「自分のやりたくないことは、人にするな」。生きる上で大切にしたい教えの一つであろうが、これが中々に実行できない。 この言葉は孔子が「恕」を定義する際に用いた言葉であり、以下のように記されている。 己の欲せざる所は、人に施すこと勿かれ。 これは普通、「自分のやって欲しくないことは、人にするな」と捉えられる。要するに自分が他人からやられて嫌だと思うことは、自分はしてはいけないということである。 これに対し経済学者の安富歩氏は、この言葉の意味を「自分のやって欲しくないことは、人にするな」ではなく「自分のやりたくないことは、人にするな」と訳している。 「自分のやりたくないこと」とは、単に自分の欲求のことを言っているわけではない。人として当然とも言える、義や誠の心に背いた行いを他人にしてはいけないということである。 「自分のやりたくないことは、人にするな」という言葉は、当たり前のように見えるが、そう