サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
WWDC24
kawa-kingfisher.cocolog-nifty.com
挨拶がすっかり遅れましたが、明けましておめでとうございます。バタバタしているうちに過ぎた正月休みでした。前回のエントリに続き、最近思ったことに関して軽くコメントして今年のスタートにしたいと思います。 ・小泉首相の前原氏へのアプローチ 大連立を持ちかけたりとかの話題が昨年あったが、今でも類似の発言を繰り返しているようだ。確かに奇妙なインパクトはあり、ニュースのネタにはしやすいが、何の思惑かと騒ぐマスコミの論調には私は違和感を持つ。というのは、民主主義政体下で議会政治を営む場合は、多数派を形成する努力をすること自体は当たり前すぎるほど当たり前の事だからだ。小泉首相が異論を切り捨てるのを責める、マスコミのその同じ会社が多数派形成に違和感を唱えることがある。矛盾としか言えない奇妙な報道であろう。私見では、自己の勢力が衆参両院で2/3に達するまでは、多数派形成の努力は目標とする政策が歪められない限り
すぐにやめるかと思いきや、マイペースでだらだらした内容ながら年末までこのブログも続いた。今回は2005年を振り返って、総括というほどでもないが、全体として私が重要と感じたことに関して、色々と述べてみたい。全体としては、過渡期の年であったと言うことになろうか。複数の話題を扱うが、コメントしていただけるのならどの内容に関してでも構わない。 ・日本の衆院選 このblogの名称を世界情勢としているのは日本自身も含んでいるからである。英語で言えばinternationalではなくworldwideに相当するとでも表現すればいいかもしれない。そして世界的ニュースという意味では、カトリーヌのような短期的なインパクトをもつ事件でなくある程度長期に渡り影響がある内容となれば、日本の衆院選は今年の重要なニュースの一つと言えるのではないだろうか。 この選挙は、小泉首相のイニシアチブにより郵政民営化を争点として戦
キューバのカストロ議長やベネズエラのチャベス大統領と親しいといわれるモラレス氏が大統領に当選したと報じられている。世間では反米大統領と話題になっているようだが、こういう政治的支持は南米地域に限らずしばしば見られるものだ。日本のような国では実感しにくいが、多くの途上国ではその国のエリートは外国の手先のように見られてしまう。感情的な側面もあるので難しい問題ではある。 このあたりの地域は日本からすると遠隔地でしかないが、交通機関の発達した現代なら今少し関心が持たれても良いと思う。あまり知らない人もいるかと思うので、知的な人には蛇足もいいところだがこれを機会にエントリしておきたい。 ボリビアの情報は、例によって外務省サイトをリンクしておくが(参照)この国に関しては歴史に着目するのがより重要と思う。ボリビアは経済的には南米でも恵まれないほうである。大きな原因の一つが内陸国であることだ。海港の経済的重
ブッシュ大統領がイラクに対する政策を述べたホワイトハウス執務室からの演説が話題になっている。この内容は全文が公開されている。米国民に広く語りかける内容であるということを考慮すると、そのまま引用するのも構わないと考える。思うところあるので、今回は英文の全内容のコピーをそのまま置いておきたいと思う。 私はブッシュ大統領のイラク政策にほぼ賛同する立場だ。正確にいうと当初からではなく、イラク戦争開始時は6割の賛成だった。現実の厳しさに、クリントン大統領時のソマリアみたいに放り出すのではないかと思ったからだ。しかし、その後の対応を見ると、虐待事件や治安維持の問題などがあったが、一貫して最後まで推進するという姿勢は明確になっている。それでほぼ100%の支持をするようになった。もちろん私はアメリカ人ではないし、その政策を受け入れるかは結局はアメリカ人の判断によるものだ。無責任な部外者の見解でしかない。
