あなたの性格や行動が知らないあいだに、腸内や脳などに住む寄生生物によって操られているとしたら? 「まさか、そんなことは!」と思うだろうか。 近年、「神経寄生生物学」と呼ばれる分野の研究が明かしているのは、まさにそんなことが起こっている、しかもごく日常的に! である。 先頃、刊行されたキャスリン・マコーリフ著『心を操る寄生生物: 感情から文化・社会まで』(インターシフト)は、 こうした「神経寄生生物学」の最前線を追っている。 以下、本書から興味深い(恐るべき)トピックスを紹介しよう。 まず、世界中で3人に1人が感染していると言われるトキソプラズマ原虫。この微生物は主にネコからヒトへと感染し、脳に住みつく。 医学的には、感染しても妊婦などでなければさほど問題はないとされていた。しかし、心理学者や神経科学者らの研究では、人の気分や性格を変えてしまい、そのせいで感染者が危険な行動を取っ