グローバル化が進み、国際教育に果たす留学の役割はますます増大している。これまで、複数言語での学習を可能にするマルチリテラシーズ獲得には、「言語間転移」が重要だと考えられてきた。また、L2ライティング・プロセスにおけるLl関与は、書き手の思考を内面的に言語化するランゲージ・スイッチングとして理解されてきた。本稿では、マルチリンガルの自然な言語使用に根ざし、状況や場面に応じて彼らが全言語レパートリーから最適な要素を選び、言語の境界線を越えてそれらを組み合わせてタスクを遂行する「トランス・ランゲージング」の観点から、言語間の「概念転移」を「概念構築」として捉え直す。マルチリンガルの留学生が全言語資源を活用し、トランス・ランゲージングを通して新たな知を獲得しつつ概念構築を進め、L2言語能力と課題の要求度のギャップを埋めながら留学修了要件を満たしていったプロセスを分析する。それを通じて、マルチリンガ