東日本大震災を教訓に国が災害対策への活用などを想定していたマイナンバー制度の導入後、初の大規模災害となった熊本地震で、熊本、大分両県と被災した41市町村のうち、初動対応に制度を活用した自治体がゼロだったことが、西日本新聞の取材で分かった。国は被災者の安否確認や避難所の人員把握に活用できると説明してきたが、普及率の低さや個人情報漏えいの懸念、使い勝手の悪さなどが露呈。活用の前提となる関連条例が未整備の自治体も目立った。 各自治体に制度の活用状況を尋ねたところ「個人番号カードが住民に普及しておらず、災害対策本部の検討事項に出なかった」(熊本県西原村)などの回答が目立った。建物の被災棟数が同県内で最多とみられる熊本市の担当者は「国から運用法が示されていない」と困惑。「使い勝手が悪い。制度を活用しなくても避難者は把握できる」(同県南阿蘇村)、「庁舎が破損して使える状況にない」(同県宇土市)などの現