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政権末期や政変時に担ぎ出される幼児王・少年王 世界史ではよく幼児や子どもで王に担ぎ出されるケースがあります。 政治対立が起こり一触即発の場合に、幼い王を擁立させて角が立たないようにするという場合があり、これはこれで衝突を避ける政治的なテクニックではあります。中には成長して名君となるケースもありますが、悲劇的な末路を遂げる例も少なくありません。 日本史だと壇ノ浦の戦いで海に身を投げて死んだ安徳天皇が有名ですが、政治的混乱に巻き込まれ死んだ幼児王・少年王をピックアップします。 1. ジャン1世(フランス)1316年 即位後5日で他界した幼児王 フランス王ルイ10世が他界した後、子は娘しかおらず、妃のクレマンス・ド・オングリーが懐妊中でした。そのため出産までルイ10世の弟フィリップが摂政となり、1316年11月15日 に生まれた男の子が、ジャン1世として国王に即位しました。 しかしジャン1世は生
垂直移動に革命をもたらしたエスカレーター エスカレーターはエレベーターと並んで、都市の人々の「垂直移動」に革命をもたらした製品です。 エスカレーターの登場によってより短時間に大人数の人々を建物の上・下の階層に移動させることができるようになり、建物の構造に大きな変化がもたらされ、都市の景観も大きく変わることになりました。 過去記事「エレベーターの歴史」も併せてどうぞ reki.hatenablog.com 1.エスカレーターの発明 より大量に人を運ぶエスカレーター 商用のエレベーターが世に現れたのは1835年以降のことですが、エスカレーターの場合は19世紀後半になってからのことです。 エスカレーターの最初のアイデアは、1859年にアメリカの弁理士ナサン・エームズが取得した特許「An Improvement in Stairs(階段の改良)」に記されています。これは手や重り、蒸気で動く3つの車
夫や子を陰から支えた「徳のある」妻たち かつては女性のあるべき姿として「良妻賢母」が理想とされました。 夫の出世や大成のため、息子の健全な成長のため。自らを律し、贅沢は慎み、家の発展のために献身的に働くことが女性として最も理想的な生き方であるとされました。特に儒教の教えが強い東アジアは根強く語られてきました。ただこのような家や国への献身が評価されてきたのは、東アジアだけではありません。 1. 太任(?~?) 胎児に良い影響を与えるとされる「胎教」 良い母とは生まれてくる子ども、特に跡継ぎとなる男子を健康的に育むと同時に、いかに王の器たる人物に育てるかが重要とされました。 太任は周の文王の母で、胎児に教育を施すという「胎教」で有名な人物です。 文王の息子の武王は殷王朝最後の皇帝で暴君とされる紂王を倒し周王朝を開いた人物で、徳の高い偉大な人物であったとされます。 太任は誠実な性格で、非常に徳深
ヒ素の入ったお菓子が売られ21人が死亡 1858年の「ブラッドフォードお菓子中毒事件」は、イギリスのブラッドフォードでヒ素が使われたお菓子が屋台で売られ、それを食べた20人以上が死亡、200人以上がヒ素中毒になったという、身も毛もよだつような事件です。 この事件がイギリス社会に与えた影響は大きく、後に食品の不純物混入を規制する法律が制定されるきっかけとなりました。 1. 混ぜ物が入った砂糖で作られたお菓子 イギリスでは14世紀に入るまで砂糖が鍵付きの樽で保管されるほど超貴重品でした。 しかし17世紀から18世紀にかけて西インド諸島のプランテーション農場で栽培された砂糖きびが輸入され国内で砂糖に精製されるようになりました。1750年にはイギリス国内に120の製糖所がありましたが、年間3万トンしか生産できず、価格は非常に高額でした。 砂糖は「ホワイトゴールド」と呼ばれるほど大きな利益を生み、政
