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正常なタンパク質に異常な形状を伝搬するプリオン。宿主の脳や神経組織の細胞を破壊し死に至らせる(写真はイメージです) Christoph Burgstedt-iStock <未だに治療法が確立されておらず、「第3の感染症」とも呼ばれるプリオン病。長崎大・西田教行教授らの研究グループが検出に用いた技術は、実習の安全性を向上させるだけでなく、将来的にプリオン病の感染拡大防止に役立てられる可能性も秘めている> 長崎大の西田教行教授(ウイルス学)らの研究グループは、医学部や歯学部で行われる解剖実習のために提供された遺体を調べた結果、1体からプリオン病の原因となる異常なタンパク質(プリオン)が検出されたと発表しました。プリオン病と未診断の解剖実習遺体からプリオンが発見されて同病と確定診断されたのは、世界初といいます。 プリオン病は未だに治療法が確立されておらず、致死率100%の疾患です。感染から数カ月
深海の作業では、高圧と低い水温に耐えなければならない(写真はイメージです) digidreamgrafix-iStock <海底に沈んだ観光船「KAZU I(カズワン)」の船内捜索で注目を集める「飽和潜水」──なぜ水深100メートル以深でも安全に潜水できるのか? 最大700メートルまで潜水可能で、さらに安全と考えられる「次世代型大気圧潜水服」とは?> 北海道・知床半島沖で26名が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が4月23日に沈没した事故は、1カ月経過した5月23日現在、知床岬先端などで14名が見つかり、全員の死亡が確認されています。 19日午後からは、水深約120メートルの海底に沈んだカズワンの船内に潜水士が入る「飽和潜水」による捜索も実施されました。潜水の仕組みや歴史を概観しましょう。 スクーバダイビングの潜水限界は水深約50~60メートル 潜水の歴史は、人類の登場以来と言っても
ゼブラフィッシュの特殊な細胞分裂は、効率的に細胞の数を増やすため?(表層上皮細胞の全体を観察するために細胞を1つずつ色分けされたゼブラフィッシュの幼生) nature video-YouTube <ゼブラフィッシュの表層上皮細胞でDNA複製を伴わない細胞分裂が行われるのは、「急いで細胞を増やすためではないか」と台湾・中央研究院の陳振輝博士らの研究グループは予想する。この仮説が広く受け入れられるために必要なのは?> 台湾・中央研究院の陳振輝博士らの研究グループは、小型魚のゼブラフィッシュの表層上皮細胞(SEC)の観察から、DNAを複製しない新しい様式の細胞分裂「非合成分裂」が行われていることが示唆されたと5月5日付の英科学誌「Nature」に発表しました。もし普遍的な現象であれば、生物の教科書が書き換わるほどの大発見です。 生物の条件と細胞分裂の種類 生物とは、そもそも何でしょうか。統一され
<ロナ(10の27乗)、ロント(10のマイナス27乗)、クエタ(10の30乗)、クエクト(10のマイナス30乗)──なぜ新たな接頭辞が規定されるのか。単位創設・導入の歴史とともに紹介する> 世界各国では様々な単位が使われています。長さを例にとると、英語圏で使われているマイルは1マイルが約1.6キロメートル、日本で戦前まで中心的に使用されていた尺は1尺が約30センチメートルです。 国際化が進むと、商取引や情報共有の時に各国で使用する単位がばらばらだと、いちいち母国の単位への換算が必要になり瞬時に数値の大きさがつかみにくいという弊害があります。そこで現在は、メートル法を発展させた十進法ベースの単位体系「国際単位系(SI単位系)」が世界中で使用されています。さらに今年11月には、31年ぶりに国際単位系で「SI接頭辞」(キロ、ギガ、ナノのように、10を何回乗じたかを表す言葉)に仲間が増えそうです。
<核融合エネルギーにはどんな利点があるのか? 実用化のために必要なステップとは?──「地上に太陽をつくる研究」の現在地、今後の課題について解説する> 欧州各国の核融合研究機関からなるコンソーシアム「ユーロフュージョン(EUROfusion)」は今月9日、イギリスのオックスフォード近郊にある欧州トーラス共同研究施設(JET)の実験装置で、核融合によるエネルギーの生成量を大幅に更新したと発表しました。 今回の記録は昨年12月に行われた実験によるもので、核融合を5秒間維持して59メガジュール(約12メガワット)のエネルギーを作り出すことに成功しました。これまでの記録は、1997年に同施設で記録された22メガジュールでした。使用されたのは「トカマク」と呼ばれるドーナツ型装置で、JETが所有するものは80立方メートルあって世界最大です。 「地上に太陽をつくる研究」 核融合反応と核分裂反応は混同されや
<555.55カラットの黒ダイヤ「エニグマ」が、「宝石以上の存在」と言われる理由とは?> 国際競売会社のサザビーズは、2月3~9日に世界最大のカット済みダイヤモンドのオークションを行うと発表しました。 このダイヤモンドは555.55カラット(111.11グラム)の黒色のダイヤモンドで、「エニグマ(The Enigma;謎)」と名付けられています。約20年前から存在は知られていましたが、ずっと個人に所有されていました。競売に先駆けてドバイ、ロサンゼルス、ロンドンで公開されますが、このダイヤモンドが公開されるのも販売されるのも、今回が初めてです。 エニグマは重量と起源という2つの理由から「歴代で最も珍しいダイヤモンドである」と言っても過言ではありません。 最も輝くよう計算されたカットデザイン まず、原石からカットと研磨をした後の555.55カラットという重さは、歴代のダイヤモンドで最重量です。
<タンパク質の摂取意識の高まりや、健康的というイメージが浸透したことで、日本でも植物性代替食品市場は10年で約5倍に。微生物由来の代替肉をはじめ、国内外の「新しい食品」について概観する> 未来社会を描いた映画は数多くありますが、ピンポイントで〇〇年と設定されている作品は希少です。そんな中、来たる2022年を舞台に人口爆発による食料事情を描いたディストピア(ユートピアの反対語で暗鬱とした世界観を持つ)映画があります。『ソイレント・グリーン』(1973年、米)です。 この映画は、米SF作家ハリイ・ハリスンの『人間がいっぱい』(ハヤカワ文庫)を原作にしています。 2022年、人口の爆発的な増加と環境汚染に悩まされるニューヨークは、ごく一部の特権階級と多くの貧困層から成り立っています。肉や野菜といった天然の食料品は希少で高価なものとなり、特権階級しか口にできません。ほとんどの人間は、ソイレント社が
映画『皮膚を売った男』に影響を与えたヴィム・デルボア氏の作品「TIM」 By Lynette Woods from Australia - Tim (Tattooed Man), CC BY-SA 2.0 <タトゥーに興味はあっても、一生身体に残ってしまうことには抵抗を感じる──では、1年で消えるタトゥーがあったとしたら?> 今年のアカデミー国際長編賞にチュニジア代表としてノミネートされた映画『皮膚を売った男』が、11月12日の「いい(11)ヒフ(12)の日」に公開されました。 映画の中で、シリア難民のサムは恋人と会うために芸術家に自分の背中を売り、タトゥーが施されます。サムは自らが「アート作品」になることで、大金を得て、「美術品」として国境を越えることを選んだのです。美術館に展示されるサムには、思いも寄らない事態が次々と起こり、次第に精神的に追い詰められていきます。驚きの結末も待ち受けて
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