ロシア侵攻後、世界初のインタビュー。緊急特集ウクライナ戦争と核/文・エマニュエル・トッド(歴史人口学者) トッド氏“冷酷な歴史家”としてまず申し上げたいのは、ロシアの侵攻が始まって以来、自分の見解を公けにするのは、これが初めてだということです。自国フランスでは、取材をすべて断わりました。メディアが冷静な議論を許さない状況にあるからです。シャルリ・エブド事件に対して「私はシャルリ」運動が盛り上がり、「表現の自由」という名の下に「反イスラム」の空気が社会を支配した時と似た状況です。この時、私は世論全体を敵に回しかねない『シャルリとは誰か?』という本を出しましたが、自国で自分の見解が冷静に受けとめられる望みはなく、最初に取材を受けたのは、日本の新聞でした。このように日本は、私にとって一種の“安全地帯”なのです。今回取材を受けたのも、『文藝春秋』という雑誌と読者を信頼しているからです。 この戦争