今期は企画本が多いです 2023年1月~3月の世界史関連新刊紹介です。 本記事はざっと流し読みをして気になる本をメモしていただくか、ブックマークして書店を訪れた際に見返すかして使っていただけるといいかと思います。今回も50冊あります。 新書・文庫・選書 安価に楽しめる新書、文庫、選書。今期はかなりバリエーション豊かなです。個人的な注目は以下です。 物語 オーストラリアの歴史 新版 イギリス植民地から多民族国家への200 年 (中公新書) 永遠の映画大国 イタリア名画120年史 (集英社新書) 1.『「音楽の都」ウィーンの誕生』 ジェラルド・グローマー 著 岩波新書 2023/2/21 税抜1,100円 リンク ウィーンはいかにして「音楽の都」になったのか。十八世紀後半のウィーンでは、宮廷や教会などによる支援、劇場の発展、音楽教育の普及と聴衆の拡大、演奏会や舞踏会の展開など、多彩な要素が相互
自らホロコーストの生き残りと称して売り込みをした人々 第二次世界大戦の重大な戦争犯罪としてホロコーストが挙げられます。 対象となったユダヤ人が非常に身近にいるためか、欧米では現代でも非常に関心が高いテーマであり、書籍、小説、映画などになってその凄惨な経験が語り継がれ続けています。 ところがあまりに関心が高いためか、「自分は強制収容所の生き残りだ」と主張する詐欺師もたびたび現れます。 1. ローレル・ローズ・ウィルソン ユダヤ人でアウシュビッツからの生き残りと主張した詐欺師 ローレル・ローズ・ウィルソンは虚言癖と詐欺行為で名のしれた人物です。 彼女が最も名前が知られた著作は『サタンの地下室(Satan's Underground)』という本で、悪魔崇拝の教団で生贄にするための赤ん坊を生む役割を担わされたという「実話」を語ると称するもの。 調査により、彼女の本名と家族構成、話の大部分が嘘である
権力の渦中で死んだ独裁者の女たち 権力に憧れるのは男だけではありません。 豪華な宮殿や調度品に囲まれ、最高級の料理や衣服を楽しむ生活。下々の者をコマのように使える快感。常に讃えられ崇められる自己肯定感。独裁者のファーストレディであることは、何ものにも代えがたい魅力があったに違いありません。 しかし多くの国民の自由を犠牲にして得た幸せは人々の恨みも買います。幸せから一転、不幸な最期を迎えた独裁者の女は多くいます。 1. エレナ・チャウシェスク(ルーマニア) 夫ともに銃殺されたルーマニアの「国民の母」 エレナ・チャウシェスクはルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスクの妻で、夫とともに自身も権力を握り個人崇拝の対象となった人物として知られます。 エレナは小学校しか卒業していませんが、ルーマニア共産党ブカレスト支部に入党し、そこで21歳のニコラエ・チャウシェスクと出会い、1947年12月23日に
中立国から西側、環境・人権先進国へ ノルウェーの歴史の後半です。 前半では豪族が割拠する地域がキリスト教をコアにして中央集権化した後に、デンマークやスウェーデンとの協調の後に統合されていく様子をまとめました。 まだご覧になっていない方はこちらをどうぞ。 後半ではナポレオン戦争を機にスウェーデンの一部になり、独立後に激動の20世紀を迎えるノルウェーの様子をまとめます。 9. スウェーデンとの連合結成 スカンジナビアの国際秩序が大きく変わったのがフランス革命戦争とナポレオン戦争です。 革命フランスは1792年にオーストリア、プロイセンに宣戦布告し、ナポレオンがワーテルローの戦いで敗れる1815年まで戦禍がヨーロッパを覆いました。 当初デンマーク=ノルウェーは中立政策をとりますが、これがイギリスの不信を招きます。当初最大の海運国だったノルウェーの船舶が、イギリスの敵国フランスの物資を運んでいるの