東欧へのEU拡大はかなり進展したが、マケドニアの加盟交渉にフランスが慎重な姿勢を示したと報じられている。(参照)マケドニア自体は人口200万程度の国で、それ自体の問題は大きいわけではない。むしろウクライナへの思惑から割を食ったという印象もある。もっとも、様々な思惑が交錯するややこしい地域である。自分が何を書けるわけでも無いが微妙にメモ書きを残しておきたい。ちょっともやもやとした思いがある。 小国を取り上げる際に便利なので、今回も外務省サイトをリンクしておく。(参照2)旧ユーゴから分裂したマケドニア共和国は、古来マケドニアと言われた領域を全て領有しているわけではない。独立時に内戦は回避したものの、ギリシャとかなり揉めた。曰、マケドニアはそもそもギリシャ人の国である、そのような名称を使う事はまかりならんと。古代ギリシャはマケドニアをバルバロイ視していたような気がするが、そういう問題ではないらし
9.11の選挙で圧勝したにも関わらず、その後小泉首相が民主党の前原代表に大連立の可能性を打診していたというニュースが報じられている。(参照)政治に関心のある者なら誰でも興味深く感じるところで、例えば雪斎殿もエントリしている。私は、このニュースは小泉首相が選挙制度の改革を指示したというニュース(参照2)とセットで考えると分かりやすいと思う。 この衆議員300、参議院150で重複立候補を無くすというのは、個別の言辞はともかく、明らかに衆議院の単純小選挙区化を目指したものと言えないだろうか。そして参議院は恐らく比例を50程度残し、選挙区を100程度にするのであろう。この前提で近未来の選挙の状況を考えるとどうなるだろうか。 恐らく衆議院は2つ程度の大政党しか残らないだろう。そして次の選挙前に仮に民主との大連立が成立していたらどうなっただろうか。恐らく民主党の左派勢力は社民党などに吸収されるような形
皇室に男児の出生が近年無いことを受け、女帝を認めるかどうかに関する議論が盛り上がっている。この問題での世間での係争点は、女帝を認めるかどうかではなく、男系を厳格に維持するか、女系も認めるかと言う事のようだ。論理というより感情が先立つ問題でもあるが、これに関する自分の考え方を書いておきたい。 自分の考えは、日本人の多数派が良しとする方法をそのまま認めるというものである。・・・・・怒らないで欲しい。一応理由らしいものはある。なぜこのような考えに至るかというと、そもそも天皇制というもの自体が、日本人が共通に有している共同幻想としての取り決めであるからだ。これは宗教のそれにも近いが、論理的な理由はそれほど無いのである。ある種の決め事で成立し、長く継続した王朝だからというのが全てだ。伊勢神宮が他の多くの神社より偉いという事をなかなか説明できないのと似たようなものだろうか。とにかく日本人は皇室を神聖だ
自民党の新憲法草案が海外でも注目を浴びつつあるようだ。この風景はある種明治維新のそれに似ているのかもしれない。世界がその重要さに気付くのに一定の時間を要するという意味で。例外は関わりの深い米国くらいだろうか。 第九条の第一項をそのまま残したのは無難な選択だ。多くの民主主義国とさして変わるわけでもない。防衛のみを謳う建前はいずこも同じであるからだ。また自国単独での話となればそれで構わない。予防戦争などの積極的行動の場合は、いずれにせよ集団安全保障の問題の議論となり、一国の憲法が扱う範囲を超えるからだ。 米国の視線はとなると、遠慮も何も無くこんな事を言うワシントンポストの言い分(参照)は本音に近いのだろう。真っ先に連想するのが台湾問題というのは現実とも合っている。 The most likely beneficiary would be Japan's closest ally, the Un
