、その2次元の画像をみて、脳のなかで3次元空間と認識している。 では、遠近感のない日本画では何が違うのか――。まず、コンピューター上で仮想の3次元空間を創り、日本画の空間認識を探りながら、平面化処理をしていくなかで、いくつかの