近隣諸国と複雑な合従連衡をした「北欧の田舎国」の歴史 2021年のノルウェーの国民一人当たりのGDPは世界第4位。福祉国家や環境先進国、人権国としても知られ、日本人が羨む「北欧先進国」です。 しかし長らくノルウェーは近隣のデンマークやスウェーデン、イングランドなどと政治的な合従連衡を繰り広げた挙句、政治の中心からは外されてきました。 そのような「北欧の田舎国」がどのように世界有数の先進国になっていったかを全2回でまとめたいと思います。今回は前編です。 1. ヴァイキング時代 1-1. ヴァイキング以前 ノルウェーに人が住むようになったのは、厚い氷が溶けてノルウェーの海岸線が出現した1万4000年前のことを考えられています。 石器時代では人々は漁撈や狩猟で生活を営んでいましたが、紀元前4000年から紀元前1800年の新石器時代に農業が伝わり、青銅器時代や鉄器時代になると農機具の発展で収穫が増
とても低い確率の事故で死んだ有名な人もいる 落雷に当たる確率は100万分の1だそうです。 普通に生きている分には「まずない」事象であると言えます。ただ可能性はゼロではなく、日本では年間約10名ほどが落雷で死亡しているそうです。宝くじに当たるくらいの確率と言えるでしょうか。 人間の長い歴史をさかのぼってみると、その低い確率の事故で死んでしまった、国王をはじめとする有名人は大勢います。 1. ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・カルス(222年~283年) ペルシア遠征中に雷に打たれ死亡 カルスは235年〜284年の軍人皇帝時代後期の皇帝。 おそらくガリアかイリュリクム出身で、前皇帝プロブス(276年〜282年)の護衛府長官を務めました。プロブスがペルシア遠征中に軍団兵に暗殺された後、後継者となりました。ドナウ川での短い戦いの後、彼は軍隊を率いてサーサーン朝と戦うためにティグリス川を越えました。
Photo by PeteHarlow イングランドの地上絵は古代遺跡か17世紀に作られたものか サーン・アバスの巨人(Cerne Abbas Giant)は、イングランド・ドーセットのサーン・アバス村の丘にある地上絵。あまり観光資源のないドーセット地方の中で有名な観光スポットになっています。 描かれているのは棍棒を持った裸の男性で、立派な部分を堂々と露出させた、まあなんというか、とってもワイルド。全長55メートル、幅51メートルにもなる大きさで、掘られた溝には白いチョークで輪郭が描かれています。 この地上絵の由来はよくわかっておらず、初めて記録に現れるのが17世紀なのでその頃に作られたという説もある一方で、古代ローマやケルトの時代に作られたという説もあります。情報があまりにもなくて、その由来の論争にはまだ決着がついていません。 1. サーン・アバスの巨人とは この地上絵は、管理するナショ
2022年度に読んで面白かった個人的ベストを発表します 早いものでもう年末です。今年度は「働き方改革」の人類史という本を執筆&出版したのですが、そのために読書の種類がやや偏ってる感が否めません。とはいえ、「これはすごい」という本はいくつもありましたので、ご紹介します。 ちなみに私が今年読んだ本ということなので、2022年以前に出版された本も数多く含みます。その点あらかじめご了承ください。 1.『新疆ウイグル自治区』 中公新書 熊倉 潤 著 リンク 近年、政治だけでなく経済的にもウイグル問題が注目されるようになっています。中国当局によるウイグル人のジェノサイド、そして思想的改造に対し、抗議の意味を込めて政治的なアクションを取る場合もあれば、ウイグルに工場を持つ企業に対するボイコットや取引禁止をする場合もあります。特に欧米が主導するダイバーシティだったり少数派の権利の尊重といった文脈から中国政
