衆議院の代表質問で、心ない野次が飛んだようで、その時の様子が早速新聞記事になっている。 「心ある野次」といったようなものがあるのかどうかはともかくとして、今回のこの野次に関しては、野次を飛ばした行為そのものよりも、野次の内容をくわしく分析せねばならない。 記事によれば、1月22日の衆議院で、国民民主党の玉木雄一郎代表が選択的夫婦別姓の導入を求める発言をしたタイミングで、 「それなら結婚しなくていい」 という趣旨の野次が 「自民党席の女性議員から飛んできた」 のだという。 なるほど、心ない野次だ。 しかしながら、心ない野次を飛ばす人間にも、やはり心はあるわけで、今回は、その彼または彼女の「心」について考えてみたい。 選択的夫婦別姓については、これまで、ほかのところにも何回か寄稿したことがあって、その度に同じことを書いている気がしている。もっとも、夫婦別姓のような隅々まで論点のはっきりしている
日本社会全体の課題となってきた生産性の向上。働き方改革を推し進めるにはオフィスだけでなく、人や車の流れなど、社会全体を効率的に設計することも必要だ。今からおよそ80年前、まさにそんな「社会の効率化」を目的に英国で作られ、その後、世界の大都市に普及したルールがある。「エスカレーターでは急ぐ人のために片側を空けましょう」だ。 ところが、当時の英国に負けず劣らず効率化が求められている現代日本で、この紳士的ルールに異を唱える人が増えている。「エスカレーターでは片側を空けず両側に立ち、じっとしましょう」と主張する彼らの最大の根拠は「危ないから」だ。とはいえ、国民的ミッションである働き方改革に整合的な上、既に社会に定着しつつある「片側空け」を今さら覆さねばならぬほどエスカレーターで片側を空けるのは、本当に危険なことなのか。エスカレーターで歩くなと主張する人々の考え方と、そうした思考回路を持つ人の行く末
先日、仕事帰りに立ち寄ったコンビニでがく然とした。精算の際、店員がレジで「50」と書かれたキーを押すのが目に入ったのだ。 どんなお客がどんな商品を買っているのかを把握するために、コンビニ各社はお客の性別・年齢を見た目から推定し、記録している。ただし記者はまだ20代。取材先や友人からはよく「落ち着いてますね(=老け顔ですね)」と言われるが、まさか「50代以上」に分類されるとは……。 と思っていたら、必ずしも悲嘆にくれなくても良いらしい。 「お客をまじまじ観察している余裕なんて正直ありません。『50』は他のキーより押しやすい位置にある。店員にもよりますが、面倒なときはお客が誰であろうと『50』を押しているんです」(あるコンビニ加盟店オーナー) 改めてお店に足を運ぶ。レジ装置をこっそり観察してみると、年齢キーは5段階に分かれており、「50」は最下段にある。それと比べると小学生以下を意味するのであ
ケン・マツウラレーシングサービス創業者、現顧問の松浦賢氏。後ろは創業期に初めて「中古で買った」工作機械。 この週末(2017年6月17日、18日)に開催される「ル・マン24時間」。世界耐久選手権(WEC、ウェックと読む)のみならず、F1の「モナコグランプリ」、先日佐藤琢磨選手が優勝した「インディアナポリス500マイル」と並ぶ、自動車レースの最高峰の一つだ。 昨年、ポルシェに惜敗したトヨタはリベンジに燃え、ネットにもその火力があふれかえっている(こちら)。今年はレースの規則が変更され、ボディ形状(空力)への規制が厳しくなって最高速が伸びないと言われていたのだが、蓋を開ければトヨタは去年よりぐっとスピードアップした。その最大の理由はパワーユニット。他社と同一のルールに従い、燃費も向上させながらよりエネルギーを絞り出している。トヨタのレーシングカー「TS050ハイブリッド」はその名の通りハイブリ
中小・ベンチャー企業向け人材採用コンサルティング会社として一世を風靡したワイキューブ。優秀な人材を新卒で採用するノウハウを提供し、2007年には売上高約46億円にまで成長した。いわゆる「就職人気ランキング」では、並み居る大手を抑えて16位に食い込んだことがあるほど、学生からの人気も高かった。それが一転、2011年3月30日、民事再生法の適用を申請した。なぜ経営破綻に至ったのか。元カリスマ社長の安田佳生氏がその理由を語る。 ワイキューブという会社の名前を覚えている方もいると思います。1990年、リクルートから独立して私が立ち上げた人材採用コンサルティング会社です。その会社を2011年3月30日、自らの手で潰しました。東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したのです。負債総額は約40億円でした。 人材採用会社のカケハシスカイソリューションズ(東京・新宿)に事業を引き継いでもらい、一年間立ち上げ