国内の報道は北方領土問題に関心が集中していた感がある。私も可能性は低いながら進展の可能性は多少あるかもしれないと思っていた。実際はお互いの国内事情から原則論を動かすことは出来なかったようだ。では今回のプーチン訪日は何の意味も無いものだったのだろうか。今までのロシア首脳は領土問題の存在のため日本に来た結果が外交の失敗と解釈される事が多かった。ロシアにとって今回のそれはどうなのか。 外務省が今回のプーチン訪日の概要をまとめて発表している。(参照)ここからリンクされている小泉政権下でまとめられた日露行動計画も、読むと今までに無い野心的なものだ。さらりと書いてあるが「戦略的パートナー」という言い回しはここでは必ずしも儀礼的な意味合いでは使われていないと考える。そして今回の訪日でも「成果文書」が重要であろう。これだけの成果が文書としてまとめられるのは、今までの日露の疎遠さを考えると意外なくらいだ。(
この方面ではちと不勉強で情報通というわけでもないのだが、スーダンに関しては話題があれば軽くでも取り上げたいと思う。私が取り上げたからどうなるというものでもないが、ダルフールなど本当に放置されている感が強く、忸怩たるものがある。一応外務省のスーダン概況も見て置いて欲しい。(参照) 今回、米国の国務副長官ゼーリック氏と、スーダンの第一副首相サリバ・キール氏の会見が報じられている。(参照2)ちなみに"CPA"とは1月に締結された包括的和平合意の意である。キール氏はスーダン南部を地盤とする反政府組織SPLAの事実上のトップで、対外的にはスーダンの第一副首相の肩書きであるが実際は反政府勢力の指導者ということだ。そして米国はこのSPLAを継続的に支援してきた。前任のガラン中佐はカリスマがあったようだが、今年7月にヘリの墜落で事故死している。後任のキール氏はまだ未知数といったところだろうか。ガラン中佐は
ハワイ沖で米国のイージス艦Lake Erieが初めてミサイルから分離後の弾頭を撃墜することに成功したと報じられている。(参照)重要な進展だが、米国内では多くのステップの一つに過ぎないと考えられているのか扱いは大きくないようだ。むしろ欧州配備に向けたニュースに関心が集まっているようだ。(参照2)今日は軽く触れておきたい。 欧州に対する攻撃の防衛のため、ポーランドにミサイル防衛のための基地を設け、主として中東やアフリカからの攻撃を防ぐことが検討されているらしい。大陸間弾道弾に近い中距離ミサイルが主なターゲットと見られるが、もう少し短距離のミサイルについてはイタリアやスペインも想定にあるようだ。 ミサイル防衛は抑止のための核兵器とは違い、防御のみであり、しかも100%の防御にはならないので役に立たないという意見がある。以前のエントリでも述べたが、これは議論する観点がずれており意味が無い。抑止は核
もう読んでいる人も多いと思うが、今回は山本一郎氏の著作「『俺様国家』中国の大経済」を取り上げてみたい。氏は「切込隊長」のハンドルネームでblog界では有名なようだが、著作という形で読んだことは無かったので興味深くはあった。体裁は整っているが硬質で皮肉な文章になるのかなと予想していたが、フタを開けたらその言い草はblogと同じような勢いで展開していた。もっとも、これは本の帯に「中国13億の民に告ぐ!『愛読無罪』」などと書いている時点で予想できねばならず、その点は私も要反省だ(苦笑) それはともかく内容だが、とにかく中国は経済に関する基本的なデータが信用出来ないというのが大前提としてある。で、そういう実体を個々の事例を極力挙げる形で極力説得力ある形で示し、可能な範囲で推論するというのがこの本の基本コンセプトである。事例としては各章で、ファンダメンタル、不良債権、通貨政策、エネルギー問題などを取