今月は歴史専門書の数が多いです 2022年10月~12月の世界史関連新刊紹介です。 本記事はざっと流し読みをして気になる本をメモしていただくか、ブックマークして書店を訪れた際に見返すかして使っていただけるといいかと思います。今回も50冊あります。 新書・文庫・選書 安価に楽しめる新書、文庫、選書。今期はかなりバリエーション豊かなです。個人的な注目は以下です。 古代オリエント全史-エジプト、メソポタミアからペルシアまで4000年の興亡 (中公新書 2727) 数学史入門 (講談社学術文庫) ウクライナ戦争 (ちくま新書 1697) 1. 『古代オリエント全史 エジプト、メソポタミアからペルシアまで4000年の興亡』 小林 登志子 著 中公新書 2022/11/21 税込1,210円 リンク 西はナイル河、北は黒海、東はインダス河、南はアラビア海に囲まれた地域がオリエントである。この地には人類
異教徒との闘いで神に奉仕した騎士団 「騎士団」は現在にも存在する組織です。 しかし実際に戦闘をするわけではありません。 例えばマルタ騎士団は世界各国で医療活動を行う「国土なき主権体」であるし、金羊毛騎士団は世界の王族に授けられる栄誉勲章となっています。 かつてヨーロッパにあった騎士団は「異民族」との戦いに命を燃やし、その崇高な任務をもって神に報いようとしました。一般的によく知られているものからそうでないものまで、かつてその戦闘力で知られたキリスト教の戦闘騎士団を紹介します。 1. カラトラバ騎士団 レコンキスタ運動の強力な戦闘騎士団 カラトラバ騎士団はスペインにかつてあった宗教騎士団で、1158年にカスティーリャ王サンチョ3世がカラトラバ要塞を放棄する際に、フィテロのシトー会修道院長レイモンドに譲り渡し、イスラム教徒から防衛するように指示したのが起源です。 1164年、ローマ教皇はこの修道
2022年11月14日に新刊が出ます 2冊目の本が出ます。 書名は『「働き方改革」の人類史』(イースト・プレス)です。 前作はブログで展開しているような、ややマニアックのテーマを通史で集めて、時代と国を跨いだストーリーを組み上げる構造にしたものでしたが、本作はそれとは全く違ったテーマです。 ざっくり、どんな内容の本かを解説したいと思います。 どんな本なのか 本著は4章構成になってまいます。 1章:働き方の世界史 2章:労働時間 3章:労働生産性 4章:やりがい 1章は現代の労働者の「働き方」は、どのような過程を経て作られ定着してきたかということを記したもの。 2章は1日8時間労働はどのように定着してきたか、労働時間の変遷をたどります。 3章は生産性の歴史。農業、工業、インターネット、革新的なテクノロジーの発展があり社会の生産性が上がった時に、いったい何が生じたのか。 4章はマネジメントの発
実は新しいマッチの短く濃い歴史 マッチが量産発売されたのは19世紀半ばのことです。 硫黄やリンに摩擦を加えて火を起こす、シンプルな仕組みに思えますが、実はライターの発明(16世紀)よりずっと後のことです。 今やマッチを使う機会もさほどないかもしれませんが、近代工業社会の中でマッチは重要な役割を果たしてきました。 1. マッチ発明以前 火を付ける方法 マッチは日本工業規格では「安全マッチ」という名前で登録されています。 「安全」とは、マッチ棒の先についた赤燐が、マッチ箱の側面に塗ってある薬品とこすりあわせなければ発火しないということで安全という意味で使われているようです。 マッチ以前は、レンズを使って火種に太陽の光を当てる方法で火をつけたり、火打石や鉄を叩いて出した火花で着火させたり、火吹き棒の中の空気圧を急激に高めて着火させる方法も一般的でした。 マッチと言えばタバコですが、かつてタバコに
外国にある「我々の土地」 特にユーラシア大陸の、時期によって主要民族が大きく移り変わった場所では、過去の主要居住地と現在の主要居住地が大きく異なっていることは珍しくありません。 日本だと、例えば天孫降臨神話がある高天原、古都の奈良や京都といった地は、そこに例え馴染みがなくても、自分たちのルーツがある土地として、精神的な故郷と感じることができます。 幸運なことに日本人の精神的故郷は国内にありますが、そうでない国もいくつもあります。仮に京都や奈良が中国大陸や朝鮮半島にあると考えたら、その感情を少しは理解できるかもしれません。 過去の民族の神話や歴史が整理し近代国家を形成する過程で、場合によってはそれを取り戻そうとする動きも高まり、戦争にまで発展したケースもあります。 1. フィンランド人の故地カレリア フィンランド人の心の故郷 カレリアは現在はロシアのレニングラード州とカレリア共和国、フィンラ