2017/03/08 17:55 多様な業種の小規模店舗が取次店が多く存在した時期もあったが、ヤマト自身が中抜きを図って、直接荷受けするようになり、そのような取次店はなくなっていき、コンビニだけになった。 ドライバに携帯を持たせて、消費者に直接対応させるようになった。 細かな時間帯指定を無料で行えるようにした。 いずれもヤマト自身がサービス向上と謳って行ってきたもの。 消費者もアマゾンはじめネット通販企業も、ユーザーとしてそのサービスを利用しているまで。 なぜ、悪者扱いしているのか、意味が分からない。 これまでそのサービスを以って、利益を上げてきたにも関わらず、利益が上がらなくなってきたからといって、ユーザー側に責任があるかのように転嫁する論調には賛同しかねる(ヤマト自身がではなく、あくまでメディアの論調ではあるが)。 どの業界でもそうだが、ボリュームディスカウントは価格交渉の常套手段とな
大規模火災に見舞われているオフィス用品通販大手アスクルの物流センター。同社が2012年に立ち上げた消費者向けネット通販サービス「LOHACO」を支える戦略拠点の一つで、自動のピッキングロボットを試験導入している最新鋭施設だった。記者は2016年9月、取材の一環でこの施設を訪れている。早期の鎮火を祈りつつ、当時、内部からみた倉庫の様子を紹介する。 火災が起きているのは埼玉県三芳町にある物流センター「ASKUL Logi PARK(アスクルロジパーク)首都圏」。アスクルが土地や建物に160億円、設備や備品などに約40億円を投じ、2013年夏に稼働させた。 ロジパーク首都圏は地上3階建てで、延べ床面積は7万2000平方メートルと東京ドーム1.5個ぶんに相当する巨大物流センター。関越自動車道の所沢インターチェンジまでクルマで10分という好立地にあり、火災の発生直前まで、主に関東一円に出荷する約7万
トランプ氏の勝利を、日本の「有識者」とマスコミの多くは予測できなかった。伊藤忠商事の前会長である丹羽宇一郎氏は、政治家も官僚も経営者も、「有識者」たちはこれを機に、米国の状況を把握するうえで旧来の人脈が十分に機能していない現実を直視すべきだと説く。(構成:大竹剛) 伊藤忠商事前会長。1939年生まれ。食料分野を中心に活躍。98年に社長就任。4000億円規模の不良債権を処理し業績を回復。アジアへの造詣も深く2010年、民間出身では初の駐中国大使に起用された。日経ビジネス本誌で「賢人の警鐘」を連載中。(写真:清水盟貴) トランプ氏が米大統領選に勝利したことで、いわゆる「有識者」とマスコミが大騒ぎしている。だが、慌てることはない。政治・経済を1人の男だけでは何も決められるわけではないからだ。組織のトップに立ったことがある者なら分かるだろうが、結局、トップが力を発揮できるかどうかは、スタッフを自ら
「体験するのは初めて?すぐ慣れるから運転してみてよ」 7月27日、独フランクフルト。自動車部品世界大手のコンチネンタル本社で、1台の試作車に乗る機会を得た。下の写真が、その試作車だ。よく見ると、外見から何の試作車なのか判断できるのだが、お分かりだろうか。 答えは「鏡がない」こと。サイドミラーとバックミラーが付いていない。後方を確認するための鏡をカメラで置き換えたもので、一般的に「ミラーレス車」と呼ばれる。ミラー代わりのカメラを「電子ミラー」と呼ぶこともある。 ミラーに関する国際基準が改定され、カメラの使用が可能になった。これを受けて日本でも、国土交通省が6月18日に道路運送車両の保安基準を改定。自動車メーカーはミラーレス車を開発することが可能になった。 新型車であれば、2019年6月18日以降に発売できる。この改定によってミラーレス車ににわかに注目が集まっている。 では、ミラーレス車のメリ