フランスの暴動に関しては、ほどなく収まるといいなという希望的観測もあって軽い扱いにしていたが、やはりこの件はひっかかるので自分がこの時に何を思ったか備忘録も兼ねてエントリにしておきたい。今回の事件の構図だが、大雑把に捉えるとこうではないかと考えている。 まず、移民一世は自らの行動に自覚的で、それなりにフランス社会との調和を目指していたと思う。これは旧植民地の北アフリカ諸国が多いことからも推察できる。そしてフランス社会はこういう層をターゲットとして社会制度の最適化を図ってきた。しかし、二世となると話は別となる。この変化への対応が甘かったというのが問題なのだろう。 これは在日朝鮮人の問題に比較すると興味深い。日本の場合は、朝鮮との絶対的な文化距離はやはりそれなりには近かったということ、そして人種的に近縁で外見上の区別はつきにくい事が大きい。日本語に堪能で外見上の区別がつかなければ表面上の摩擦は
鳥インフルエンザの感染可能性について色々報じられている。これがどういう文脈で問題視されているか、多くの日本人はあまり実感が無いようだ。これに関しては非常に良い論文があるのでこの機会に引用しておきたい(参照)。筆者のローリー・ギャレット氏は感染症やバイオテロなどの外交・安全保障への影響を専門としている。やや長いが内容は充実している。ほぼ全てを精読する価値があるだろう。一部引用する。 The havoc such a disease could wreak is commonly compared to the devastation of the 1918-19 Spanish flu, which killed 50 million people in 18 months. 欧米人のイメージとしてはスペイン風邪ということだ。この件は第一次世界大戦との関連もあって鮮烈だ。ただ今の日本人には大
話題性には乏しいが、なかなか興味深い面もある内閣改造だ。少しばかり触れてみたい。小泉首相の改革を競わせるという言は確かに本音のようである。 官房長官の安部氏だが、これは官邸主導の現在重要なポストではあるが、悪い言い方をすると監視がしやすいという事でもある。失敗したときはひどい事になるが、これが勤まるようなタフさがないと将来の首相になるのは難しいという事だろう。細部に至るまで内外から厳しく評価されると言う意味では、私は米大統領選の予備選のイメージを抱いた。 中川農水相だが、この人の配置などはなかなか象徴的だ。元々農水族と言えるが、経産相時代にFTA関連をやらせて、その上で農水相にしてお手並み拝見というのはやるなと思う。小泉首相は農政改革も念頭においており、農協などをどうにかするつもりなのかもしれない。 個人的に興味深く思っているのは竹中総務相だ。これはテレビ局などの既得権益改革の意図があるの
米国が、常任理事国入りを希望している日本に対し、多くの加盟国の賛同を得られる案を共に協議するという話が報じられている。いつもの事だが、雪斎殿のエントリはタイムリーでポイントを突いていて参考になる(参照)。 私はこのテーマ関連のエントリで何度も述べているのだが、日本の常任理事国入りには賛成だがG4案には反対という米国の発言はそのままの意味で解釈すべきだろう。しかしながら日本国内においては米国は非協力的との印象を持つ人もおり、極端な意見となれば、米国も本音では反対で中国との裏取引で潰したのではないかという言すらある。誤りなのだが、米国としては日本の不信感を払拭する必要を感じたのだろうか。いずれにせよ、世界第二の経済大国をここまで面倒見なければならないとは、米国も気の毒なことである。 これに対し、G4案推進の今までの経緯から慎重な対応を考える人もいるようだ。しかしながら現在G4案が通る可能性がゼ
今度のぐっちーさんのエントリは非常に興味深い。小泉首相はかなりの経済通らしい。これで今まで疑問に思っていたことがかなり氷解した気分だ。今回はちょっと個人的なエントリになってしまうが許されたい。少し関連したエントリを書いた事もあるのでそれも見て欲しい。 元々私は、小泉首相をそれほど高く評価していたわけではなかった。就任当初は少々残念に思ったくらいだ。有権者が総選挙において有能な野党を何がしか選択するという、主体的な行動で政治を動かすことが重要だと考えていたからだ。その過程を停滞させるような思いがしていた。また経済に詳しいとも思えなかったので、最初の半年くらいは明確に不支持だった。 おやと思ったのは9.11の後だ。対応が極めて日本人離れしている。細かい部分も含めて安全保障や外交に関する発言が極めて正確で、欧米の伝統的な中道政治のリアリズムを感じたからだ。だから経済は怪しいかもしれないが安保の件