大量の死者を出し社会を混乱させた大飢饉 歴史上、何度も飢饉が起きてきました。 食えない人が大量に出現して治安が悪化したり、戦争や内乱が起きたり、場合によっては王国や王朝が転覆する場合もありました。 その原因は天変地異や気候変動だけでなく、政治や経済政策の失敗といった人為的な原因で起きたものもあります。 世界史を揺るがした大飢饉を独断で10選んでみました。 1. 536年 地球大寒冷 「人類史上最悪の年」と呼ばれる天変地異 ビッグ・ヒストリーの歴史家の中には、536年を「人類史上最悪の年」と呼ぶ人がいます。現在のエルサルバドルにあったイロパンゴ火山が大噴火を起こし、巻き上げられた二酸化硫黄と火山灰が、地球全体を寒冷化させました。 これだけでなく、彗星または隕石の衝突もあったらしく、複合的な要因で「異常気象」が起こったようです。 この噴火以降、10年にもわたって「冬の時代」が到来しました。 例
一部にコアなファンがいる炭酸飲料 ドクターペッパーを飲んだことがある方はどれくらいいるでしょうか。 私はありますが、たぶんこれまでの人生で3~4回くらいしか飲んだことがないと思います。それでもその独特の味を思い出すことができます。 チェリー味の甘いシロップに炭酸が入っているような味。やや薬っぽいような香りもします。これがダメな人はダメなようですが、熱狂的に好きな人もいて、コーラよりドクペ、というコアなファンもいます。 どれくらい需要があるか分かりませんが、ドクターペッパーの歴史を紹介します。 1. ドクターペッパーの誕生 ドクターペッパーが誕生したのは1885年。 テキサス州の田舎町ウェーコで、チャールズ・アルダートンという薬剤師が、ウェイド・モリソンが経営する「オールドコーナー・ドラッグストア」に勤めていました。 この店はドラッグストアでありつつ、薬以外にも食品や文房具をはじめ様々なもの
トレジャーハンターを呪い殺してきたという噂のあるお宝 どこか人目のつかないところに秘匿されたお宝。 まだ見つかっていない眠ったお宝は、子どもも大人もお話だけでも大変ワクワクするものです。 しかし中には「呪い」がかけられれていて、トレジャーハンターを呪い殺すという噂があるものも少なくありません。有名な「呪いのお宝」をいくつかご紹介します。 1. カフエンガ・パスのお宝 www.youtube.com 何人ものトレジャーハンターを殺した埋蔵金 カフエンガ・パスは、カリフォルニア州ロサンゼルス市にあるサンタモニカ山地の東端の峠です。 1864年、密入国のメキシコ人羊飼いディエゴ・モレノが、財宝をこの峠の道に埋めたと主張したことから呪いの話は始まります。 1862年、債務の返済を口実にフランス軍がメキシコに侵入。共和国は倒され、ハプスブルク家のマクシミリアンを皇帝とするメキシコ帝国が成立しました。
国のトップの人たちも食あたりで死んでいた? 徳川家康の死因が「鯛の天ぷら」であるという逸話は有名です。 実際に死の直前に揚げた鯛を食べたのは事実ですが、鯛にあたって死んだということではなく、もともと胃がんを患っていたと考えられています。 今回の記事は「食中毒で死んだ人物」ですが、全員が食あたりで死んだ人というわけではないと思います。中には家康のような間接的なケースもあれば、食中毒に見せかけて毒を盛られて殺されたケースもあるかもしれません。 その点をお含みいただきご覧ください。 1.イングラド王ヘンリー1世 ヤツメウナギの食べ過ぎで死亡? ヘンリー1世はノルマン・コンクエストを成し遂げたウィリアム1世の末子。 彼は憲章「マグナ・カルタ」を発表し、気まぐれな税金や教会収入の没収などの悪行をなくすことを宣言しました。また、アングロサクソン系王家の血を引くスコットランドの王女マチルダと結婚し、スコ