神奈川県相模原市で起こったひどい事件について、ようやくその概要を把握しつつある。 第一報は知っていたのだが、続報は追っていなかった。 避けていたと言った方が正確かもしれない。 ツイッターのタイムラインに流れてくる断片的な感想を除けば、ついさきほどまで、私はマスメディアの情報を遮断していた。 理由は、当初の段階での扇情的な伝え方が不快で、事件の詳細にアクセスする気持ちになれなかったからだ。 なので、私は、事件の細部にはあまり詳しくない。概要を正しく把握しているのかについても自信がない。 有り体に言えば、事件発生以来、いくつかのチャンネルから偶然に流入してきた情報と、この原稿を書くために、ついさきほどからニュース検索をした結果たどりついた記事以外には、情報を持っていない。 ただ、正確な情報はつかんでいないものの、事件に誘発されてもやもやと考えていることはいくつかある。 こういう事件が起こると、
米電気自動車(EV)メーカー、テスラモーターズの高級セダン「モデルS」で5月、死亡事故が起きた。事故当時、モデルSは自動運転モードで走っていた。死亡した運転手とテスラのあいだには自動運転をめぐる認識の差があったもようだ。この問題は、遠く離れた海の向こうの出来事ではない。筆者には以前から、気になっていたことがある。 事故は今年5月、米フロリダ州の高速道路で起きた。太陽光が強すぎたためにセンサーが正常に機能せず、車両前方を横切ろうとしたトレーラーを検知できなかった疑いがある。そのまま直進した車両はトレーラーの下に潜り込むように衝突した。テスラの自動運転システムが直接の原因かは分かっていない。仮にそうだとすれば、いわゆる「自動運転車」で死者が出た世界で初めての事例となる。 車両を検証すると、ブレーキが作動した形跡がなかった。現地報道によれば、車内からはDVDプレーヤーが見つかっている。つまり、衝
アポハンターと呼ぶ専任スタッフが見込み顧客のリストを基にアポ入れをしてくれる。アポ情報は顧客企業の営業員の予定表に自動的に組み込まれる。(写真=竹井 俊晴) 東京・晴海にあるWEIC(ウエイク)のオフィス。「アポハンター」と呼ばれる約100人のスタッフがヘッドセットを着け、パソコンの画面を見ながらひっきりなしに電話をかける。売り込んでいるのはIT(情報技術)システムや精密部品、そして研修プログラムなどと幅広い。 いずれも法人向けの製品やサービスで、ウエイクのアポハンターが企業の営業員に代わって顧客と面会するためのアポイントを取り付ける。 「アポイント数が以前の5倍になった。放っておいても営業マンのスケジュールがどんどん埋まっていく」。ITエンジニアの派遣サイトを運営するフォスターネット(東京都新宿区)の吉田正弘社長は、ウエイクのサービスを利用した効果をこう評価する。 営業は分業した方が効率
「これって謝罪会見ですよね?」。5月18日にスズキが開いた走行抵抗値の不正に関する会見。国土交通省会見室の会場から、思わずこんな質問が飛び出した。スズキが繰り返す説明が、「謝罪会見」とは思えないものばかりだったからだ。 三菱自動車に続いて、スズキも走行抵抗値について法令とは異なる方法で計測していたことが明らかになった。道路運送車両法に基づく保安基準を満たしていないため、法令違反となる。違反内容は既報の通り。要は屋外で実施すべき試験を屋内の試験機で行い、さらに各部品の抵抗値を個別に算出して足し合わせていた。 しかし会見では、「燃費操作の意図はなかった」(本田治副社長)という動機面での釈明を繰り返したほか、対象者の処罰に関しては「燃費を良くしようと手を抜いたら問題。善意でやったというなら人情的に考える必要がある」(鈴木修会長)とした。 まるで、「燃費操作という悪意」がなければ問題は小さいと言わ
行方不明になっていた埼玉県朝霞市の女子中学生が2年ぶりに保護された事件の全容は、いまのところまだよくわかっていない。 よくわかっていないことがその通りなのだとして、この事件を、果たして、当事者でない私たちがよくわかるべきなのかどうか、私には、そこのところがよくわからない。 まわりくどい書き方をしてしまった。 つまり、何を言いたいのかというと、私は、こういう事件が起こる度に、事件の詳細を報じることに果たして公共性があるのかを、いつも考えこんでしまうということだ。 既に、事件の背景や細部について、あまりにも多くの憶測が垂れ流され、必要以上にあけすけな推理や分析がやりとりされている。個人的には、被害者の少女が無事に保護され、容疑者の身柄が確保された旨が既に報じられている以上、これより先の報道はとりあえず不要なのではあるまいかと考えている。 容疑者を犯行に至らしめることになった文化的な背景や、監禁
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