プーチン大統領の来日が11月に予定されている。領土問題の進展に関心が集まっているが、普通に考えると困難だろう。しかしながら、ここ最近は今までなかったような微妙な反応が出てきているので取り上げてみたい。 この領土問題そのものに関しては、以前にエントリを上げている(参照)のでそちらも参照して欲しい。本質的には主権の問題というのがポイントである。これは実のところ日露双方とも立場は全く同じで、いずれも多少の経済的な負担をしても主権を維持したいと考えている。そのため本質的な対立があり、なかなか進展しないのだ。 その認識の前提に立てば、ロシア側から出てくる意見は首尾一貫している。例えばプーチン大統領の意見は何度も報道されているが、一貫して主権に関しては譲らないし、現地への投資を行っても立場を強化しようとの意図だ。資源などをネタに、政治経済各方面での見返りで日本に譲歩を促すとのやり方は、実際伝統的に日本
映像ファイルの視聴が可能なiPodが発売され、話題になっている。私自身、聴く音楽はクラシックが多いという事もあり、旧来の携帯音楽プレイヤーや音楽ファイルの販売にはあまり興味は無かった。しかし映像となると話は別だ。ちょうどR30氏が面白いエントリを挙げている、私も映像配信ビジネスで考えたことを書いて見たい。直感でしかないのでツッコミ所満載だとは思うが。 まず、映像配信ビジネスの対象として、典型となるものを複数挙げてみたい。 (1) ハリウッド映画など、旧来はDVDのようなパッケージ販売の対象となるもの (2) 今回取り上げられたミュージッククリップのように、従来パッケージでは扱いにくかった短時間・多種類のコンテンツ (3) テレビドラマなど、家庭用録画機のタイムシフト需要を補うような、テレビ番組コンテンツの販売 この3種類は仮に想定したものであるが、これにより一つの傾向が見えてくる。世界的な
これは漠然とした印象であり、勘のようなものに過ぎないが、近年右傾化していると言われつつある論壇は、むしろ今年あたりから退潮の傾向があるのではないか。自分が良く見て回るブログで、最近保守論壇への嫌悪感を記しているのが目立つせいもあって、私がそう思っているだけかもしれないが。 保守政治家といっても、様々な立場の人がいる、雪斎殿のエントリで、マトリクス化による分析がなされたものがある。非常に参考になるので目を通して欲しい。そしてここでの分類では強いて言えばx軸かと思うが、いわゆる保守政治家の中でも、儒教的価値観や土着的伝統政治を重視する「伝統主義者」とでもいうような勢力が退潮したのではないかという印象を持っている。そしてこの政治勢力はしばしば民族主義的ナショナリズムの傾向も重なる。 この政治勢力の伸び悩みは様々な要因が考えられるが、私は情報化社会の進展が一つの要因だと思う。例えばブログなどで英語
首相の靖国参拝問題で政教分離の原則がまた話題になっている。裁判の内容に関する議論は色々あれど、全般として政教分離の原則を厳しく判定したという事実ではある。世界的に見ても日本はこの付近の厳格さが比較的受け入れられる傾向があるようだ。 欧米諸国で、日本以上にこの種の政教分離へのこだわりが強い国となるとフランスだろうか。この国は人種差別は少ないかもしれないが文化差別は強く、その意味では日本との共通点も多い。母国語がペラペラな黒人に対しては両国とも比較的対応が温かいだろう。イギリスとなると、異質なものを抱え込んで割と平然としているという印象がある。その付近の図太さは万事に完全主義の日本人に真似をしにくいかもしれない。欧州の事情ということで、比較的リベラルな立場からのル・モンドの記事があり、なかなか参考になる。日本はというと、独伊あたりの比較的保守層が近いと言えるかもしれない。ただ日本は宗教が持つ倫
