◇30歳男性の苦悩 自分は犯罪被害者の遺族か、それとも加害者の親族か--。2010年3月に発生した宮崎市家族3人殺害事件で、母(当時50歳)と姉(同24歳)、生後5カ月のおいを殺された男性(30)が毎日新聞の取材に応じた。肉親の命を奪ったのは姉の夫だった。被害者遺族として苦境に陥りながら、周囲から「加害者の義弟」として扱われる理不尽。男性は8日、福岡市内で開かれる犯罪被害者遺族の集いで胸の内を明かす。 【写真特集】死刑囚の生活空間公開 医療設備充実、「スタミナ焼き」人気 3人を殺害したのは奥本章寛死刑囚(29)。7年前、家庭への不満から姉のくみ子さんとおいの雄登ちゃん、同居していた母の貴子さんをあやめた。事件当時、男性は23歳。福岡で1人暮らしをしていた。父母は離婚していたため、男性は肉親を一度に失った。生きる気力がうせ、自暴自棄になった。事件の1年後、公務員を辞めて無職に。貯金も底を