今月は歴史専門書の数が多いです 2022年7月~9月の世界史関連新刊紹介です。 本記事はざっと流し読みをして気になる本をメモしていただくか、ブックマークして書店を訪れた際に見返すかして使っていただけるといいかと思います。今回も50冊あります。 今回は日本軍や太平洋戦争に関する書籍が多い印象です。 いつも多いんですが、今回は諸外国と絡めたアジア・太平洋地域の歴史として太平洋戦争を見るという視点があります。ウクライナ戦争や台湾海峡危機で改めて日本のすぐ近くに戦争があることが誰の目にも明らかになり、軍事費拡大や予防的な敵基地攻撃を容認するかという議論が盛んになり、改めてかつての戦争について問い直したいという思いが高まっているのかもしれません。 新書・文庫・選書 安価に楽しめる新書、文庫、選書。今期はかなりバリエーション豊かなです。個人的な注目は以下です。(すべて買いました) アメリカとは何か 自
Photo by Livioandronico2013 かつては大勢力を誇った修道院領の残骸 修道院はかつてヨーロッパの各地に教会を中心に畑や醸造所などを含んだ広大な土地を所有していました。 建前上は教皇により支配されているため国王の統治は及ばず、修道院長を筆頭とした独自の組織で運営されていました。中世にはヨーロッパ各地にあったこれらの修道院領は徐々に姿を消し、ナポレオン戦争後のウィーン会議で多くの修道院領は国家に組み込まれていくことになります。 ただし21世紀の現在でも「修道院領」は存在し、昔とやや形は変えながらもわずかながら存続しています。 今回は現存する修道院領を紹介します。 1. モンテ・オリヴェート・マッジョーレ修道院(イタリア) Photo by peuplier 世界中のオリヴェータ会を束ねる修道院 モンテ・オリヴェート・マッジョーレ修道院は、イタリア中部トスカーナ州シエナの
1921年モンゴル革命と「二つのモンゴル」の成立 我々が「モンゴル」と言うと、通常それはウランバートルを首都とするモンゴル国のことを指します。 しかし中華人民共和国の北部には「内モンゴル自治区」という自治区があります。 いわばモンゴルは二つに分割されている格好です。現在では目立った統一運動はないのですが、かつては統一を目指す動きがありました。 モンゴルは清朝の支配下にあった時、内モンゴルは中国の強い影響下におかれましたが、外モンゴルは間接統治の状態にありました。1921年外モンゴルで起きた革命によってモンゴル人民共和国が成立しますが、内モンゴルは中国側に据え置かれ、統一モンゴル国家を作る運動があったものの、太平洋戦争後に現在の「内モンゴル」と「外モンゴル」に分裂された形が定着しています。 1. 清朝によるモンゴル高原支配 かつて恐れられたモンゴルの強大な軍事力は17世紀から衰え始め、満洲民
共産主義・社会主義の理想に共鳴した高貴な人々 共産主義・社会主義の思想では、王族や貴族は人民を搾取する悪であり、階級闘争によって打倒されるべき敵であると考えます。 当然、王族や貴族は自分たちの社会的地位やこれまで培ってきた体制を守ろうとして、共産主義・社会主義とは敵対し、時には多量の流血が流れることもありました。 ところが王族・貴族の中には共産主義・社会主義に共鳴して、自分自身の階級を弾圧する者もいました。 なぜそうなったかは、当時の社会の背景や雰囲気を見ないと分かりませんが、どういった人物だったのかをみていきましょう。 1. イラジ・エスカンダリ(1907年〜1985年) イラン共産主義トゥーデ党の重要人物 イラジ・エスカンダリはイランの共産主義組織トゥーデ党の重要人物で、パフレヴィー朝の時代を通じて党第一書記として活動を続けた人物です。 父はカジャール朝の王子の1人であるヤヒヤ・ミルザ