米国が国内問題で忙殺されている度合が大きいせいか、外交の各方面が停滞気味になっているようだ。日本もこの時期に分担金の件で国連を牽制したのが効いたか、国連人権委員会が拉致問題の解決を北朝鮮に促している。この組織は国内の人権状況が怪しい国の発言力が強いと散々に揶揄される存在だが、ただあまり皮肉に考えるだけでなく、途上国の現実も考えるべきだろう。アフリカの一部地域のように生存権そのものが危機に晒されている国はもちろん、中進国に分類される経済水準の国でも国境紛争で人命が失われていることは多い。つまり、世界的に見れば日本の拉致被害という事件は先進国の贅沢としか見られない。もちろん国連の場では、加盟国の状況からしてその行動に多くを望めない。つまり、かなりの諸外国の支援を望みにくく、また人権問題の常として、その当事者たる国家の政府方針に密接に関連する。本質的に解決の困難な問題なのだ。 しかしながら、日本
ブッシュ政権に影響を与えたとされる、ナタン・シャランスキー氏著作の"The Case For Democracy"が邦訳されているので目を通してみた。邦題は「なぜ民主主義を世界に広げるのか」であるがこれはどうだろうか。ちなみに宮台氏の後書きもちょっとポイントを外している気がする。 それはともかくこの本の内容である。読み終えた後の最初の感想としては、「これは世間で誤解を生みやすい書だな」である。実際そうなっている向きがあるのではないか。 政治に限らず、人が他人や書物を評するときにはいくつかのパターンがある。大雑把に分類すると加点法か減点法というところだ。前者は瑕疵があっても本質的な部分で高い価値があれば高く評価するというやり方で、後者は細かい瑕疵などが無い完璧さをもって良しとするやり方だ。私的には知識人には後者が多いが、最優秀な人物と真面目で良心的な庶民には前者が多いという印象がある。アメリ
インターネットの普及に伴い、通常の先進国の選挙は一勢力の一方的な勝利を嫌う有権者の行動により接戦になるという説がある。そして逆に僅かでも明確な差がはっきり見えている場合はそれが増幅されるという説もある。 果たしてそれが正しいかどうかは分からないが、日独の選挙は余りにも対照的な結果となった。ドイツの政治はいささかの漂流を余儀なくされるかもしれない。 ドイツに関しては良いブログがあり、有名なので私が今さら紹介するまでもないがリンクさせていただく。知的でかつドイツに関する温かい視線に満ちた良心的なブログと感じた。 さて、様々な指摘が既に多方面からなされており、私が記すまでも無いが、所感も含めて日独の選挙に思ったことを述べてみたい。 ・安全保障環境の違い 言うまでも無く、日本は北朝鮮や中国の問題を抱えている。日本の野党の民主党の主張は稚拙すぎた。加えて経済的にも、日本では対中競合感が強いが、欧州に
・・・というタイトルにしたが、小泉首相を含む政界の人々について、日頃考えていることの雑記のようなものである。個人的な所感の寄せ集めのようなものだ。 まず民主党の代表だが、一応立候補者が2名で代表選をする事になったのは歓迎したい。負ける人が分かりやすく負けるのが大事なのである。そしてどっちが負けてもしつこく再チャレンジするのを批判するべきでないと思う。そういう粘っこさも、最終的に政権を取って内閣総理大臣になる事を目指すのならば必要な資質の一つだからだ。この両名は個人の資質だけに絞れば民主党では一応最良のクラスなので特に文句も無い。個人的には別に推したい人もいるが、小選挙区で負けてたりするし・・・・ 自民党となると、今は明白に見えてはいないが、親欧米の合理的な新保守主義者が多く、やや国粋主義的とも言える古い保守勢力が減っているような印象がある。これは自民党をますます怜悧な強力さを持つ政党にする
