女性による「性」の表現に、変化が起きている。差別や抑圧の下で生きる「痛み」から、からりと明るい「笑い」へ。フェミニズムの先駆者・上野千鶴子さん(67)と、性や生き方をテーマにしてきた作家の北原みのりさん(44)が、背景を語り合った。 ――今年、人型ロボットにセクハラをして遊ぶプログラムが開発されました。中心になったのは女性デザイナー。女性による「性」の表現として印象的な出来事でした。(注1) 北原 私は女性アーティストが性を表現した作品に、痛みや力を感じてきました。でも、ロボットに「痛み」はありません。「この『人』は何をやっても痛まない」と安心して、みんなが笑ってセクハラできる。おもしろいんだからいいじゃんと。「痛みを感じない体」の表現に戸惑いますし、暴力をユーモアとして笑うことに、違和感がある。女性の痛みを訴えるよりも、「笑って乗り越えよう」という風潮になっているのは、なぜなのか考えさせ