多くの人の命を奪った落馬事故 現代の交通事故に類する事故が、昔では落馬事故にあたったのかもしれません。 不注意や追突、飲酒運転などもあったでしょうし、今の自動車にはない「馬の機嫌」というものもあったので、自動車よりもよっぽど危険です。 落馬で死んでる人は歴史上数限りなくいますが、今回は国王を15人リストアップします。事前に申し上げますが、この15人だけというわけではなく、もっともっとたくさんいます。独断と偏見で15人に絞らせていただいています。 1. ルイ3世(865-882) 女の子を追いかけて落馬 ルイ3世はカロリング家出身の西フランク王国の王で、弟のカルロマン2世と共同統治を行いました。彼の治世は879年から882年とわずか3年しかないのですが、881年8月に北のヴァイキングを倒すなど、軍事的な成功があります。 ルイ3世は882年、17歳のときに、領地のサン=ドニで馬に乗って少女を追
アメリカが誇るファストフードの申し子 マクドナルドやKFCといったファストフードチェーンに行ったら、チキンナゲットはだいたい食べると思います。 外はカリっとして、中はふわっとした食感。味は、チキンと名乗っているので確かにチキンなのですがあまりチキンっぽい味ではなく、「チキンナゲット」としか形容できない味です。強いて言うと油とケチャップと衣の味です。 冷凍保存が利き、仕事中や歩きながらも食べることができ、価格も安い。 いかにもアメリカらしい、ファストフード文化の申し子のような存在です。 しかしもともと、チキンナゲットは健康食品として開発され普及してきました。その後、食品偽装問題など社会問題化したことで、体に悪い食品の代表格のようなイメージがついてしまっています。 1. 消費者に敬遠されるチキン アメリカ人にとって、チキンはさほど人気のある食材ではありませんでした。 アメリカの伝統的な肉と言え
さまざまな伝承・伝説が語り継がれる剣 日本神話に登場する「草薙剣」は、三種の神器の一つに数えられ、王権の正当性を示すアイテムと見なされました。現在でも愛知県の熱田神宮に保管されているとされます。 剣は世界中の国・地域で王権の支配や神からの信託の象徴とされ、神話や伝承で重要な役割を果たします。ものによっては草薙剣のように(真偽は議論があるにせよ)現在まで受け継がれているものもあります。 今回は現存する「伝説の剣」をピックアップします。 1. ウォリックのガイの剣 伝説の騎士が怪獣を倒した剣 ウォリックのガイは中世イングランドの物語に出てくる英雄騎士です。 ガイはウォリック伯爵の宮廷に仕える卑しい身分の騎士だったが、伯爵の美しい娘フェリチェと恋に落ちてしまう。しかし結婚するには身分が低く、彼は功を挙げて名を高めようとします。人々を苦しめていた怪獣ダン・カウを退治し、ヨーロッパではドラゴン殺しを
国際的に発展してきたコンタクトレンズの発展史 コンタクトレンズは非常にシンプルな仕組みでありつつ、その開発の歴史は長く複雑なものがあります。仕組みはシンプルでありつつ、製造に使う素材や機材の発展によって大きく変化してきました。 かつてはコンタクトレンズは円錐角膜(角膜の中央部分の厚みが薄くなり、角膜が前方へ円錐状に突出する病気)などの角膜疾患に対して、眼科医が装着する特殊な装置でした。 角膜の生理学的な知識が発達し、素材や機材が改善され、値段も安価になると、一般の人も使えるようになっていきました。 1. コンタクトレンズが生まれるまで コンタクトレンズのアイデアを最初に提示した人物はレオナルド・ダ・ヴィンチであると言う俗説があります。 彼は1508年に出版した目の写本で、水の入ったボウルに頭を沈めるか、水で満たされたガラスの半球を目の上に装着して、角膜の力を直接変化させる方法を説明しました
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