まだ全議席が確定したわけではないが、大体の情勢として与党圧勝は間違いないようだ。個人的には自公で280~290と考え、それでもちょっと高めの予想に過ぎるかと思っていた。結果はそれ以上と圧倒的だ。結局読みの至難な都市部小選挙区が雪崩現象となったようだ。ちょっと思いつくまま感想を書いて見たい。 この結果は、世論調査で動向を調査し辛い都市部のサラリーマンなどが自民に流れたと判断するしかないが、その解釈としては自民の勝利というより民主の惨敗と評するべきだろう。郵政民営化そのものに関しては、現在の小泉路線がどうかという事に異論は発生するだろう。しかしながら、小泉首相が争点を郵政一本に絞ったとしても、有権者の立場としては全体としてどの政党が信頼できるかという判断の手がかりでしかない。個別政策を詳しく知ろうとしない一般の有権者としてはそうなる。これはむしろEU憲法の仏国民投票に政治現象としては近いかもし
ちょっと最近忙しくてバテ。ニュースを見ていると色々なことが待ち状態になっている印象。日本国内だと選挙、米国のハリケーンでの政治的空白など。今月末あたりからの反動が激しそう。 ・衆院選 問題は選挙の後だと思う。民主党がどうなるか。終わった後に左派は相変わらず能天気で右派の焦燥感は深刻となればまるで昨年の米大統領選と同じ。右派は外国人排斥などの極右勢力が強くなければそこそこまとまりがあり、左派は大きいというのは世界的傾向ではあるが。 ・カトリーナ被害 日本のマスコミに文句を言っても仕方ないとは言え、州政府などへの批判がより強いことをもう少し報道してはどうか。 ・イラン核開発 安保理付託は不可避の模様。日本での報道は薄いが、英仏独はかなりの努力をした。この後の国際世論の取りまとめはそれほど苦労しないと思う。 ・「論座」10月号 今回掲載分のForeign Affairs和訳は、近年に無く質が低い
ハリケーンによるニューオーリンズの被害、バグダッドでの橋からの転落など、多くの犠牲者が出る悲劇が報じられている。心から哀悼の意を表したいと思う。 もちろん大変な悲劇であるので当然ではあるが、そのため欧米でも国際ニュースの関心はどうしてもそちらに向いてしまう。しかし奇しくも北オセチアでの占拠事件から1年であり、チベット占領から40年でもある。いずれも関心が一時的にそれているのは皮肉な現象のようにも思える。いくつか政治的なリアクションが進展する可能性があるトピックだと思うのだが。 そういう昨今の情勢とは無関係に、ふとトルコの事を考えた。最近ではEU加盟問題が話題になっており、予定では10/3にEUでの加盟交渉開始となる。しかし欧州では反イスラムの風潮は強くなっており、今回もキプロス承認問題を理由にEU外相理事会では慎重意見多数となった。おまけにドイツではより保守派の政権が誕生しそうな雲行きであ
対EUでは6月に当面の妥協が成立したかに報じられていた中国の繊維製品問題だが、やはり尾を引いているようだ。(参照)EU域内での各加盟国の対立が深まっているとの事。繊維問題はとにかく政治的な争点になりやすい。日本はこの問題を世界で一番実感しにくい国ではなかろうか。 欧州に関しては、北アフリカ諸国との関係で、一定程度代弁せねばならない事情から問題が複雑化していることは以前のエントリでも述べた。今回もフランスとイタリアが強硬派なのは符合する。自国内の産業としても当然移民が多い。ところでこの税関足止めは、昔の日本の対欧自動車輸出でやられたこともある。税関窓口の処理能力が追いつかないという建前だった。今回も同じなのだろうか。フランスはこの手の変化球が昔からうまい。結局買ってるにも関わらず大声で騒いで当時の日本人の感情を害した米国は随分損をしたようにも思う。また今回の交渉手法も妙に似ていて日本人として
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『カワセミの世界情勢ブログ』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く