「このツアーでサカナクションは終わるのかもしれないと思っていた」 と、幕張メッセのステージから山口一郎は言った。もちろん、そんなことはないと確信を持てたからこそ言えた言葉だ。彼はすぐに続けて「そんな気持ちは微塵もなくなりました。行けるところまで行ってみようと思っています」と宣言していた。それを聞いたときに、このツアーはNF Recordsのローンチツアーであると同時に、サカナクション自身のリ・ローンチツアーでもあったんだと気付いた。 サカナクションらしい、練りに練られた演出と音はメッセの大きさによく映えた。そして、そのすべてが最後には自由でポジティヴな光となって音楽の可能性を指し示していた。 アンコールでやった新曲(「アネッサ」のCM曲)のもろ80sなシンセサウンドのあとに“Ame(A)”をやったとき、サウンド自体はまったく違うのに不思議なリンクを感じたのは、そこに込められている音楽への憧